第三百十二話 趨勢・其之陸
五日が過ぎた。
“第三魔王子 ロケール”に仕えていた兵の半数あたりが、[都市]から去っている。
その者たちは、妖怪はまだいいとしても“人間/獣人/ドワーフ/エルフ”との同盟を受け入れきれずにいたらしい。
一方で、残っている魔族は〝倒すべき敵は偽神どもだ〟と認識していた。
しかし、これまでロケールに逆らえずにいたようだ。
だが、今は、魔王の方針に従っている。
そうしたなか、二日が経ち、都市の外で野営していた軍勢が解散した…。
第三魔王子が亡くなった件が、北と東の[大陸]で次第に広まってゆく。
狙い通り、敵側に動揺が走る。
この流れで、裏切っていた“元魔将軍”が討ち取られた。
それによって、反対勢力は一層に戦意を喪失していく。
結果、[中央大陸]から軍艦で遠征していた神々が、退却しだす。
〝攻略は難しい〟との判断を下して。
[東の大陸]も同じ状況になったみたいだ。
ここから、[北陸]と[東陸]の両方が、膠着状態となっていった……。
およそ1年後。
今日に至るまで、どちらの大陸でも、アンチとの小競り合いが何度か起きたものの、大きな激突はない。
その間に、抵抗を諦め、降伏した者らが若干いる。
なお、“新たな魔将軍”が既に選ばれていた…。
余談になるかもしれないが、紫蓮は〝バッサリ〟と散髪し、ひと昔前に戻している。
“戦士のフゥーリカン”は、肩あたりの長さだったコーンロウヘアーを、腰ぐらいまで伸ばしていた。
更には、“騎士のグーラン”がソフトモヒカンになっている。
彼らだけでなく、“剣士のペイニー”はロングヘアーとなっていた。
逆に“弓術士のランソワ”がセミロングに変えている。
他にも、ソバージュである“機工士のスリア”と、“鬼人の百桃星”が、ショートヘアーにしていた。
こうした面々以外は、それまでと同じ髪型である。
とにもかくにも。
北と東の大陸が、久しぶりに慌ただしくなりだす。
これらに住まう神々が進行を始めたので。
[中央の大陸]からは、改めて幾つもの戦艦が出港したようだ。
よって、防衛するための準備を整えてゆく。
当然、[ゴッド・スレイヤーズ]と[ピース・メーカーズ]も。
それらのメンバーは、どうやら最前線に赴くらしい。
ちなみに、“女魔将軍”は、とっくに自身が担当している国へと帰っている。
かくして、次なる局面を迎えるのだった―。




