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開かずのドア

作者: 雪姫

一人息子が引きこもってから3年が経とうとしていました。就職活動が上手くいかず就職浪人をしている内にだんだん外に出なくなりました。

最初は就職活動をしておりましたし、外出もしておりました。しかし段々外出も減り、部屋からも出て来なくなりました。

主人も私も仕事を持っていて忙しくその内出てくるだろうと思い様子を見ることにしました。

半年程経った頃でしょうか。その頃迄は出て来ないまでも会話はしたりしなかったりしておりました。しかし1週間程返事がありませんでした。しかし食事は完食しておりました。食事はしており、病院している様子もないのでこのまま様子を見ようということになりました。

主人も持て余していたと思います。しかし資料を集め、読み込み、息子を理解しようとしているのが私にも解りました。主人が様子を見ようと言った時に主人の努力を思うと責められませんでした。

1週間後久しぶりに声を聞くことが出来ました。しかし声が小さく大変聞き取りにくく話します。聞こえないと言ったら風邪をひいて声が変わったと言いました。

それから息子は全く話さなくなりました。相変わらず食事だけは減っています。そして3年が経ちました。

これまで主人と何度も話し合い、どうやって話をするか、どこか専門機関に連れて行くべきか、連れて行くならどこか等々資料やインターネットで随分調べ、それを元に何度も話し合いました。

そしてとうとう息子に話をする決意を固めました。まずは私が話をし、暴れる様なら再度主人と話に行き、精神科に連れて行って相談し、職業訓練等が受けられそうなら受けさせるということに決めました。

久しぶりに入る息子の部屋。息子の姿を見るのも3年振りです。

「開けるわよ」


ドアをノックしました。ガサガサと音が聞こえました。起きていると確信ドアを開けました。

息子の姿はなく、押し入れは何故か真っ赤に染まっていました。驚いているとドアの裏から見知らぬ男が立ち塞がりました。男は何か光る物を持っていました。それを私に突き刺しました。激しい痛み、後は覚えていません...。


『1日午後9時頃、帰宅した明さんが妻の陽子さんの遺体を発見しました。遺体は長男明陽さんの部屋から発見され、明陽さんは行方不明です。明陽さんは3年前から部屋に引きこもっており、何らかの事情を知っていると見て現在捜索をしています。また、陽子さんが倒れていた場所とは違う場所からも大量の血痕が発見されており、引き続き捜査しています...』


『あ〜びびった。急に入ってくんなよ、刺しちゃったじゃん。まぁ先に引きこもってた息子刺しちゃってたけどさ。まさかこんなに居座れると思わなかったわ〜。両親チョロすぎ。天国だったけど仕方ねぇか〜。さ〜て次はどこに居座ろうかな〜』


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― 新着の感想 ―
[良い点] かなりのどんでん返しでした。短いのに内容が濃い!
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