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【完結保証】さようなら、婚約者様。私を騙していたあなたの顔など二度と見たくありません  作者: ゆうき@呪われ令嬢第二巻発売中!


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第一話 もう私は愛されていない

「アイリーン、まだそんな所の掃除をしているのか。貴様は本当にのろまでグズな女だな!」


 とある日の朝、今日も屋敷の床磨きに精を出していると、整った顔立ちと金色の髪が美しい高身長の男性に、突然罵声を浴びせられた。


「そんな雑巾なんかで拭いてないで、貴様のご自慢の尻尾で掃除をしたらどうだ? 貴様にはピッタリの方法だろう」


「ご提案してくれて、ありがとうございます、ゲオルク様。ですが、私の尻尾はそのような用途に使うものじゃありませんから」


 ただでさえ、さっき別の邪魔が入ってしまって掃除が遅れてしまっているのに、ゲオルク様の提案などに耳を傾けている時間はない。


 そもそも、私の仕事が遅れたら怒るのはゲオルク様達なのに、自ら邪魔をするようなことをするのは、何故なのだろうか。


 日頃から私にしている嫌がらせの一種なの? もしそうなら、どれだけ暇なのだろうか。他にやることがあると思う。


「俺様が提案してやっているのに、偉そうに反抗するのか? 俺様の婚約者の分際で、随分と偉くなったものだな?」


「そのようなつもりはありません。あなたのために、私はこうして身を粉にして働きたいだけです」


 別に私は、この屋敷の掃除が好きなわけではないし、仕事がしたいわけでもない。

 これでも一応、ゲオルク様の婚約者だから、余計なことをして婚約を解消されては困るから、文句を言わずに仕事をしているにすぎない。


「それでその体たらくか? 仕事が大好きなら、毎日もっと早く終わらせようと思わないのか」


「そうしたかったのは山々ですが、本日も彼女達に邪魔をされてしまったので、遅れてしまいました」


 実は先程、ゲオルク様の妹様に、ただ廊下で掃除をしていたのに、むしゃくしゃしているからという理由で暴力を振るわれた。

 その痛みのせいで、しばらく何も出来ずにうずくまっていた。


 もう一人の妹様には、私が大の苦手なヘビのおもちゃをバケツの中に入れられてしまい、怖くて怖くて何も出来なくなってしまっていた。


 似たようなことを毎日されていれば、仕事が遅れてしまうのも仕方がないことだと思う。


「なんだと? それだと、俺様の可愛い妹たちのせいだと言っているようじゃないか!」


「そうお伝えしているつもりです。ゲオルク様、彼女達に仕事の邪魔をしないように伝えてください。私が伝えても、絶対に聞いてもらえません」


「黙れ! しょせん容姿がいいから俺様の目に留まって婚約し、ここに住まわせてもらっている貧乏人風情のくせに……大切な妹達を悪く言うな!」


「っ……!」


 ゲオルク様は、私の足元にあったバケツを手に取り、中に入っていた汚れた水を私の頭からかけてきた。


 おかげで、私の肩くらいまで伸びる銀色の髪と、もふもふの尻尾はぐっしょりと濡れ、作業着として提供されている古いエプロンドレスが、ぴっちりと肌にくっついてしまった。


「ははっ、なかなかいい格好になったじゃないか! 貧乏人には、みすぼらしい格好が良く似合う!」


「……ゲオルク様、そろそろ約束の時間ではありませんか?」


「む? おお、そうだった! そのスケジュール管理に免じて、今日は許してやろう。早く掃除を終わらせて、次の仕事をしろ! いいな!」


「はい、ゲオルク様」


「ふっ……待っててくれ、愛しのルシア!」


 ゲオルク様はとある女性の名前を呼びながら、軽い足取りで去っていった。


 ……元々彼は、ちゃんと私のことを愛してくれていた。


 数年前……まだ実家で過ごしていた頃、私の家はすごく貧乏だから、食べていくためにレストランで働いていたところを、たまたま来店したゲオルク様に一目惚れをされ、あれよあれよという間に婚約を結ばされてしまった。


 でも今は……見ての通り、ゲオルク様は私のことを婚約者として愛してはいない。

 今では、彼が通う学園で知り合った女性と親しくなり、私のことなど体のいい使用人のようにしか思っていない。


 別に私としては、それで一向に構わない。私もゲオルク様を愛していないどころか、顔も見たくないほど嫌いだから、一方的に愛されて変に絡まれる方が嫌だ。


 だからといって、婚約を破棄されるのは一番困る。何人でも私以外に愛する人を作ってもいいから、婚約者の立場だけは失うわけにはいかない。


「これも、大切な家族のため……」


 婚約する際に、私は一つだけ条件を出した。それは、私が結婚をする代わりに、両親の援助をしてほしいというものだ。

 これのおかげで、もう毎日必死に働かなくても、家族はごはんを食べていける。


 これが、森に捨てられていた赤ん坊の私を拾って、実の子供のように育ててくれた両親への恩返しなの。


「そのためなら、この程度は何の苦にもならない。さあ、さっさと掃除を終わらせて、次の仕事をしなくちゃ」


 私は、濡れた髪や服を拭く時間も惜しんで、再び掃除へと戻っていった――

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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