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第二十三話 さあ、みんなで考えよう!

 




 人間がこれまで発明してきたものは膨大な数になるだろう。

 地球の歴史では石器や土器などから始まり様々なものが発明されてきた。

 人類が誕生して200万年。

 その時間の中、直近の1万年弱で現在の文明レベルまで達している。

 もっと言ってしまえば、ここ300年で飛躍的に発達した。


 個人的には、石器時代から1万年でこのレベルに達しているのだから、それ以前のいずれかの1万年の期間で同じような文明レベルに達した時代があったんじゃないかなどと考えてしまう。

 妄想や浪漫の類の話になってしまうが、それでも、そう考えると夢が広がって少しワクワワクする。


 長い時間をかけて発展してきた道具の数々。パッと見てこれはすごい発明だと感心してしまうものから、あまりに身近過ぎて普段意識しないものまで。

 淘汰されたもの、改良されて生き残ってきたもの、新たに開発されたもの、それらすべてが人類の叡智の結晶。

 先人たちの知恵。

 仮にオレが1万年生きたとしても、オレ一人ではスマホなんて作れる気がしない。

 多くの天才たちがその命を燃やし、というと大げさかも知れないが、人生と情熱を捧げ次代に繋げてきた成果が今の物質文明なんだろう。


 何が言いたいかというと。


 ファスナーってすげえ。


 ファスナーのひとつひとつの構造や原理は単純なものだ、その単純なものが合わさって非常に機能的に完成された構造物へと姿を変える。

 いや、なんでファスナーの話になってるのかは成り行きと言うかなんというか。

 昨日の昼間にシャツが完成して着替えて無限収納エンドレッサー化やら何やらしてる間に、ズボンのほうも急ピッチで作り上げてくれていたらしい。

 生産職系の妖精さんたちが、テンション上がりまくりで魔方陣トラップを仕掛けて色々やらかしているうちに時間が過ぎてしまい、オレに渡すのが今日になってしまったんだとか。


 出来上がったズボンの股上の部分を確認したら昔のジーンズのようにボタンで閉じるタイプで仕上がっていた。

 それを見て、あー、さすがにそこまでは再現出来ないか。と現代の技術に感心していたのだ。

 というかオレが着たままだったんだから、ちょっと見た程度で再現しろって方が無理がある。

 最初、服飾系担当者はすぐさま再現する気でいたらしく、実にやる気がみなぎっていた。


「非常に興味をそそられる構造です。少しの間、見せていただけませんか?」


 と言って数人でオレの股間をガン見。

 複数の視線に晒され、「なんだ、この訳のわからないプレイは……」と、どう見ても羞恥プレイにしかならないという事で、替えのズボンがきてから研究してもらう事にしたのだ。

 その場で脱いで渡しても良かったが、パンいちになるとリナリーがうるさい。おそらくまた何かぶつけられる。最悪レーザーブレスで股間に穴が開くかも知れない。性別が変わってしまう。

 バスタオルのように布を腰に巻けばいいじゃないかとも思ったが、それだと鍛錬時にブラブラするじゃないか。コイズミくんはシャイだから却下だ。


 新しいズボンと交換でボロボロのズボンを渡したが、一応ファスナーの構造がどういったものかを説明した。

 おそらくエレメントは真鍮製のもの。テープ部分にズラっとならんでいる。

 スライダーで歯車の原理を利用して上下させて開閉。

 その上下の部分には止めがある。


 地面をキャンバスにして図に書いて出来るだけ詳しく説明する。

 なぜこんな事を知っているかというと、それはもちろん過去に調べた事があるからだ。


 年に一度か二度あるかないかだが、クラスの友人が稀に「痛えー! はさまった!!」と絶叫していた。

 それを見て、何を挟むのか、何故挟むのか、と疑問に思ったのだ。

 まあ、もちろんナニを挟むんだけど、その理由が良く分からない。

 オレはズボンの前は全開でパンツは前を下ろす派だ。

 挟んだ友人はファスナーだけ開けて、ひっぱり出す派。

 挟み易い要素がない訳じゃないとは思うが、それにしたって、と思ってしまう。

 全部しまう前にファスナーをあげるってなんでだ。

 ナニの感覚と手の感覚が乖離してんのか?

