7話
「異世界転生?どういう事だ」
と俺はシャウロに尋ねた。
「原因は分かっていない。発生現象として、空から光がさし、その光を浴びた人間は獣人になる。推測になるが、その時に魂が転生されるのだと思う。本来の人の魂と肉体は対をなしている。だが、そこに別世界の人間の魂が入り込んでくるとどうなると思う?」
「さあ?」
「肉体と魂の均衡が崩れるんだ。肉体と魂は必ず一対一だ。そのため、2つの魂が衝突をし、理性と理性がぶつかり合う。それに耐えられないものは弾け飛び、本能がより一層濃くなる。そうして、獣のようになっていく。
私は...いや私たちはこの現象をビースト化(獣人化)と呼んでいる」
「私たち?」
と俺は尋ねる。
「私の師匠もビースト化が発生した。私が今回この現象を調べているのも師匠がビースト化が要因になっている。しかし、師匠のケースは少し特殊だった。少しだけ、師匠とその異世界からきた魂が混在している期間があった。つまりビースト化しない期間があったんだ。いわゆる二重人格のようなものだった。その間、私はその異世界から来た人間と接触を試みた。名前、年齢、出身、趣味、どうやってここに来たのか、事細かに教えてくれたよ。ほら...」
そうして、シャウロは俺に一枚の紙を渡してきた。
そこにはこう書かれていた。
名前:さとうまさや
年齢:23歳
出身:日本
趣味:インターネットサーフィン
どうやってここまで?:トラックに轢かれて死亡して、気がついたらここにいた
「日本?トラックなんだこれ?インターネットサーフィン?」
「どうやらこの世界とは別にそのような島国があるらしい。トラックというものは物を運ぶ馬車みたいなものらしい。どうやら原理は全くべつのようだが。他にもその世界では魔法などは全くなく、化学というものが発展しているらしい。あと、インターネットというものがあり、そこでは自由に物が調べられたり、何か映像を見たりと魔法みたいなものができるらしい。それを漁る事をインターネットサーフィンというらしい」
「ただの妄想という感じではなさそうだな」
「ああ、たぶんこの男もどこからか転生してきたのだろう。馴染みがない人の名前も言っていたしな」
「ところで、シャウロ、あんたの師匠は?」
「今は檻の中で、拘束している」
「あの...すいません」
メルルが手を上げながら質問をしたそうに話に入ってきた。
「どうしたメルル?」
とシャウロが尋ねた。
「操作魔法の「リメンバル」でその人の記憶とか見れなかったんですか?」
確かに、そうだ。その手があった。
魔法で記憶を見てしまえばいいのだ。
「私も試みたがダメなんだ。どうしてかわからないが、見る事ができなかった。もしかしたら、この世界の人間ではなかったから干渉できなかったのかもしれない」
騒ぎを聞きつけて、工場長がやってきた。
「大丈夫ですか?すごい音がしたものですから」
「ああ」
と俺は返す。
すると工場長は獣人の死体を見つけ声を上げた。
「マディウスなのか!?」
「お知りあいですか?」
メルルが尋ねた。
「うちの従業員です。一週間前から行方不明で、連絡もとれず...なんて事だ」
工場は項垂れて従業員のネームプレートを拾った。そうして、静かに泣いていた。
それから、俺たちは報酬を受け取って工場を後にし、再び馬車でギルドに帰ることにした。
幾分今日の労働力を考えると少なく感じたが、いかんせんFランククエストなどでしょうがない。
「なんで、お前までついてきてるんだ?」
と俺はシャウロに尋ねる。
「私もギルドに入りたいと思っていてな。この現象は世界各地で起き始めている。それを調査するための入国許可書として、ギルドランクが必要なんだ」
「じゃあ、私達と目的は一緒ですね!!そうだ!!一緒にパーティ組みませんか?」
「ちょ、メルルいいのか?」
「ええ!!シャウロさん、強いし仲間は多い方が頼もしいですよ!!」
「ならば、お言葉に甘えさせていただこう。ところで...」
「ん?」
と俺は尋ねる。
「その王冠はファッションなのか?」
「いや、これ取れないんだ。メルルが召喚したものらしいんだが」
「メルルは召喚士なのか!?凄いな!!」
とシャウロはおどいた表情をしていた。
「そ、そうですか?えへへ...そう言えば、工場長もマキシムさんの頭を見てて何か言いたそうでしたね」
「まあ、目立つからな。といっても取れないんでどうしようもないが、とりあえず今日はもういいや。疲れたし」
俺はそう言って、大きく伸びをした。外から涼しい風が吹いた。
「そうですね!!私たちには他にやる事ありますもんね!!」
「他にやるべき事?」
シャウロの質問にメルルが身振り手振りでドラゴンの呪いの経緯を説明していた。
俺はその光景を横目に自然と目を瞑る。風が気持ちよく、俺は眠りについた。




