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3絶望的な死

 

 首輪?私の首に首輪なんて・・・

 確かめるように首元に手を伸ばす。無いはずである、いや無い物であると思い込んでいた首輪が確かそこに存在した。

 私の首には愚者の操具が、存在感を主張していた。

 この男に騙されていたのか?いやそれにしてもこの短時間で私の首に装着できるはずがない。

 だれ?私を騙し、私に愚者の操具をつけて操っているのは誰なの?

 思考がループする、考えがまとまらない。

 いや、この男だこの男以外あり得ない。

 私を操り利用するような人物は、この男ぐらいしか・・・

「吐け・・・」

「あぁっ?」

「私をいつ騙した!!!!わたしをいつ!!!!!」

「思考が限定されているんだなぁ・・・自分のご主人様方を疑うという思考回路くらい持とうぜ?だってよ君を洗脳して利用して一番得するのは誰だ?」

 ご主人様?王を疑う?あり得ない事だ・・・

 王は私のことを救い育ててくださった・・・

 救い?何から救ってくれたのだろうか?

 わからない


 私は何から救われた?


「今まで信じていた事が覆るときってどんな表情をするんだろうなぁ?」

 そう言うと、勇者は私の首元に存在する首輪を切り裂いた。


 記憶の奔流、今まで抑制されていた記憶が一気に思い出された。


 なぜ忘れていたのだろう・・・

 私は、両親を王(奴)に殺されていたのだ



 私は平凡な農村に住む農家の長女として生まれた。

 しかし私には隠密術の才能があったらしい、洗礼で発現した才能。

 その才能を求め師匠、いや、王の直属の部下が私の元を訪れたのだ

 スカウトというと聞こえは良いが、事実上の徴兵だった。

 しかし両親はそのスカウトを拒否した。

 結果、王に逆らう逆賊として処刑されたのだ。

 私には妹がいる、その妹を生かしておくという条件で影の部隊に入ったのだ。

 そして、その時あの忌まわしい首輪をつけられた。



 愚者の操具操具は、対象者を騙していなければ発動しない。


 私が騙されているとしたらどこなの?


 考えたくない可能性が脳裏をよぎる、確証があるわけでは無いと自分に言い聞かせるが殆ど確定しているようなものだ。


 私の家族はもうこの世界にはいない?

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!!!!!!!」


 私の家族はもういない、この世にいないんだ

 存在を忘れることができていた、いや私は忘れてしまっていた。


 自分が許せない。

 騙され今までこの環境を受け入れていた自分が・・・

 許せない、今まで私に関わりを持っていた全ての人が・・・

 許せない・・・

 この世界のすべてがっ!!!!!

 この力を与えた神が憎い、その事を王まで伝えた神官が憎い、幸せを壊した王とその手先が憎い、憎い、憎い・・・

 何よりも家族の存在自体を忘れていた自分が憎い。



 憎悪に身を任せ、その場を飛び出す

 私の義務を果たすために

 一番難しい王城への侵入はもう済んでいる。

 王の寝室へと直行する

 途中の兵達に気付かれることはない、私の能力である隠密術の才能がある。

 この能力を憎みながらも、この能力に頼ってしまう自分がたまらなく憎かった。


 楽に王の寝室へとついた、扉をそっと開くと奴は眠っている


 ナイフを取り出し近づく、ベットの傍に立ち首を一突きした。

 血が噴き出した、紅く黒い清々しい気分になった

 そうだ、こいつの死に顔を見てやろう、どんな顔して死んでいるのかが楽しみだ。

 布団を捲ると、そこには見間違えようもない



 私の妹の顔がそこにはあった


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