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クリスマスタウン

作者: はとたろ

小さな双子の魔女・ミーモとキーモは初めて訪れるクリスマスタウンにわくわくしながらパパとママと

ママの姉夫婦と共に鳩列車に乗りクリスマス旅行に出発した

二人を待ち受けているものは…

「 ミーモにキーモ、そろそろお家を出るわよ。支度は出来たの? 」



「 はぁい、ママ。キーモがまだなのお、ちょっと待ってて 」



「 待って待って。カナンのお着換えがもうすぐ済むからぁ 」



「 私も鳩のポーポー、抱っこしていこ~ 」


ミーモとキーモはもうすぐ7歳になる仲良しの双子の女の子


カナンはキーモの大切なパグ犬のぬいぐるみでポーポーはミーモの鳩のぬいぐるみだ


二人のママのキニーは優秀で心優しい白魔女であり、幼馴染の大魔王のコージュと大恋愛の末、結婚して仲良しの姉夫婦と共にこのピジョンタウンに移り住んで10年以上になる


二人の子宝に恵まれ今、現在もお腹には三人目のベイビーが宿っている


予定日は来年の6月で未来の妹か弟に会えるのをミーモとキーモは楽しみで仕方がない



「 さあ、二人とも、もうすぐクリスマスタウン行きの列車が来るぞ~ 」


「 はぁい、パパ~♪ 」


「 久しぶりのクリスマスタウンよね。この子たちは初めてだからきっと驚くわよ~ 」


キニーの6つ上の姉モーシャと夫のロアンもわくわく顔だ


「 ねえねえ、サンタさんに会える? 」


「 もちろんよ、キーモ、トナカイさんもいるわ 」


「 わぁい、ミーモ、サンタさんのソリに乗りたぁい♪ 」


「 はっはっは。あっちに着いたら頼んでみような 」



大きな真っ白い鳩の列車が翼を広げて空から舞い降りキニー家の前に止まった



ポッポーシュッシュッ ポッポー クルルッ


ピジョンタウンは魔界エリアなので旅行に出る時は空飛ぶ鳩列車が大活躍している



「あら、鳩列車が来たわ。さあさあ、乗りましょうね」


「 ようこそ鳩列車へ…これよりクリスマスタウンへ出発致しまっぽー。くるるっ、車掌のピジョンヌですぽ 」


鳩列車ゆえに車掌も売り子さんも鳩人間


「 わぁぁ、鳩さんの列車だぁ、可愛い~♪ 」


「 ママ、このお椅子、フカフカさん♪ 」


「 くるる、それでは発車致しますぽぉ 」



小さな魔女たちの夢と期待を乗せ、クリスマスタウンへの旅行が幕を開けた




※※※※※



「 わぁぁ、高い、高い、パパ~箒でこんなに高く飛んだことないよ~。すごいすごい♪ 」


初めての空飛ぶ列車に興奮気味のキーモ


「 ママ~、お弁当いつ来るのぉ? 」


ガラガラガラ…


噂をすれば…美味しそうなお弁当やサンドイッチ、ドリンク、アイスクリームをたくさん載せて愛らしい鳩娘の販売員がやってくる


「 おねえさん、ハンバーグありますかぁ? 」


鳩娘はにっぽり微笑んで


「 はい、ございますよ、お嬢様。ハンバーグ弁当と洋食ランチに入っております 」


「 では、ハンバーグ弁当ふたつとと洋食弁当をふたつ、バニラシェイクを人数分6つ、俺はチキンカレーとフライドチキンとコーラ。キニーは? 」


とコージュに聞かれ


「そうねぇ、私は中華弁当とハンバーグ弁当、姉さんはどうする?」


「私はハンバーグ弁当と卵サンドとカツサンドと…ミルクアイスにする。あなたは?」


「きみ、シェイク飲むのにアイスも食べるか(笑) 僕は弁当全種類とカツサンドとコーラ」とロアン


「ちょっと、人のこと言えないじゃないの~」


キニー家の魔女たちは大食漢なのだ



「 かしこまりましたぽぉ♪ 」



「 ハンバーグ、美味しいさん♪ 」



「 よかったねえ、ゆっくり食べなさい 」



お腹が膨れると満足して子供たちは夢のなか…



「 おお、空の色が変わったな、粉雪が舞っているぞ 」



「 クリスマスタウンに来たのね、ミーモ、キーモ、ほらほら、起きなさい。トナカイさんが空を走っているわよ~ 」



モーシャに起こされ寝ぼけながら目をこする二人