 それともデカいのか? んなバカな。


『この痛みを、お前らにも分けてやりたい……』


 いらねえよ。幸せのお裾分けみたいに言うな。

 大人になりきれてないとそういう事になり易いと(敢えて、どこがとは言わないが)、みんな口を揃えて言うがオレは経験がないからよく分からん。

 オレなんかはどっちかというと、ゾウが蕎麦食った時の痛みのほうが印象が強いぞ。

 最近はそれもなくなって一安心。完全に大人の仲間入りだ、やったね。


 それが切っ掛けで、少しファスナーについて調べたわけだが。

 どういう理屈でファスナーが対股間用兵器に変貌するのか、まずは構造から知ろうという事でネットの情報を漁った。

 結局、調べても適切な解答は得られなかった。

 しかし残念という気持ちは一切なかった。むしろ勢いにまかせて、そんな事を調べたというのを残念に思ったくらいだ。

 もう勝手にファスナーに噛まれていればいいじゃない。挟むヤツはこれから何度も挟むんだろうが、きっとそのうち気持ち良くなってくるさ。


 ろくでもない切っ掛けだけど、それだけにその内容が記憶にバッチリ残っている。

 思わぬ形でそれが役に立ったが、なんだかモヤっとするっていうか、そんな事をオレに調べさせた友人の顔がチラついてイラっとする。


 ついでに、もうひとつの情報も提供する事に。

 ファスナーは線テープとも言われていたらしく、それと対になるように面テープなるものが存在する。

 まあ、マジックテープの事なんだけど。


 この世界にもひっつき虫の類の植物は数多く自生しているようだ。

 オナモミによく似た植物もあるようで、トゲの先端がフック状になっている事はみんなよく知っていた。

 それを原理にした構造だと説明し、具体的にどんな感じで作って欲しいかを伝える。

 片方は細かいフック状の硬めの繊維、もう片方は柔らかめのパイル状の生地。

 魔法を使えば繊維の硬さや柔軟性は再現出来るだろう。

 こんな説明で大丈夫かと思ったが、何人か察しのいい者が居て「雑草をヒントに面白い事を考えますね」などと感心していた。

 技術的にも充分に可能なのだから、そういう製品はないのか尋ねたら、実は似たような機能のものが、魔法を使って実用化され既にあるらしい。

 決められたワードと極微量の魔力をトリガーとする着脱可能魔方陣を使用して、様々な物に利用しているようだ。


 うーん、もう似たようなのがあるのか。ちょっとがっかり。

 いい情報だと思ったんだけどなー。


「いや、魔力を使わないというのは利点じゃな。魔方陣の製作工程でも分かる通り、そういった物は高級品の部類になるはずじゃ。それに、様々とは言っても限界があるからの」


 それはそうか。永続効果の魔方陣を使って物をくっ付けたりしてたんじゃコスパが悪過ぎるよな。

 半永久的な効果を望むなら精密に書く必要がある魔方陣。

 時間と手間をかけたものをおいそれと日用品には使わないのかも知れない。

 魔方陣をデカくして魔力も大量に消費するのが許容されるなら色々と応用も利きそうだけど、それなら釘とかロープとかの物理的な接合のほうが断然安上がりだし。

 それに取り外す事を考えなければ、手間はかかるだろうが一体化の陣だってある。


 このマジックテープのような魔方陣、使われている可能性が高いのが、服飾や建築などのデザイン性を重視する分野であるようだ。

 あとは装飾品関係か。


 いずれにしても、マジックテープは一応作ってもらおう。

 今は思いつかないけど何かの役に立つかも知れないし。

 気になる事と言えば、あのバリバリーって音くらいか。

 どこからともなく、ヤメテッ! って声が聞こえてきそう。

 支払いは任せろー。


 余談だが、この世界のオナモミ、攻撃してくるらしい。

 巨大な花が枯れた後に人間の頭くらいの大きなつぼみのような実がなり、その中にオナモミが待機している。

 そして、動く魔力を感知すると中身を飛ばすんだそうな。対人地雷?

 ゴルフボール並みの大きさのトゲだらけの種が結構な速度で飛んできて、かなり痛いという。

 妖精にしてみれば、かなり痛いでは済まない大きさだと思うけど大丈夫か?


