表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GOD SLAYER’S  作者: ネコのうた
― 第二章・それぞれの成長 ―
24/336

第二十四話 国境にて

あれから2ヶ月が経過した。


北との国境付近には、ヒーゴン国およそ800万の軍勢が集結している。


午前10:00――。


斥候に放っていた【シーフ】と【アサシン】の4名が、本陣に戻り、


「敵は、隊列を組みながら進軍中で、こちらと殆ど同数にございます。」


「ここに到着するのは、およそ1時間後になるでしょう。」


と、報告した。


これを受けて、総大将である清虎が、


「では、こちらも備えるとするかの。」

「手筈どおり、先陣は“虎政とらまさ”が務めよ。」


と申し渡す。


「はッ!」

「お任せあれ、親父殿!」


と、答えた男が、〝スッ〟と立ち上がり、幕舎から退席していく。


彼は、国主たる清虎の長男で、43歳の【戦士】である。


背丈は170㎝くらいで、ガタイが良く、肩あたりまでの長さがある黒髪を後ろで束ねていて、鼻の下と顎の髭は〝毛むくじゃら〟であり、見るからに屈強そうだ。


「背後は頼んだぞ、晴清はるきよ。」


と言う国主に、


「本当に、中心に陣取られるので?」

「父上こそ、最後尾にて構えられるべきなのでは?」


と、窺ったのは、次男であった。


身長は165㎝程であろう。


少し茶色い髪は、腰あたりまで伸びている。


歳は38の優男で、髭は生やしていない。


装備品から察する“魔法使い”のようだが、おそらくは、その上位互換にあたる【魔術師】に違いなかろう。


「冷静な判断で後方支援できるお前の方が、何かと打って付けじゃ。」

「それに…、儂も久々の戦を楽しみたいしのッ!」


〝ニカッ〟と笑みを零す清虎であった。



陣形を整えた軍勢に、清虎による、


「敵の大多数は、我々と同じ人族や獣人に半獣であろう。」

「だが、決して躊躇ためらうな!」

「殺さねば、殺される。」

「儂らが負ければ、この国は奴らに蹂躙されつくすであろうぞ!」

「必ず勝たねばならんッ!」

「皆の衆、覚悟を、勇気を、意地を、底力を、存分に見せ付けよッ!!」


との伝令が飛び交った。



紫蓮しれんたちの班は、無論、軍の中央に居る。


その真後ろには、千代ちよたちや、国主の姿が見受けられた。


武士の甲冑姿である紫蓮は、


ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!


と、聞こえてくる自身の鼓動を押さえられないようだ。


その腰には新調した一本の刀を帯びている。


班長で【侍】の“保次やすじ”が、


「何だ、紫蓮。怖気づいてんのか?」


と茶化してきたので、


「そっちこそ、顔が青ざめてるみたいだけど。」


と、返したら、


「俺は別に、その、なんだ…。」

「ま、正直、ビビッてるよ。」

「数年ぶりの実戦だからな。」


と本音を吐露した。


「私もだよぉ、紫蓮くぅ~ん。」


と、口を開いたのは、リスの半獣である“ラル”だ。


それに続いて、犬の半獣である“バンヌ”が、


「僕は、ただただ面倒くさいよ。」


と述べ、褐色肌の人間である“ヴォニー”が、


「今さらどうする事もできないんだから、全員、シャキッとしな!」

「戦って、生き残る以外に、選択肢は無いよッ!」


と、意見していたところ、最前線からの、


「来たぞッ!!」


「敵軍だぁあッ!!」


といった様々な声が、響き渡ったのであった―。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