「 うん…眠いさん……ああぁぁぁ~トナカイさんだぁ!!! 」


「 すごい、すごい、すごいっ!!! 」



夜空に粉雪が花びらのように舞い踊るなか、イヴに向けての練習で軽やかな鈴の音と共にソリで空を駆け抜けているトナカイたち




ミーモとキーモは生まれて初めて見る夢のような美しい光景に大興奮



「 クリスマスタウンに到着でございますぽ~お疲れ様でしぽぉ 」


車内にアナウンスが流れ各自が旅行鞄を手に降りる準備をはじめていた



※※※※※



列車から降りるとお髭の立派なサンタさんがトナカイのソリで迎えに来てくれている


「 ホッホッホ~ ようこそ。クリスマスタウンへ!! ここは一年中クリスマスじゃよ~ホッホッホ~ 」


「 まあ、サンタさん、お久しぶりです 子供たちが楽しみにして来たんですよ 」


「 わぁすごいすごい! ミーモ見てみ! 本物のサンタさんだぁ♪ 」


「 トナカイさんもいるぅ。いっぱいいるぅ~すごいすごい 」


「 よく来たね、二人ともいい子じゃのう 」


サンタさんはミーモとキーモを抱っこするとソリに乗せてくれた


続いて大人組のキニーファミリーもいそいそと乗りこんだ



「 さ~あ、クリスマスマーケットとサンタホテルへ案内しよう。ダッシャー、ダンサー、プランサー、ヴィクセンにコメット、キューピッド、ドンダー、ブリッツェンよ、

いざ出発じゃ~ 」



シャンシャンシャン♪ 夜空をソリが駆け抜ける


「 二人とも、ご覧。あれがクリスマスマーケットじゃよ 」


50メートルもある2000本の大きなクリスマスツリーに眩いばかりに色とりどりの煌びやかなイルミネーションが煌めいている


「 あのツリーにはのぉ、何万人もの星の子供たちが輝いてお前さんたちを歓迎しているんじゃ。ホッホッホ~ 」


「 お星さまの子供なの? あんな高い処にいて怖くない? 落ちたりしないの? 」


心配性のキーモがサンタさんに尋ねると


「おお、優しい子じゃのぅ。大丈夫じゃよ。星の子供たちは空を自由自在に飛べるからのぉ。みんなキラキラ楽しそうに輝いておるじゃろう」


「 すっごぉぉい、屋台がたくさん!! 」


「我が村の誇るクリスマスマーケットじゃ。美味しいモノがたくさんあって面白いぞ。あとでパパとママと行ってごらん」



観光を兼ねたソリはサンタホテルへと到着した


「サンタさん、ありがとう。」


ミーモとキーモがお礼のキスをするとサンタさんはにっこり微笑んで赤と緑のクリスマスカラーに可愛くラッピングされた小さなプレゼントを渡してくれた


「 いい子じゃのお。これをお前さんたちに…ゆっくり楽しんでおくれ。ではイヴにな 」



シャンシャンシャンシャン♪ 瞬く間にソリは夜空を駆け抜けていった


ホテルにチェックインするとエントランスにゴールドを基調としたラグジュアリーなクリスマスツリーが迎えてくれる

ツリーの下にはたくさんのプレゼントが置いてある


「あのプレゼント、本物かなぁ」


ミーモが興味深げに見つめていると背の高いスノーマンがやって来て


「 お客様、あちらのプレゼントは全て本物ですよ。どれでも好きなモノをお持ちください 」


「 わぁぁ~、嬉しい! 」


ミーモとキーモは大きなプレゼントボックスを選んで満面の笑み


「ねぇママ、さっきサンタさんがくれたプレゼント開けてもいい?」キーモは待ちきれないという表情でママに尋ねる


「私も見たい」とミーモ


キニーは子供たちに優しく微笑み「いいわよ、お部屋に着いたらママにも見せて」


「わぁい、はやくはやくぅ♪」


スノーマンに荷物を運んでもらい部屋に着くと子供たちはわくわく顔でサンタさんからのプレゼントを開ける


箱を開けると白いボアのついた真っ赤な可愛いトナカイ模様のハンドウォーマーが入っていた


「わぁ可愛い~」


「すっごくあったかいよ♪」


「二人ともよく似合うわよ。良かったわね」


「流石はサンタさんだな、サイズもぴったりだ」とコージュは目を細めて無邪気に喜ぶ娘達を見つめている


「ねえ、二人とも、さっき選んだプレゼントには何が入っているの?」


モーシャに言われ二人は慌てて箱を開けると…


