11話
「だ、大丈夫ですか?すごい汗ですよ!?」
とメルルが心配そうに覗き込んだ。
「ちょ、ちょっと気分が悪くなってな。ごめんメルル...先にギルドマスターに報告行ってくれないか...少し休みたい」
「メルル。マキシムは私が見ておこう」
「わ、わかりました!!先に行ってますね!?」
メルルはそう言ってギルドマスターに報告しに行った。
俺とシャウロは木陰のベンチに腰掛け、少し休憩することにした。
「大丈夫か?」
シャウロが心配そうに俺の背中をさすってくれた。
「シャウロ...さっき俺に起こった事を話していいか?」
「何かあったのか?」
俺はシャウロの方に体を向けた。シャウロは前屈みになっていて、広く空いた胸元が見える。
しかし、こんな状況でも俺はそのことより先ほど起こった内容に頭がいってしまっている。
俺は構わず、話始めた。
「ビースト化を知っている人間が話かけてきたんだ?」
「いつだ?そんな奴が居た形跡はなかったぞ?」
「そいつは時間を止めていた。俺達が歩いている間に時間を止めていたんだ。そうして、そいつは俺の前に現れて、異世界転生について話始めたんだ」
「それで?」
俺はじっとシャウロを見つめた。
「どうした?」
「やけにすんなり信じてくれるんだな?」
シャウロはしばらく黙って考え込んでから、口を開いた。
「話していなかった事が一つある。それは私の師匠の事だ」
「師匠のこと?」
「師匠のビースト化の話をしたよな?」
「ああ、してもらったな」
「私が師匠の異世界から来た人間の話を聞いている時だ。私は一度殺されたんだよ。一瞬の出来事だった。気づくと私は真っ二つになっていた」
「は?死んだ?じゃあどうしていまここにいる?」
俺は動揺を隠せず、質問を繰り出した。
「生き返ったんだ。というより、師匠が私を甦らしたんだ」
「ありえない!?この世界の魔法を用いても死者を復活させる事はできないはずだ。
現実的に起こり得ない事象を魔法で行う事はできない。俺が経験した時間を止めるのだって、ましてや死者を甦らすなんてできやしないはずだ!?」
「でも事実だ。私は確実に死んだ。そうして生き返ったんだ。ほら触ってみろ」
シャウロはそう言って、俺の右手を自分の胸に押し付けた。
柔らかい質感だけが伝わってくる。
女性の胸を触っているのに全くといっても興奮しない。
「心臓は動いているだろ?」
「そ...そんな事があるなんて...そうか...そうだよな...俺もさっきありえない現象に立ち会ったんだ。時を止める魔法なんて...この世に存在しない」
「そう、だから私も驚かなかったんだ。多分そいつも異世界転生者だろう...そいつは他になんか言っていたか?」
「工場のクエスト...あれを仕組んだのはそいつだと言っていた。俺たちに知らさせるためにと、後は...異世界転生?これは侵略行為だとも言っていた」
「侵略行為?」
「ああ、次々異世界転生が起こってとかそんな事をあまり詳しい事は言わなかった。まだその時じゃないっって...」
「後に分かるってことか」
「くそ...ドラゴンの呪いの事もあるってのに!!問題が次々降ってきやがる」
俺は頭を描きむしながらそう言った。
「そうだな。だが、師匠が言っていた。こういう問題が立て込んでいる時こそシンプルにやっていくべきだと。順番が大切なんだ。だから、ほら」
シャウロがそう言って顎で、前を差した。
俺がそちらに目を向けるとメルルが手を振りながら走ってきていた。
「マキシムさん!?大丈夫ですか?」
「ああ、何とかよくなったよ」
「良かったです!?一応ギルドマスターに報告しました。そして、また新しいクエストも受注してきました」
「それって...」
「違法クエストです!!」
「いろいろな事が起こって大変ですけど、私も腹をくくりました。このクエストをクリアすると、一気にB級です!!」
「内容は?」
シャウロが尋ねた。
「3パーティ合同クエストで、ドドガオンの討伐クエストです」
「ドドガオンか...」
「どんな魔物なんだ?」
とシャウロが尋ねた。
「知らないのか?」
「ジャポンにはいない」
「虎みたいな魔物だ。鋭い牙と素早い動きが特徴的だ」
「マキシムさんの言う通りですが、今回違法クエストですので、少し事情が違います」
「何が違うんだ?」
「数です。ドドガリオンの群れの討伐になってます」
「何体だ?」
「10体です」
とメルルは自身満々に言うのであった。