 鳳仙花が巨大化すると爆弾みたいになるっていうけど、こんなところに実在したとは。





 ~~~~




 午後、昼食に出された食材についてあれこれ聞いたりレシピを教えてもらったりした後、それまで続けていた魔石の魔力充填もそろそろ終わりが見えてきた。

 里のみんなに大体オレの魔力が行き渡ったようで、持ち出される魔石が減ってきた事でそう判断していいだろう。


 同時進行でレーザーブレスの練習の監督もしていたが、新たな生徒に教えるのは先に覚えたメンバーと分担でも問題なかった。

 その、先に覚えたメンバーのうち数人が講義の手伝いを、他のメンバーは実際の使い勝手を確認する為に朝から狩りに出かけていたが、予定ではそろそろ帰ってくるはずだ。

 

「戻ってきたようじゃ。さて、成果はどうだったのかのう」


 樹園木ガーデンプランツの根や枝葉を利用した魔力のネットワークで、里の出入りも把握しているというズカ爺。そして魔石の選別の手を止め口にした言葉は、気になっていた事が自然に口をついて出たといった雰囲気だった。


 しばらくすると狩りに出ていたメンバーが、樹園木ガーデンプランツの広場の端で魔石の山の前で魔力充填をしていたオレと、保存用と魔力譲渡用に魔石を選別していたズカ爺とリナリー、それをうとうとしながら見ているラキ、というお決まりになりつつある顔ぶれの所にやってきた。


「ただいま戻りました」


 地面に着地しながら声をかけてきたのは、お尻大好きイケメン妖精さん。


「何事もなく終えたようじゃの。して、どうであった?」


「はい、こちらに被害はなく、レーザーブレスも実地で大きな問題もなく使えました。異相結界も同様です」


「ふむ、概ね良好というわけじゃな」


「そうですね、はっきり言ってスゴイの一言です。予定していたドルーボアも問題なく狩れました。拍子抜けするほど簡単に狩れてしまったので、かなり戸惑いましたよ。獲物を視認したらそこに向かって撃つ。それだけで終わる場合がほとんどでしたので」


 苦笑気味だが、どこか興奮しているようにも見える。

 一緒に狩りに出かけたメンバーも、気持ちが高揚しているのが分かる表情だ。


「ただ……やはり慣れが必要かも知れません」


「ん? どういう事じゃ」


「目標を視認して直射する場合はいいのですが、左右に動いてる獲物に合わせて射線を動かしてしまうと、場合によっては木をなぎ倒してしまうのが……」


「ふむ、最初から完璧に、とはいかんもんじゃな。しかし回避できるデメリットならば問題ないじゃろう。覚えたばかりで、なかなか応用が効かんというのもあるじゃろうし、今後の課題じゃな」


 ズカ爺の言葉に、狩りのメンバーが同意して頷く。


「オレからもいい?」


 教えた側としては何か不都合があったとしたらソレはちょっと頂けないので、今度はオレから、何か他に気になる事はないかと聞く事に。

 それに、同じ魔法を使うものとしては使い勝手もそうだが、使用時の周囲の状況や獲物への対処なんかの情報も知りたい。


「そうですね……強いて挙げるなら、威力があり過ぎる所、ですかね」


「何がマズイのか良くわからないけど」


「まずくはないのですが、なんと言ったらいいか……」


 イケメン妖精さんに聞き返すが上手く説明できないっといった風だ。


「とにかく狩りが簡単過ぎるのです。見えている距離にいるものは確実に仕留められます。見えているだけでですよ? 獲物の姿を確認してしまえば、木や岩の陰に隠れたとしてもそれごと貫いてしまえばいい。近づく必要すらない。狩りの在り方が変わってしまいます」


「そう聞くと確かに危険な魔法のようにも思えてしまうのう」


 何か一瞬、思案したようなそぶりを見せたが、そこで話を切る事はせずに続けるズカ爺。


「漠然と不安に思っておるようじゃが、そこは使い手次第じゃろう。性格的にも里の者で下手な使い方をする者はおらんと思うがの。しかし……魔石の管理は厳重にしたほうが良いようじゃな」


 万が一外部に持ち出されたら、という懸念から魔石の管理を徹底する方針のようだ。


「あの味を外部に漏らすわけにはいかんからの」


「「「そうですよね!」」」


「そっち!?」


 技術の流出を危惧していると思ったら、嗜好品の流出を心配?

 まあ、オレの魔力だけ手に入れてもレーザーブレスと異相結界がどうにか出来るとは思えないし、環境的にも技術的な情報漏えいはそれ程心配しなくていいだろう。


「ま、まあ、とにかく強い力、イコール危険って訳でもないんだし、ズカ爺の言うとおり使い手次第だと思う。イグニスだって、この世界でほぼ最強だけど、好き放題してる訳じゃないし……まあ、ある意味好き放題しているんだけど。だから、そこの所は気にするだけ損のような気がする。というか逆に気にするとドツボにはまるかも」


「そうじゃな、今はまだ不慣れな部分もあるしのう。訓練を継続していけばその辺の意識も技術と併せて改善されていくじゃろう。危険に対応するるための力を暴発させては意味がないからの」


 それを聞いて「それもそうですね」と同意する狩りのメンバー達。

 使い始めて一日で結論を急ぐ事もないだろうという空気が場を包んだ。


「しかし、イズミは気を付けたほうがいいかも知れんのう」


「オレ?」


「いや、レーザーブレスでおかしな事をする等といった事を心配してはおらんぞぃ。ただ、人前で使うのは避けたほうがいいかも知れん」


「何か問題が?」


「問題というほどではないかも知れんが、ワシら同様に色々と聞かれはするじゃろうな。ワシにしても長年生きてきたが初めて目にした魔法であったしのう。もちろん異相結界も含めての事だがの」


「あー、そうか……確かに。この里みたいに閉鎖されたコミュニティ以外だと予想も着かない対応を迫られそうだなあ」


 まだこの世界の人間社会に触れてないからなんとも言えないけど、少なくてもオレよりはこの世界の人間の事を知ってるズカ爺がこう言うって事は、それなりに留意しておいたほうがいいだろう。

 異相結界なんて、最近じゃ人間が使ってるのを見た事がないなんてって言ってたしな。


「まあ、いきなりこんな魔法ぶっ放す事そうそうないだろうけど、面倒くさいのは勘弁して欲しいから気をつけるよ」


「それがいいじゃろうな」


「イズミの意思とは関係なく巻き込まれる可能性もあるけどね」


「わふっ!」


「リナリー、そこは敢えて触れないようにしてたんだから言うなよ……ラキも笑顔で肯定しないでくれ」


「そうだったの? イズミって体質的にトラブルが寄って来そうだから無駄な努力っぽいけど」


「いやな体質だな、おい……」


 リナリーの言うとおり、何度か知らないうちにフラグが立ってる気がするんだよな。

 いつそうなってるのか分からないから回避しようもないのが性質が悪い。

 コレばっかりは、なるようにしかならないよなー。


 温泉とかの効能で体質改善って出来たっけ?

 誰かーっ! 体質改善方法知ってる人いませんかー?