チョコにキャンディ、ミルククッキー、ビスケット、ポテトチップ、ありとあらゆる魅力的なお菓子がたくさん入っている


「ママ、カードが付いてるよ」


「どれどれ…このお菓子は来年の1月いっぱいまで食べても食べても箱を振るたびに増え続けます。素敵なクリスマスを!」


「魔法のお菓子だぁ!!!」


子供たちは大喜び


「私も持って来たんだけど…」


モーシャも恥ずかしそうに大きな箱を抱えていた


「姉さんらしいわ(笑)開けてみて」


ガサガサ…


「キャー♪ チョコレートの山よ、何種類もの板チョコ、チョコクッキー、ヌガーに大好きなフィンガーチョコがたくさん!」


モーシャは童心に帰り感動している


「君にぴったりじゃない。ちなみに僕も…」


と旦那様のロアンが選んだプレゼントの中身は…食べたことのない美味しそうな特盛のカップヌードルとお湯を注げば飲めるショコラにココア、キャラメルラテなど

インスタントのホットドリンクとお煎餅の詰め合わせがいっぱい


「大食いで煎餅好きのあなたのストライクゾーンね」



キニーは大好きなハッカの精油と肌触りのいいもふもふのひざ掛けにポテトチップの詰め合わせ


コージュは美味しそうなレトルトカレーとお煎餅の詰め合わせ


誰もが無邪気な子供に帰れるクリスマスだ



※※※※※



コンコン


「今夜はバイキングですよ。準備が出来ておりますので7階へどうぞ」


ノックのあと、ホテルマンのスノーマンさんが夕食を知らせてくれた


「バイキング、バイキング♪ ママ、そのあとでマーケット行く~」


「私もぉ~屋台食べたい」


いや、屋台は食べられないよ…屋台の食べ物ね。と心の中で突っ込んでしまう母キニー



「私も屋台の食べたい…」


姉の呟きに思わず吹き出してしまう


「ぷぷぷっ…さぁ、バイキングに行きましょう」


バイキングルームは50種類のスープとオードブルをはじめパスタ、ピラフ、ステーキ、ハンバーグ、グラタン、ローストビーフにチキン…カレー、パイ類、ありとあらゆる

ご馳走が湯気をたててキラキラと輝きを放ち並んでいる


グルメで大食いなキニー家の皆は余すことなく宇宙の胃袋をフル回転させ美味なるメインからスイーツに至るまでバイキングを堪能する


だが皆さん、魔女と大魔王なので1時間もすれば小腹が空き、クリスマスマーケットへと繰り出した


「わあ、トナカイさんやスノーマンさんが店員さんだぁ」


「クリスマスマーケットといえばまずソーセージとライベクーヘン、マッシュルームのソテー、フルーツのチョコレートがけに…そうそう、キニーの好きな焼きアーモンド。

グリューワインはキニーだけかな?あとは下戸だからホットチョコレート」


「あらコージュ、私もワインよりホットチョコレートがいいわ」とキニー


「じゃあコージュにお任せしちゃいましょ♪」と丸投げするモーシャ


「OK♪ キャンドルとオーナメントも必須だぞ~」


可愛い子供のトナカイさんが親切にテーブルへと案内してくれる



「こちらにどうぞ。席を確保しておきますのでマーケットを楽しんでくださいトナ」


美しいガラス細工や木彫りのオーナメントに虹色に光るクリスタルツリー。華やかなドライフラワーのリース。


可愛らしいスノーマンやトナカイのぬいぐるみにアクセサリー


何時間いても飽きないであろう夢の世界だ


「あっ、さっきのサンタさんだぁ!」


ミーモとキーモに可愛らしいハンドウォーマーをくれたサンタさんはスノーマンと差し向かいのテーブルでソーセージを食べながらグリューワインを飲んでいる


「おや、ミーモちゃんにキーモちゃん。こっちへおいで」


カラフルで大きなペロペロキャンディを二人にくれる


「サンタさん、さっきはプレゼントをありがとうございます!! 見てみて♪」


キーモとミーモはおろしたてのハンドウォーマーをサンタさんに見せてにこにこ顔


「おお、おお、さっそくしてくれたのか。可愛いのぉ」


サンタさんは二人の頭を撫でると席を立ち


「さてさて…家に帰ってリストのプレゼントのチェックをしておくか」


「サンタさん、もういっちゃうの?」


