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3話 

そう言ってメルルは馬車を降りていった。

俺が外を出ると強い潮風に襲われた。

潮の匂いが強く、鼻をツーンと刺激してくる。


馬車から工場まではすぐそこであった。


工場に着くと工場長が出迎えてくれた。


「小さな工場なんですけど、結構需要があるんです」


そう言って工場長は俺たちを工場を簡単に見学させてくれた。


2列のメインのラインがあり、俺たちの身長を有に超えた機会がガシャガシャ音を立てながら動き出していた。


「基本的に魔重機で自動化しております。でも、最近取り入れてたものばっかですがね」


そうして、工場長は簡単な工程も教えてくれた。


工程としては、

エリクサーの原液を抽出→発酵→遠心分離器で濾過→乾燥→ 水に溶かす→瓶に詰め込み


「原液はなんなんだ?」


「それは企業秘密です。うちのエリクサーは他のより聞きがいいと評判なのでね」


工場長は笑って誤魔化した。


しばらく工場を一周回ってあれやこれやと説明を受けた。


「以上で工場見学は終了です。工場は単純ですが、如何せん同じような見た目なので、もしかしたら迷ってしまうかもしれません。その場合は上を見て下さい」


「上ですか?」


メルルが尋ねる。


「はい。窓が見えると思います。あれは全部西に向いてます。もし迷った際は、天窓の方向に向かって歩けば出口に着きます。」



「は...はい!!分かりました」


「それでは今回お願いさせて頂いたネズミの駆除の場所にご案内致しますね」


そうして俺たちは工場長の案内に従った。



「ここになります。いやはや、あちこちにネズミが沸いてしまって。多分ネズミがどこかに巣を作ってると思うのですが...」


「ネズミ如きでクエスト依頼出すって、経費的に問題ないのか?」


そう俺が尋ねると工場長は首を振った。


「そのネズミが少し変なんです。目が血走っていて人を見るや否や噛みついてくるんです。一度品質点検にきたものが噛まれて病院に連れていったんです」


「そ...そんなにネズミさん凶暴なんですね...」

メルルは心配そうな顔をしている。


「え...ええ。で、ではよろしくお願いしますね!」


工場長はそう言うと去っていった。


「メルル大丈夫か?一度襲われてもいいように製造魔法で防護壁を作っておいた方がいい」


俺はメルルに魔法で防護壁を作っておいた。


「ありがとうございます!!私、製造魔法が苦手で...」


俺は黙って頷いた。


「どういう作戦でいきますか?」


「とりあえずネズミを見つけよう。そうしたら俺の操作魔法で巣を見つけ出す」


「分かりました!!」


「それじゃ、探しますか」


俺たちは床に顔をつけてくまなく探していた。

1時間くらいして、メルルが一匹見つけたようであった。

「み...見つけました!!」

メルルはそう言って両手でネズミを掴めた。


「よし、そのまま持っててくれ」


俺は操作魔法の「コントロール」を詠唱した。


俺の指先から白い棘が伸びていき、ネズミの頭に突き刺さった。

ネズミは悲鳴をあげるが、刺さった白い棘の先から液体が注入される。


「よし、メルル、離していいぞ!!」


メルルは頷いてネズミを床に離した。

俺の視界にはネズミが見えている景色が映像として映しだされた。


「よし、これでどこに向かっているかわかる」


ネズミはとにかく東に向かっていた。

コンベアをかいくぐり、換気扇など小動物や昆虫しか通れない狭い場所をすいすい進んでいく。


ネズミはある箇所で止まった。

俺とメルルもそれに続いた。


そこは第2ラインのすぐ右隣の場所であった。

先ほど案内された場所は第一ラインであり、大きく隔てたコンベアの反対側の場所であった。

そうしてネズミはある機械に入っていく。

俺らの身長より高い機械の前であった。


「こ...ここが巣か?」


俺はネズミの映像に意識を移す。

何百匹というネズミがそこに存在していた。



「す...凄い数だな...」


俺は思わず、声を上げる。


「そ...そんなにいるんですか?」


「ああ、やばい数いる...」


「ひえ〜」


「コントロール」をかけたネズミが機械に入っていく。

ネズミは右往左往して奥へ奥へ進んでいく。

暗闇の中から二つの光が見えた。


「お前...匂う」


人間の言葉が聞こえきた。

ネズミが暗闇に進むにつれて、声の主がようやく姿を表した。

そいつは、アグラをかいてこちらを見ていた。


顔はネズミのような顔をしているが、人にも見える。

ネズミの視界から見ていると、その顔がくっきりと見えた。


目は充血しているのか赤く、口は大きく裂けていためか、端から涎が垂れている。

黄ばんだ歯が不潔さを醸し出しており、所々抜け落ちている。こいつが人ではないかと思わしめるのは髪の毛があるのだ。所々、禿げてしまって抜け落ちてはいるが、頬の辺りまで伸びきった髪が無造作に揺れている。


しきりに歯軋りをしており、じっとこちらを見つめている。

ネズミがその獣人(以後、けものびととする)のようなものに近づいた、その瞬間、その獣はネズミを捕食した。

頭に噛みつき、そうして勢いよく轢きちぎる。まるで、ソーセージでも噛みちぎるようにムシャムシャ咀嚼し、胃の中に流し込んだ。


俺の映像にノイズが走り、画面は暗転していく。

映像が切れる瞬間に獣のような声が聞こえてきた。


「う...うまい、もっと欲しい...」


「な...なんだだ、こいつ」


俺は思わず声を上げる。


「どうしました?」


「本当にこれFランククエストだよな?」


俺はメルルに尋ねる。

「ええ、そうですよ」


機械の中から音が聞こえる。中から突き破ろうとしているのだろう、何度もドン、ドンと鈍い音が響いてくる。


「く...くるぞ」


2回、3回続いて、4回目の時、穴を開けて、獣人は勢いよく飛び出してきた。


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