4話
俺達はそれから、実家に向かった。
道中、俺は自分のスキルを確認していた。
本当にどの魔法でも使える状態になっている。
その中で、俺は珍しい魔法を見つけた。
「マテリアル」と書かれた魔法で、アイコンの縁は青くなっている。
アイコンの絵は、手の平から剣の柄の部分が少し出てきている絵だった。
多分製造魔法の一部だろう。
アイコンをタップして詳細説を確認する。
「付近の素材を元に武器を作り出す」と書かれていた。
俺は試しに詠唱してみる。
「マテリアル」
すると、俺の手の平に白い鎌が現れた。重量はなく、握ってみると潰れてしまう。
どうやら空気でできた鎌のようであった。
試し切りしようとするが、上手く握ることができない。
なんだこれ・・つかえない。
俺はそのまま下に投げ捨てた。
面白くてつい、他にもどんなものがあるのか探していたがそんな時間はなかった。
なぜなら、すぐに我が家に到着してしまった。
サンライト一家は名家であった。
そのため、我が家は人一番明るく輝いており、一目で分かってしまう。
「サラマンダー、家の周りを炎で囲ってくれ」
サラマンダーは鼻息を荒くし、炎を吐き出した。家の外壁は赤い炎で囲われ、メラメラと揺れている。
俺はサラマンダーから飛び降り、2階のテラスに飛び降りた。
「なんの騒ぎだ?」
部屋から父が家でてきた。どうやら騒ぎを聞きつけたのか
「マキシムか・・・」
俺は何も答えない。静かに父の顔を睨みつけるだけだった。
「ド・・・ドラゴンだと!?」
父は分かりやすく動揺していた。
「マキシム・・貴様どういうつもりだ!?」
「あんたを殺しにきた」
俺は静かに答える。
「貴様・・・」
「安心しろ。サラマンダーの力は借りない。俺一人で十分だ」
俺はサラマンダーに向けて叫ぶ。
「サラマンダ!!俺一人でやる。お前はどっかそこら辺で遊んでいてくれ」
俺はがそう言うと、サラマンダーは翼を広げる。そうして、風を起こしながら空に飛び立っていった。
サラマンダーの風圧で父の茶色のバスローブが大きく揺れた。
「お前如きが・・・私を殺すだと?」
父は怒りで脳に血管が浮かび上がっていた。声にも力が入っている。
「殺せるさ」
「魔法を使えない貴様など、何の価値もない。太陽が出ていない事など何のハンデでもないわ」
「あいかわらず、人を馬鹿にするのが好きだな。あんたはいつもそうだ。人を思い通り動かせると思っている」
「お前が使えなさすぎただけだ。魔法の一つも使えないゴミクズだ。お前は」
「説教はうんざりだ。さっさと死んでくれ」
俺は右膝をつき、右手を地面につける。
「マグマライト・・・」
地面が揺れ始める。下から柱のようにマグマが沸きたった。
勢い吹き出してきた1本のマグマが、家にぶつかり家が燃え広がる。
「これは・・・マグマライト!?」
吹き出したマグマが父の頭上で弾けた。
砕けたマグマの塊が父に向かっていく。
父はすぐに、詠唱を行う。
「プロミネンス」
薄い透明のブルーのガラスのようなものが父を包み込み、マグマは側面を滑り落ちていった。
多分、製造魔法の一種だろう。バリアのような壁を作り上げているのが証拠だ。
「どこで覚えた貴様・・・」
「あんたからだよ」
俺は冷たく言い放つ。
「貴様・・・マキシム一体何を!?」
父は詠唱を行う。
「ビジュアライズ!!」
アドバンス魔法の一種で、
視力を強化し、他人のステータスを視覚化する。
父の眼球には白い線が見える。多分俺のステータス見ているのだろう。
「な・・・なんだこのステータスは!?
体力、魔法、持久力がカンストしているだと・・・どういう事だ!?」
「お生憎様、魔法は全部使えるようになったよ。」
「と・・・父さん。一体どうしたの?」
家の中から、弟のメルトが出てきた。
「マキシム兄さん!?」
「来るな!?お前は逃げろ!!」
俺は肉体強化の魔法、「フィジカ」を使用する。
アドバンス魔法の一種で、筋肉が強化され、人間のリミッターを外したような力と速度を出せる。
俺は瞬きをする暇も与えず、メルトに近づきみぞおちを右腕でぶん殴る。
メルトの腹は大きな穴が空き、色々なものが飛び出てくる。
それは風船が破裂したみたいに弾けて出てきた。
「メ・・・メルト!!」
父は叫ぶ。メルトは父の方に目を向けるが、力なく倒れ込みそのまま息をしなくなった。
「マキシム!!貴様ああ!!」
「さあ、次はあんたの番だ」