悲しそうなミーモ


「また会えるよ。滞在はいつまでかな?」


「26日にチェツクアウトなんです」とキニー


「おお、キニー。お前さんにも子供たちと色違いのをあげよう。ご主人とお揃いじゃ。ホッホッホ~」


「俺にもですか♪ 嬉しいなぁ」


コージュもご機嫌だ


「じゃあ、二人ともまた会おうな」


サンタさんはソリに乗り家路へと帰って行った


ホテルに着くとコージュとキニーはサンタさんからのペアウォーマーを見て大喜び


「まあ! 私がピンクでコージュがボルドーだわ。おしゃれで素敵ね♪」


それを見て羨ましがるモーシャ


「いいなぁ。私もイイ子にしていたんだからプレゼントほしい…」


「子供みたいなんだから(笑)俺が買ってやるよ」


「いらない…サンタさんのがいい」


ロアンに言われていじけるモーシャをキーモが撫でながら


「モーちゃん、可哀想に…キーモのあげようか?」


「優しいのね、キーモちゃん。ごめんごめん、ちょっと拗ねただけだから(笑)」


「みんな、来てご覧! スノーマンが空を飛んでいるぞ」


大きな窓から外を見るとたくさんのスノーマン達がふわふわと楽しそうに飛んでいた


「すごぉい~! まるでアニメみたい♪」


「なんだか感動しちゃう」


「本当ね。来てよかったわ」



子供も大人もハートが夢色に染まるサンタホテルでの夜は更けていった




※※※※※



モーニングは和・洋・中華のバイキング


ティータイムはルームサービスで10種類以上の紅茶・緑茶・中国茶・コーヒー・ココアと20種類の焼き菓子にサンドイッチとケーキが小腹を満たしてくれる


ランチはサンタホテル自慢の手作りチーズたっぷりの牛・豚・チキンのデリシャスバーガーと熱々のフライドポテトにチキンナゲット


ホテル内にはスケート場があり、優しいスノーマン達が手とり足取りで滑り方を教えてくれるのでどんな運動音痴も30分後にはスイスイ滑って楽しんでいる


街に出れば妖精や小さなトナカイたちの営む雑貨屋さんやカフェにレストラン、花屋にサンタさんがシュトーレンを焼いているお店や

クリスマスショップが溢れかえりトナカイ牧場に行くとトナカイに乗って空をお散歩したり



テレビはクリスマス映画やドラマが24時間放映され誰もが終始笑顔で飽きることがなく瞬く間にイヴを迎えた





※※※※※


12月24日 イブの朝、誰もが神聖な気持ちとわくわく感に胸をときめかせていた


「いよいよ本番だね~」とテンションの高いミーモ


「うん♪うん♪ でも明後日は帰るんだね…」と寂しそうなキーモ


コンコン♪とノックにドアを開けるとサンタさんが大きなクリスマスプディングを持って立っている


「メリークリスマス! わしが作ったプディングじゃ。夕食の後に食べておくれ♪」


しょんぼりしてるキーモをひょいっと抱っこするとサンタさんはほっぺをツンツン


「おやおや、せっかくのイヴにしょげていては勿体ないぞ」


「だって…明後日はおうちに帰っちゃうもん…」


半ベソのキーモの頭を撫でながら


「そうかそうか…でものぉ、楽しみはもうちょっと…というくらいがちょうどいいんじゃよ。ずっとここにいたらピジョンタウンが恋しくなるぞ」


「そんなことないもん…」


「フォッフォッ…ホー、なら特別にわしのおもちゃ工場に今から招待しよう」


沈んでいたキーモの顔が一瞬でキラキラ輝いた


「本当??」


パチン♪とサンタさんが指を鳴らすとどこでもドアが出現する


「あけてごらん」


キーモがドアを開けるとあたたかなお部屋に暖炉が灯り、クリスマスツリーが飾られている向こう側でたくさんの可愛らしいエルフ達が忙しなく働いている



リストを片手にチェックしながらおもちゃを箱に詰める者


「ラッピング出来たぞ~」


クリスマスカードを添えてラッピングをする者


「んしょ、んしょ」


プレゼントをサンタさんの袋に詰める者


初めて見る光景に全員が目を丸くして感動した


「サンタ様、お客様ですか?」


「ああ、わしがご招待したんじゃよ。お前さんの焼いたビスケットとココアを持ってきておくれ」