 ~~~~~






「さて、ひとまずガワは完成。後は魔力が全快するのを待つだけだな」


 試作品とは別に、本番用にとっておいた材料を使い、無限収納エンドレッサーを魔方陣も含め作成。


「ほんとに簡単に作ったわね無限収納エンドレッサー……半日もかかってないじゃない」


「半日かかったのは、作り方の解説を聞きながらだったからな。手順が分かってればこんな感じだ」


「その転写の技能がすさまじいのう。その昔、魔方陣のエキスパートである書き手(マーカー)といわれる者達が似たような事が出来たと聞くが、お前さんは書き手(マーカー)ではないのか?」


書き手(マーカー)の事もチラっとイグニスから聞いたけど、明らかに違うね。オレはその能力を持ってない」


「さすがに、そこまでデタラメじゃなかったみたいね」


 何やら二人してホッとしたような顔してるけど、そこまでの能力は持ち合わせてないぞ。

 書き手(マーカー)ってのは演算、推理、理論構築の能力を高い次元で融合させた、超特化型能力を持った者の事だ。

 オレの記憶能力だけじゃ、どう逆立ちしたってそんな人間離れしたものは獲得出来る技能じゃない。

 

「どの口がそれを言うのかしらねー」


「なんだよ? オレの場合、魔力が多いだけだろう。記憶能力以外で特化した特殊技能なんてないぞ」


「体術も異常なんですけどー」


「そこは認める!」


 胸を張って言えるぞ。


「なに偉そうに踏ん反り返ってるのよ……」


「長年の積み重ねだからな。それが一般人以下だったらヘコむわ」


「お前さんの強さは、ちと信じ難い強さじゃな。腕のたつ人間を何人か見た事はあるが余裕でそれを超えとる」


「それって道師タオマスター?」


「いや、本物・・道師タオマスターは残念ながら見た事はないのう。人界にはいないという話も聞くが」


「そっか、でも強いヤツがいるって聞くと、ちょっと嬉しくなってくるな。機会があれば会ってみたい。まあ最終目標はイグニスだけど」


「そんな事考えてたの!?」


「イグニス様と並び立つ事を考えるとは……」


「大それてる?」


「いや、普通はその発想にはならんからのう。あの魔力を見てそう言える者はまずおらん」


 確かに、なんだよあの魔力は! ってなるもんなあ。

 さすがは序列上位に君臨してるだけはある。

 それより強い、上の二人が気になるけど何故かそこは考えちゃいけないような気がする。

 

「挑もうって考える事自体、普通なら正気を疑われるわね」


「いつもオモチャにされるから、いつかギャフンと言わせたい」


「イグニス様なら、お願いすれば言ってくれるんじゃない?」


「そういう事じゃねえよ」


 ギャフンの意味が通じてないかと思ったら、分かってて言ってるな? コノヤロウ。


 無限収納エンドレッサーを後は魔力を込めるだけという状態まで仕上げて、一息ついて色々話込んでいたら本道なのか横道なのか分からない感じで会話が進んでいたが、ひとまず確認が必要な事は聞いておいたほうがいいだろう。


「色々と慌しくて聞きそびれてたけど、鉱石竜って何か素材として使える?」


「さて、どうかのう。市場はもちろん、他里との取引でもお目にかかった事はないが……文献では鉱石竜を倒せば神話の力を得られるなどと記されているが、それが本当の事なのかどうかさえ具体的な事は何も分かっておらぬしのう。しかし年代ものの加工品の中には、そういったものが知らずに使われている可能性はあるが」


 プレジーア・シングと言われる加工品や道具がそうである可能性が高いという。

 これは所謂アーティファクトとかオーパーツいった類のもので、創作物でよく目にする超級アイテムの事だ。

 現在では実現不可能、過去の技術水準でも創造可能かどうか疑われるような常軌を逸した壊れ性能を有したアイテムを総称して、そう呼んでいるらしい。


「どうも食べられそうにないから、なんとか有効利用したいんだけど」


「食べるつもりだったの!?」


「? 倒したなら食べるだろう。石を剥いじまえばイケると思ってたのに当てが外れたからなあ」


「食材として見る事が間違ってるの!」


 良く分からないな。狩ったら食べる! これ常識。


「それはそうと、全く手付かずなのは何か理由が? 尻尾くらいは取り出して色々調べてるかと思ったけど」


「最初はそれも考えたがの。しかしお前さんが寝てる間に不測の事態が起きたら対処できる者がラキ殿しかおらん。それはリスクが高すぎる。それに熟成後に返すつもりだったドルーボアと違い、倒した者の了承もなく、こちらで色々としてしまうのは違う気がしてのう」


