2ある影の少女
描きだめしてるし今日は二話目も投稿してみる
祐二は与えられた部屋の中で思案にふけっていた
はっきり言ってあの王は相当きな臭い。
確かに此方に頼んでいる感じはしたが、何処か命令調で、それ以外の選択肢を与えていないように思える。
いや、事実与えていないのだろう俺が一度考える旨を伝えると、僅かにだが雰囲気が変わった。
念のため今夜は警戒しておいた方がいいかもしれないな・・・
この世界の常識等はわからないが、明日にはこそ城を出た方がいいだろう。
もし何か仕掛けてくるようなことがあったらその時は・・・
不穏な空気を感じ取りつつ、それを容認しているのは祐二自身の欲求が原因であろうか・・・
~side影の少女~
私の家系は代々王族に仕える影であると伝えられている。
私はこの仕事に誇りを持っているし、私を育ててくれた師匠にも感謝している。
だからこそ今回与えられた任務は失敗できない。
私が上官から命じられたのは、ある人物に愚者の操具を装着する事だ。
愚者の操具とは、人間をいいなりに動かす事ができる魔道具だ。
奴隷の首輪もいいなりに動かすことはできるが人間の感情、思考までは操作できない。
対して愚者の操具は、人間の深層心理、そして認識能力にまで影響を及ぼす。
ただし愚者の操具には使用条件がある。
装着されるものは、装着する者に何かしらのことでだまされている必要があるだ。
小さな嘘でもいいからその事を信じさせる。
それさえできれば、愚者の操具を装着し操ることができるのだ。
男というのはだいたい単純な生き物だ、此方から迫るとどんな形であるにせよ多少の好意を向けられていると思うだろう。
私が向けるのは王に対しての忠誠心とこのような単純な嘘にだまされる軽蔑のみであろうというのに。
そしてその嘘をつき続けるのだ、このままなら私は師匠に決められた結婚相手と結婚することになるであろう。
師匠の役にも立ちたいが、王の役に立つ方がうれしいに決まっている。
私は、なるべく対象に警戒心を持たれないように、使用人の格好をして対象の元に行くことにした。
男というのは、性的な事を持ち出せばそれを意識せずにはいられなくなるだろう。
そして、その対象が自分に対して好意的な態度を向けているとなればなおさらである。
「失礼いたします、勇者様入ってよろしいでしょうか?」
「いいぞ」
扉を開き中に入ると、勇者はベッドに腰掛けた状態でいた。
私の全身をなめるように見た後に、声をかける。
「なにか?」
「勇者様の傍仕えをするように命じられました、ネイチェル=レイリーンと申します。ご用の際は何でもご用命ください。」
「なんでもか・・・」
「はい、どのようなご用でもお申し付けください」
「そうか・・・じゃあ・・・」
少し思案した後、命令しようと口を開く
やはり男とは単純な生き物だ、このような手にすぐに乗ってしまう、やはり醜い欲望にまみれた生き物なのだろう。
「黒幕ってだれかな?教えてくくれるかい?」
首元に当てられた刀身
蒼く鈍く光るその刀身からは怪しげな雰囲気が漂っていた。
何よりも理解不能だったなぜ露見したのか
「なっ、何を!?!?なっ、何のことですか!?黒幕ってなんなんですか!?!?」
動揺を表に出さないようにするとこの状況ではかえって逆効果だろう、私は只の使用人なのだから。
勇者は冷めた目線で此方を見てくる、冷たいまるで氷のように冷たい。
「動くな」
勇者はそう言うと私の体をまさぐり始めた、ボディーチェックだろう。
暫くして愚者の操具を見つけ出した勇者は、私にこれがなんなのかを尋ねてきた。
「それは私の「いっておくが、嘘をついても無駄だぞ」ペットの・・・」
「これは愚者の操具という魔法具です・・・対象の思考までもを操ることができるものです」
「ほう?誰に指示された?」
「これは私自身の意思でやったことです」
嘘にはならない、実行は自分の意思なのだ。
「そうだな、可哀想に・・・その首輪に操られそう思い込んでいるのだろう?」
・・・・首輪?