「はいっ」


「こっちへおいで」


サンタさんに言われテーブルに着くと焼きたてのクロテッドクリームをたっぷり添えたビスケットとホイップたっぷりのココアが運ばれた


「わぁ! 美味しそう」


「好きなだけお食べ。魔法でいくらでも増やせるからのぉ」


子供たちは大きなビスケットにクリームをつけてパクリ


サックサクの生地からバターの香りが口いっぱいに広がりクロテッドクリームの美味しいことといったら…まるで魔法のような素晴らしい味に子供も大人も

言葉をなくして夢中で頬張る


「ママのより美味しい♪」とミーモ


「美味しくて何個でも食べられちゃう」と満面の笑みのキーモ


「なんて美味しいの…なんだか子供に戻ったみたい…」感動するキニー


「俺は…今日まで生きていてよかった!」感動するロアン


「これはテイクアウト出来ませんか?」真剣に聞くモーシャ


「エルフくん、是非コツを教えてくれたまえ」と料理好きなコージュ


「おいらのビスケットをそんなに喜んでいただけて嬉しいです! 」


「ホッホッホー、トムは料理名人でのぉ、そんなに気に入ってくれたのならこちらからいくらでも届けよう」


全員「本当ですかあぁぁぁぁ」


「サンタは嘘はつかんよ。ホッホッホ」


「ご機嫌は治ったかな?」


サンタさんに聞かれてキーモは満面の笑顔で答えた


「はい。サンタさん。エルフさん達とお話ししたり、美味しいビスケットとココアを頂いてとっても楽しくなりました。ありがとう。サンタさん」


「それはよかった。では…お部屋にお戻り。わしはそろそろソリに乗るからのぉ」


「今夜は本番ですね! 頑張って下さい」とコージュ


「おお。ありがとう、コージュ。すっかりいい父親になったのぉ」


「サンタさん、ありがとう」


サンタさんが再び指をパチンと鳴らし子供たちは手を振りながらどこでもドアでお部屋に帰っていった



※※※※※


子供も大人もめいっぱいおしゃれして会場へと赴くと


「メリークリスマス♪」


スノーマン達がふんわりした大きなリボンをミーモとキーモの頭に乗せてくれた


「わぁ!!可愛い! 雪だるまさん、ありがとう」


「今宵は楽しんでください」


大人のキニーとモーシャには雪の結晶で作られたダイヤモンドよりも煌めく美しいブレスレット


そしてコージュとロアンには同じく雪の結晶のネクタイピンが贈られる


スノーマンたちがクリスマスソングを生演奏するバイキングルームは大きなターキーをはじめ素晴らしい料理の数々…20種類以上のクリスマスケーキがずらりと並び

イヴならではのご馳走はみんなの舌を楽しませてくれた


誰もが満足して部屋に戻るとトナカイのスタンドが飾られクリスマスツリーの下には人数分のプレゼントボックスが置いてあった


「まあ! ネーム入りのカードがついてる!!」


「開けちゃダメ?」とミーモとキーモ


「我慢しましょうね。ママも早く見たいけどプレゼントを開けるのは25日の朝にならないと」


ウインクしながらキニーに言われ頷く子供たち


「これからどうする?マーケットに行くかい?」


「ううんうん、パパ。サンタさんの作ってくれたクリスマスプディング食べる」


「そうそう、プディングに火をつけなくちゃね♪」


プディングを箱から出すと一瞬で魔法の火が灯り青い炎が揺らめいて甘い香りを放つ


「綺麗……」


「神秘的ね」


切り分けて食べると…あまりのミラクル的な美味しさに全員が息をのんだ


「美味しい!!」


「こんなクリスマスプディングはじめて…」


「流石はサンタさんだな」


カリッ…


キーモの食べたプディングにサンタさんのお顔入りのコインが入っていた


「やった~キーモにコイン当たったぁ♪」


「よかったなぁ。キーモ、ハッピーな一年になるぞ~」


「わぁい♪」


と、突然、天井からヒラリとカードが落ちて来た


キーモがカードを開くと…


「メリークリスマス! このコインは願い事が三つ叶う魔法のコインじゃ。よ~く考えて願い事をしておくれ」


「サンタさん、ありがとう。私クリスマスタウン大好き! 来てよかったよぉ」