「オレの了承とかは気にしなくても良かったけど、確かに何かあった場合はただじゃ済まないからなあ。魔力の動きは完全に止まってたし、そこまで危険じゃなかったとは思うけど事情は理解できた。って事で、まず尻尾から調べたいけどいい?」


「ん、構わんぞぃ」


 魔石の山の横に、無限収納エンドレッサーからドスンッと尻尾を出す。

 うん、魔力自体は無くなってはいないけど動きはちゃんと止まってる。

 取り出した瞬間にビタン、ビタンと動き出すような事もなくてホッとした。


「ところで、ラキでもこれは食べられないよな?」


 もしやと思い尋ねると、首を傾げてから尻尾を見つめるが自分でもよく分からないらしい。

 フンフンと鼻を鳴らし匂いを確認し、おもむろにあんぐりと口を開ける。


 ガキンッ!


 すごい音したな!

 おいおい。火花散ってるぞ。

 何度も噛み付いて確認してるようだ。

 全く歯が立たないわけじゃないみたいだけど、様子を見る限りコレを食べるのは無理がありそうだな。

 と思ったら、瞬間的な魔力の集中を感知。

 何が起きてるか理解するより先に盛大な破壊音。


 ガゴッ! という音とともにラキが尻尾を噛み砕いた。


 えぇーっ!

 さっきまで歯がちょっと刺さる程度だったじゃん。

 ボリボリと咀嚼してるし。何それー。


 ああ、クチ回りを強化したのか。

 かなり念入りに噛み砕いて飲み込んでるみたいだけど、大丈夫なのか?

 ラキもバカじゃないから害があるならすぐに吐き出すだろうけど。

 それにしても難しい顔して食べてるな。


「わふっ!」


 あー、何が言いたいか分かったよ。

 味的に無理なんだな。


「そんなに不味かった?」


「ウォン!」


 やめとけばよかった! って言ってるのかねコレは。

 

「じゃあ、食べるのはなしだなあ」


「まだ食べる気でいたの!?」


 リナリーの突っ込みも分からなくはない。美味いなら挑戦しようとは思ってたけど。


「お前さんまで食べると言い出さなくて安心したわい」


「食料としては使えないから、後は素材として何が出来るかだけど……とりあえず魔力を込めてみるか」


 丁度ラキが噛み砕いた破片があるから、それを使おう。

 黒曜竜の外殻を覆っていた黒い物質だ。

 よく見れば少し透き通っている。

 拳ほどの大きさのそれを持ち、魔力を流す。

 

「お、これは……! 高純度の魔石?」


 魔力を流すと、何かに消費されるとか霧散してしまうような気配がない。

 流した分だけ蓄積されていくのが分かる。


「ふむ、どうやら似たような機能を持っておるようじゃな。取り出す際に魔力の変質がなければ魔石として利用可能じゃろう。いや、もしかしたら高純度の魔石とは鉱石竜から採取できる外殻の事を指すのかもしれんのう」


 試しにリナリーに手渡し、蓄積された魔力を取り出せるのか検証してもらう。


「問題なく取り出せるみたい……魔力密度が他の魔石とは桁違いだけど」


「幸先がいいな。確実な利用方法があっさり見つかった。さあて、他の可能性は――」


 ただ魔力を流すだけじゃなく、若干魔力に効果を加えて試してみる。

 内部に熱を加えてみたり、同じように内部や外部に火や水を発生させる魔法をかけてみたり、と今現在オレが使える魔法を全部試してみた。

 ラキとリナリーにも手伝ってもらい、氷結や回復の魔法もかけてみたりもしたが、あまり結果は芳しくなかった。

 魔力自体は多少吸収するが砕けてしまったり変化が見られないなど、どうもいまひとつだった。

 感覚的には、もう一押し、あと一歩といった感じがするが、その足りない何かが分からない。


「これはオレの技術じゃ難しいな……何か出来そうな気はするんだけど。爺ちゃん、生産系のメンバーにお願いできない?」


「それは構わんが、お前さんの滞在中に結果が出るとは限らんが、いいのかの」


「全然問題なし。半年、遅くても一年以内には必ず顔を出すから」


 先の事は分からないが、コレっきりというのは寂し過ぎる。

 仮に一年以内が無理だったとしても帰る前には絶対に来るつもりだ。

 まあ移動がちょっと面倒なだけで、一年以内というのだってそれ程難しい事じゃないはずだ。

 

「そうなんだ……」


 ん? リナリーが一瞬いつもと違う表情だったような気がしたけど……気のせいか?


