第四十九話 条件
声の主は当然ながら侍王だった。
それに気付いた晴虎たちが、
「お久しぶりです、お祖父様。」
と頭を下げる。
「うむ。」
「では、試合を行うとするかの。」
と、述べた総帥に、幸彩が、
「え?」
「面倒だから嫌です。」
と返した。
「なぬッ?!」
と、固まる清虎を余所に、凛琥が、
「なんだ?ビビてんのか?」
と挑発する。
これに、清斗が、
「誰が!」
と、ムキになりかけるも、兄である晴虎が、
「よせ。」
「どうせ俺たちが勝つんだから、やるだけ馬鹿馬鹿しい。」
「体力の無駄だ。」
と首を横に振り、幸彩が、
「そうね、長旅で疲れてるし、早く休みたいわ。」
と、同意した。
侍王は、この三人も向上させるべく、従姉弟たちと闘わせようと目論んでいたものの、当てが外れてしまったのである。
しかし、客間から訓練場へと移動するまでの間に、彼の考えを聞いていた晴清が、
「勝ったなら、家に帰ってもいいぞ。」
と提案し、幸が、
「そうね…。じゃあ、そうしましょう。」
と、頷いた。
これには、晴虎と清斗に、幸彩が、
「本当だな?父上!」
「絶対だよ!」
「約束ですからね!」
と詰め寄り、
「なんじゃ、ムリヤリ連れて来ておったのか?」
と、侍王が苦笑いしたのである。
どうやら解決したようなので、
「それじゃあ、お姉様の相手は私がしてあげるわ!」
と幸永歌が立候補した。
「だったら、こっちは永虎か?」
と、訊ねる晴虎に、凛琥が、
「お前たち兄弟は、俺一人で充分だろ。」
と自身の亜空間から、鉄製のレイピアを取り出す。
「舐めやがって。」
〝ギリッ〟と歯軋りした晴虎が、
「本気で後悔さえてやんよ!」
と、バトルアックスを装備する。
「じゃあ、僕は素手でやってあげるよ、ハンデとして。」
とニヤつく清斗に、
「そりゃ、どうも。」
と、肩をすくめる凛琥であった―。