感動して嬉し泣きするキーモをキニーが優しく抱きしめる




そして…サンタさんのプディングに大満足した子供たちはクリスマスアニメを観てお気に入りのカナンとポーポーを抱きしめながらスヤスヤと夢の中へ…




「さあさ、ここからは大人の時間よ。パーティーしましょ♪」



女性はカクテルドレスに男性はタキシードに着替えてダンスホールへ…



スノーマンのロマンティックな演奏でワルツを踊りながらイヴを楽しむ



「コージュ、素敵なクリスマスをありがとう。あなたと結婚してよかった…」潤んだ瞳で囁くキニー


「俺もきみが妻でよかった。いや、きみじゃないとダメなんだ…」


「愛してるわ…コージュ…」


「綺麗だよ…キニー、ああ! 愛してる…メリークリスマス…」


キニーの手にコージュがそっと口づけをするとハートシェイプのダイヤモンドが薬指で煌めいている


「ありがとう…あなた…」


「出会った時からずっと恋しているんだよ、奥様…」


「私もよ…」


熱いキスを交わす二人…



そしてもう一組の姉夫婦は…


「きみは無邪気で可愛いね…本当に…」


「やだ、照れるじゃない…あなたこそ…かっこいいわ…」


「きみをぐるぐるに縛ってしまいたい…」


ロアンがモーシャの手をキュッと握ると手首に銀色に輝く美しい守護髪(しゅごはつ)のブレスレットが輝いている


「わぁ!! これ、あなたの髪ね!!憧れの守護髪だわ!!!なんて美しいの!!」


Vampireが守護髪で妻に贈るアクセサリーに憧れていたモーシャは感動のあまり涙ぐんだ


「私のプレゼントは…ツリーの下なの…明日の朝、開けてみて…」


「楽しみだ…」


ロアンはモーシャを優しく抱き寄せキスをする…



そして大人たちは部屋に戻るとそれぞれに熱い聖夜を過ごした



※※※※※



翌朝、待ちきれない子供たちは7時に起きて顔を洗うと服に着替えて早々とプレゼントを開けていた


「トナカイさんの抱き枕だぁ!!すごく可愛い」


「ほんとだあ、私達みたい。おんなじお顔してる!! もふもふで気持ちいい」


「あらあら、二人とも、早起きだこと」


優しく微笑みながらキニーが起きてくる


「ママ、見て。カードがついてるの」


「はいはい。見せて」


カードを開くと…飛び出す絵本のようにカードからトナカイのベルの音色と共に粉雪が舞いサンタさんが目の前に現れる


「サンタさんっ!!」


抱き着く二人をサンタさんは優しく抱きしめ頭を撫でてくれる


「キーモにモーリ。そのトナカイさんは君たちをずっとずっと守っているよ。そしてのぉ、わしに会いたくなったらいつでもその子達話しかけてごらん。

こうしてお話しが出来るからのぉ」


そして次の瞬間、シャンシャンシャンとベルの音色と共にサンタさんは消えていった


二人は大感激…


「よかったわね。二人とも! これはママからよ」


二人にお揃いのイヤーマフとぬいぐるみのカナンとポーポに手編みのお洋服


「わぁぁぁ、ありがとうママ、カナンに着せてみるぅ」


「ミーモもぽーぽーに着せるのぉ」


コージュパパからは二人にお揃いの可愛いブーツ


モーシャからは手編みのマフラー


ロアンからはお揃いのふわふわしたピンクの鳩のストラップ。着信やメールがあるとくるっぽー♪と鳴いて知らせてくれる




そして大人組へのサンタさんからの贈り物は…


キニーにはピンクのもふもふの着る毛布と鳩のぬいぐるみのルームシューズ


モーシャもジニーと色違いの着る毛布と真っ白い鳩の模様のハンドウォーマー


「キャー、可愛い!!」


そしてキニーからコージュへのプレゼントは手編みのボルドーカラーのセーターとマフラー


感動してさっそく着てみせるコージュ


「いい色だ…ザックリして暖かいよ…ありがとうキニー…」


モーシャからロアンへは…自分の髪を編みこんで作った銀色に輝く守護髪リング


「きみらしい…これでずっと縛っておくれ」


子供たちの前でキスする二組の夫婦




※※※※※



26日の朝…朝食をすませてチェックアウトするとロビーでホテルマンのスノーマン達が見送ってくれる