「そういう事なら生産担当に任せるとしようかの。しかし何故2本なのじゃ? 研究なら1本で充分じゃぞ」


 オレが無造作に取り出した2本の尻尾を見て疑問の色を浮かべる。


「や、さすがに手間とか考えたらタダでやってもらうのもね。だから1本はサンプルで1本は報酬として出そうかと」


「イズミよ、お前さんは少しこの世界の価値基準を勉強したほうが良いようじゃな」


「あー、そっか。やっぱり面倒な事頼むんだから、もう2,3本――」


「待て待て、出すでない。逆じゃよ。そもそも里の危機を救ってくれたお前さんから何かを要求するつもりはない。それでは礼にならんからのう。何より、このクラスの素材を研究できるというだけで本来なら報酬すらいらないんじゃ。ましてやもう1本などと度を越しておる。――言っておくが妖精フェア・ルーのみの価値基準ではないからの」


「ん~」


「納得しておらんようじゃが、何百年単位で手に入るかどうかの超のつく希少素材の価値というのは普通の基準とかけ離れていても当然というのが共通認識となっておるぞ」


「なんとなく分かった。でも正直オレが持ってても死蔵する可能性もあるから、やっぱり渡しとくよ。まだ大小合わせて5本くらいあるし本体だって残ってるからさ」


「仕方がないのう。しかし、これではどちらが礼をしているのか分からなくなりそうじゃ」


「でも成果を考えたらこれがいいんじゃないかと。何事も無駄はよくない」


「効率重視? イズミらしいけどね」


 若干の呆れを含んだ声と苦笑気味のリナリーだが、オレの事だからと諦めたらしい。なぜ諦める。

 それはそれとして、魔石としては最高ランクのものとして使えるのが分かったのは非常に大きい。

 あとはもうひとつの方を色々試してみようか。


 黒い鉱石とは別に、赤い鉱石がまだ残っている。

 変身の過程で黒い鉱石が変質したものではなく、体内に隠れていただけのようだ。


 先程と同じで、まずは内側から熱を加えてみる。

 なんのリアクションもなかった黒い鉱石とは違い、何か反応らしきものがある。

 しかし効果がまだ分からないので続けてみる。


「ッ! ヤバイ!!」


 感じた寒気の理由を問うより先に咄嗟に異相結界を展開。

 赤い鉱石を半球状の結界で覆った次の瞬間


 バガンッ!!


「……爆ぜた」


 我ながら見たままの言葉しか出てこなかったのが間が抜けてる。

 小さな六角形のパネルを半球に繋ぎ合わせて隔離したその空間内で、見事に爆発した。

 パネルを極小サイズで無意識に展開した事に我ながら驚いたが、まさかの爆発にも正直ビビッた。


「爆発するとは思わなかった……」


「もう! 危ないってば!」


「すまんすまん。異相結界が間に合って良かったわ。一瞬空に打ち上げようか迷ったんだよな」


「今のは内部に熱を発生させたのじゃな? 耐え切れなくなって爆発したようには見えなかったが……戦闘時のように、これが本来の機能という事かの?」


「うーん、とりあえず他も試してみない事には……ってあれ? 跡形も無くなってるかと思ったらまだあるぞ……」


 少し小さくなってはいるが実験前と同じように目の前にある。

 使い捨てにならなくて良かったけど、どういう事だろうコレは。

 まあ、それの検証は後でもいいか。とりあえず他の魔法もやってみよう。

 気を取り直して水の魔法をかけてみたが何の反応もない。

 まさか、一回こっきり?

 しかし再度試した発熱魔法には反応した。


「爺ちゃんの言った通り、爆発する機能だけなのかな?」


「さてのう、ひとつと言わず幾つか試してみてはどうじゃ? 何か違う反応があるやもしれん」


 確かに鉱石のあった部位で違いがあるかもしれない。

 今度は神樹の刀で違う部分の赤い鉱石を切り出して実験してみる。

 安全のために異相結界に閉じ込めた状態で。


「水が出てるはずなんだけど、変化がないなー、どうな――」


 ドフッ!!


「また爆発した! どうなってるの!?」


「いや、オレに聞かれても……それに今回のは爆発っていうより噴き出したっていうのが近いんじゃないか?」


 そう、霧に近い状態で全方位に一気に噴き出したのだ。

 結界を解除して手にとってみても実験前と見た目は変わらない。

 噴き出した水の量が明らかに少ないけど、どうなってるのかね?

 ほとんど意識せずに魔力を流したら何やら反応が。


 ドボドボドボー


「うお! 水が出た! ……なんだこれ」


「これは……もしや万象石、か?」


 驚いたように呟いたズカ爺の顔は気のせいじゃなく渋い表情。

 自分の言った言葉に確信が持てないといった風だ。


「万象石?」


「私も初めて聞きます。何ですか万象石って」


「……あらゆる魔法と適合する魔石、それを万象石というらしい。ワシも言い伝えでしか聞いた事がない。もはや空想の中にしか存在しないものだと思っていたが、まさか鉱石竜の中に……」


