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プロローグ 異能の柔道家達 2
「強いですね……道明寺選手」
パチパチパチとキーボードを叩く音が狭く薄暗い部屋に響く。
その狭い部屋には二人の少女が居た。一人はキーボードを叩く少女。そしてもう一人はその少女にピタッと寄り添っていた。
「ふふふ、そうね~。で? あやめちゃんは道明寺さんに勝てるかしら」
上品な声と共に金色の髪がふわっと舞う。金髪の女性は縫ぐるみでも抱くかの様にきゅっとキーボードの少女を抱き締めた。
「今やっても勝率は一パーセント以下ですね」
「そうなの~ふふ、あやめちゃんの〈未来予知〉(ライトビジョン)を使えば勝てるんじゃないの?」
「いえ……無理ですね。というか私の能力と一番相性が悪いです。道明寺選手の次の行動を予想するのは容易い。しかし、分かっていても道明寺選手の攻撃はかわせない」
キーボードの少女は眼鏡をくいっと上げた。そしてポッキーを一本咥える。
「先輩……もっと強くぎゅってしてください」
顔を向けられる事無く呟かれた言葉に金髪の少女がニコッと笑う。
「ふふ、甘えん坊ねえ。あやめちゃんは」
二人は薄暗い部屋でそっと抱き合った――。