「ご滞在、ありがとうございました。楽しんで頂けましたか?」


「はいっ。とっても楽しかったです!」


ミーモとキーモがいっせいに口をそろえた


「おかげさまで素敵なクリスマスを過ごせました。暖かいお気遣いに感謝します」とキニー


「ここで過ごせた思い出はこの子達の宝物になるでしょう。本当にありがとうございました。また来年も絶対に来ます!」とコージュ


「これをお嬢様方に…」


とスノーマンが大きなもちもちした自分たちにそっくりなスノーマンのぬいぐるみをミーモとキーモにくれた


「わぁぁ、可愛い!! ありがとう」


スノーマンは抱き着く二人の頭を優しく撫でてにっこり微笑み手を振った


「また来年、お待ちしています」



ホテルを出ると鳩列車が到着していた


「ポッポー♪くるるっ、これよりピジョンタウンに向かいますぽ。お忘れ物のないようにご乗車くださいまっぽー」


列車は空高く舞い上がりピジョンタウンへの帰路に向かった


クリスマスタウンが少しずつ遠ざかっていく


帰りの列車の中では子供たちは疲れたせいかお弁当も食べずに眠っている


「遊び疲れたのね」


子供たちの寝顔を見ながら微笑むキニーとコージュ


「私もとっても楽しかったわ。素敵なクリスマスを過ごせたもの。ねぇ、あなた」


姉のモーシャもご満悦


「ああ、来年も皆で来ような」


ロアンも想像以上に素晴らしかった夢の世界に感動していた


大人たちは洋食ランチを人数分頼むとそれぞれがクリスマスタウンに思いを馳せていた


数時間後…



「ポッポー♪ ピジョンタウンに到着いたしました。ご利用ありがとうございますっぽー。皆さま、お忘れ物のございませんように…」


寝ている子供たちを抱っこしてキニー達は我が家に帰って来た


「二人とも、おうちに着いたわよ」


キニーにソファーに寝かされ起こされると…


キーモは嬉しそうににこにこして


「ママ、あとでお客様にお茶とクッキーを焼いてお出しして」


「え、キーモちゃん、何を言っているの? 帰って来たばかりでお客様なんて…」娘の言動に不思議そうに首をかしげるキニー



すると…30分後


ピンポーン♪ 玄関のチャイムが鳴りキニーとコージュは顔を見合わせながらドアを開けると…


「お招きありがとう。キーモ♪ ホッホッホ~」


サンタさんがおもちゃ工場でビスケットを出してくれたエルフのトムと一緒に満面の笑みで玄関に立っている


「まあま、サンタさんにトムさん!  またお会いできるなんて!! どうぞお入りになってください」


びっくりしながら二人を歓迎する大人たちに


「サンタさんの魔法のコインにお願いしたの。おうちに帰ったらまたすぐに会えますようにって」


キーモは照れくさそうに微笑んだ


「ホッホッホー、さっそく使ってくれてありがとう。じゃがな、キーモや、あとの二つのお願い事はよぉく考えてからするのじゃよ」


「そうだっんですね! 因みにサンタさん、魔法の有効期限はいつまでですか?」とコージュ


「次にクマリスマスタウンで再会するまでじゃよ。ホッホッホ~♪」


「今夜はお泊りできる?サンタさん」


ミーモが訪ねると…


「おお、ひと仕事済んだから休暇に入ったんじゃよ。ご迷惑でなければ来年の6日までいられるぞ」


「もちろん大歓迎ですわ! どうぞ6日までゆっくりなさってくださいね」とキニー


「やったぁ~!!!」


サンタさんに大喜びで抱き着く二人の子供たちを撫でながら


「ではお前さんたちに今夜はとっておきのクリイマスに纏わる伝説を話そう」


サンタさんはウインクして微笑んだ

















この作品を見つけて読んでくださった方へ…


拙い文章を読んでくださり、心より感謝申し上げます。

ありがとうございます。

幼い頃よりクリスマスが好きで妹と私はクリスマスフリークで毎年テーマカラーを決めてホームデコレーションしていました。

誰もが童心に帰れるクリスマスの魔法を少しでもお届け出来たなら幸いです。

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