 ズカ爺は信じられないといった風だが、それを聞いて少し納得が出来た。

 効果の違う魔力なのにどちらも抵抗がなかったからだ。

 その後幾つか検証を重ねてみたが、やはりどの魔法も抵抗なくその効果ごと吸収されていた。

 発動の方法は魔力を流している間か、魔力を流した瞬間に込められた魔法が発動する仕組みのようだ。

 最初に爆発したのは単なるオーバーフロー。流し込んだ魔力が多過ぎただけだった。

 込められる魔力量は大きさに比例しているようで、大きいほどより高度な魔法が込められると予想できる。

 その他としては、一個につき一系統という制限。

 一度魔法を込めると、同じ魔法しか吸収しなくなる。

 そして、時間が経過すると込められた魔法によって色が変化するくらいか。

 なんにしてもデメリットというほどの制限ではないだろう。


「逆に万能過ぎて、どう使えばいいか分からなくなるくらいだな……」


 まだ沢山あるとはいえ、手当たり次第に込めていたらすぐに底をつくだろうし、優柔不断な人間にはちょっとキビしいなこれは。

 使い道は後でまた考えればいいか。

 研究の結果を待ってからでもいいしな。

 というわけで、まだ試してない魔法をいってみよう。

 何の役に立つか良く分からない微妙な魔法だが、オレの使える魔法はこれで最後だ。


 振動魔法


 発熱と同系統の魔法。だと思う。たぶん。

 今のオレの戦闘スタイルや生活スタイルだと、イマイチ使い所に迷う魔法だ。

 というか思いついたのが最近過ぎて検証もしていない。

 汎用性という点では割りと上位になると思うが、ここ何日かの忙しさで、すっかり頭から抜けていた。

 なので、丁度いい機会だからここでやってしまおうと思う。


 まっさらの鉱石を手に取り、振動開始!


 徐々に振動数を上げていくと物体の震えが肉眼では確認できなくなり、キイィーンという高い音が鳴り始めた。

 変化があまり見られないので魔力の出力を上げて限界値を探ってみる。

 甲高い音が大きくなってきた。


「な、何? なんの音!?」


 イイィィーーッ! という大きな音にリナリーが片耳を押さえる格好でオレのほうを伺う。

 ほどなくして今度は音が聞こえなくなってきた。

 可聴息を超えたか? まだラキとリナリーには聞こえてるみたいだ。

 さらに出力アーーップ!


 ラキが一番最後まで聞こえてたようで、ずっと耳をペタンと伏せていた。

 うーん、これ以上やっても何もなさそうだ。

 と魔力の入力を止めようかとおもった矢先、大きな音が鳴り響いた


 パキィンッ!


 何かが割れたような澄んだ音が鳴り響いたと思ったら、今度は赤い鉱石が淡く光り始めた。

 そしてその時点で新たな魔力を受け付けなくなった。

 何かが変化したのは分かるけど、どんな機能が吸収されたんだ? ただの振動だぞ。


「ふむ、なんだコレは?」


 色んな角度から見てもその感想は変わらない。

 これ以上は実験が出来ないという状態になったのは理解できるけど、何が出来上がったのか。


「それは……っ! 共鳴晶石ユニゾンクォーツではないか!?」


 今まで何をするのか興味の色を隠さずに黙って見ていたズカ爺が、猛スピードで飛んできた。

 共鳴晶石ユニゾンクォーツ? どっかで聞いたな。


「ああっ! イグニスが言ってたヤツか! ……でもこれが?」


「間違いない……こんな方法で作れるとは……」


 興奮気味にズカ爺が色々と質問に答えてくれた。

 大きな音の後、オレが完成したかなと思った時に感じた魔力が覚えのある波長だったらしい。

 それが共鳴晶石ユニゾンクォーツの波長と全く同じだったと。

 なぜすぐに気付いたかといえば、この里にも数年前まで共鳴晶石ユニゾンクォーツがあったようなのだ。

 他の里でどうしても必要だという事で一時的に貸し出したんだそうだ。

 でも未だに返って来てないって……それ借りパクされたんじゃ……

 とオレがネガティブな思考になっていた事に気付いたかは分からないがフォローするように説明が続いた。

 確かに里の秘宝ではあったが、使用する事もほとんどなく、それ故どうしても必要だと言われれば貸し出してもいいだろうとなったらしい。

 5年、10年は全く問題ないし、それで解決するなら返って来なくてもいいくらいに思っていたようだ。

 お人好しというかなんというか。

 でも里のみんなを見てるとそれも頷ける。

 しかし今回の里の危機に際して、共鳴晶石ユニゾンクォーツがあれば、という事案が幾つかあったそうだ。たぶん神域まで赴いたリナリーの件もそうだろう。

 鉱石竜は倒されて平穏は戻ったが、やはり遠距離の連絡手段はあったほうが良いと思っていた所に、オレが偶然作り出してしまったので驚いて興奮を隠せなかったと。


「お前さんは本当に予想を軽く飛び越えるのう。素材にしても技術にしても明らかに我らのほうが貰い過ぎているぞぃ」


「うーん、そう言われてもねえ。オレは損してないから気にしなくてもいいと思うけど。どっちも得ならそれでよくない?」


「気にする所が、どこかすっ飛んだ所にあるのよね」


「ほっほ、それがイズミという人間なのじゃな。ならば我らは全力でお前さんに返せるように気張るとしようかの」


 その会話に続いて、共鳴晶石ユニゾンクォーツの使い方を教えてもらった。

 具体的な使い方は完成させない事には始まらない。

 実はこの状態はまだ完成していない。

 これを割るなり切るなりして分割して初めて完成する。

 ここで気をつけなきゃいけないのが、小さくなり過ぎると機能しなくなる点だ。

 今回は半分に切り分けて完成させてみる事にした。大きさも問題ない。

 この状態でどいらか一方に魔力を流すと離れた場所で会話が出来るらしい。

 細かな理屈はさておき、この分割した状態でもひとつの物体として存在しているという訳の分からない状態だという。次元を介してなのか亜空間を介してなのかは分からないが、繋がっているらしく時間と空間を越えて全く同時に振動する。

 その性質を利用して、魔力を使って石に伝達された音をもう一方で聞く事が出来る、というのが大雑把な仕組みの説明だ。


 確認のためにリナリーに片方を持ってもらい、オレは声の届かない森の中まで移動する事にした。

 早速魔力を流し通じるか確かめる。


「あー、リナリー聞こえるかー?」


『ほんとに聞こえた!』


「今、移動しながらだけど、どうだ?」


『聞こえるわよー』


「一旦切るから、今度はそっちで魔力を流してみてくれ」


『了解。――――繋がった?』


「双方向の呼び出しも問題なしか。あと障壁の中からもイケるか試してみるから待っててくれ」


『ん、わかった』


 かなり強力な障壁を展開してみたが、会話はどうか。


「リナリー、一回お尻見せてくれ」


『みみ、見せる訳ないでしょ! バカ! 死んじゃえ!』


 あ、通話が切れてる。

 死ねって言われたよ。軽い冗談だったのにねー。


 大まかな使い方が分かった所で広場に戻り、顔を真っ赤にしたリナリーのレーザーブレスを異相結界でやり過ごしてからズカ爺の所へ。

 そこには生産担当の妖精たちも集まって素材について騒がしいほど意見を交わしていた。


 夕食後まで続いた話し合いの中で、オレの使用した振動魔法についても聞かれ、その辺の石で試した所、何人かが使えそうだというのも分かった。

 夜も遅い時間だというのに実験を始めようとする生産系廃人たち。

 それにズカ爺が待ったをかける。


「貴重な素材を前に興奮するのは分かるが、順番を間違えてはいかんぞ。まずはイズミの装備を完璧に仕上げてからじゃ。実験や調査はその後に存分にやれば良い」


 その言葉に全員がハッとなり


「そうでした! 自分達の好奇心など二の次です。恩人たるイズミさんに完璧な装備を渡さねば」


「例え倒れても最高のものに仕上げてみせます! 睡眠を削るといい感じに集中力が増すんです」


「いや、それって感覚がおかしくなってるんじゃ……」


 オレの言葉なんか耳に入ってないなこれは。

 興奮のし過ぎで、変なテンションになってるんじゃないかと心配になるような事を口走っていた妖精もいたが、皆やる気に満ちた顔で工房に戻っていった。


「ふぅ、やれやれ困った者たちじゃ……。さて、ワシも今後の事を色々と考えねばならんな。ワシは戻るが、お前さんたちも今日は疲れたのではないか? 部屋でゆっくりしているといい」


「ん、わかった、ありがと」


 戻るという言葉から察するに、最長老と言われる立場なら、おそらくズカ爺専用の執務室のような部屋があるのだろう。

 ではな、というズカ爺の言葉に、おやすみーと返してオレたちも部屋に向かった。

 

 リナリーはすっかりオレ達と行動するのが当たり前になってるな。

 まだちょっとさっきの事を根に持ってるみたいだ。

 耳を赤くしながら、ずっとスカートを押さえてオレの動きを警戒している。

 触らないっつーの!


 まあ、いいか。

 とりあえず最後にやる事あるし、そのために魔力の回復に専念しよう。

 


 二人がうたた寝し始めた頃、やっと魔力が全快したので無限収納エンドレッサーに魔力を全力で込めることにした。

 今回は気絶する事を前提にしてフルチャージだ。


 準備よし!

 未完成の無限収納エンドレッサーに全力で魔力を注ぎこむ。

 毎回使ってて思うけど、別の無限収納と繋がってたら便利だよな。


 なんか前回よりも魔力を吸収する勢いがすごいな。

 あー、すげえ眠くなってきた……


 随分と反応が違うけど、何かやらかしたか?


 あ、だめだ……眠い


 確認は明日だな。


 ……おやす……み


 そこでオレの意識が途切れた。





遅くなりました。

また予定より文字数が増えてしまいました……

なぜ、まとめられないのか!

実力がないから仕方ないですね(´・ω・`)


ブックマーク感謝です(´∀`)

楽しんで頂けたら幸いです!

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