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GOD SLAYER’S  作者: ネコのうた
― 第五章・魔の領域 ―
201/336

第二百一話 かの島へ

「して?」

「“ナーガリー”よ。」

「渡航の準備は進んでおるのか??」


[サガーミィーの国主]に問われ、


「ええ、お父様。」

「予定どおり、一時間半後には出発できますわ。」


その娘が答える。


〝ふむ〟と頷き、


「ならば、諸君は、サーヴァントの待つ部屋で(くつろ)いでおくがよい。」

「あとで、配下の者を呼びにやる故。」


[GOD SLAYER’S]に告げる国主であった……。



広間にて。


PM13:40を過ぎた頃に、珈琲と紅茶やクッキーなどを配ってくれた給仕たちが、一礼して、退室する。


これを見計らっていたらしい紫蓮(しれん)が、


「今更だが…、勝手に決めちまって、大丈夫だったか?」


【機工士】のスリアに尋ねた。


「正直、分からない。」


彼女は首を左右に振った流れで、


「もはや、“祖父の手記”とは異なる歴史になっているからな。」

「まず、“東陸(とうりく)第四神国(しんこく)”との開戦が、アタシの知っている時期より早まっている。」

「それに……、この国は、そもそも、鬼王(きおう)と交渉したりはしない。」

「本来であれば、サガーミィーは、“東陸第四神国”によって滅ばされてしまう。」

「その後、暫くして地盤固めを済ませた神どもが、“妖怪ノ国”を制圧しようと乗り込むも、返り討ちにされてしまうとの事だ。」


そのように説明したのである。


これらに対して、人型になっている黒龍の[新羅(しんら)]が、


「どういう状況なのだ?」


眉間に軽くシワを寄せた。


そんな疑問に、


「あー、そう言えば、サーヴァント達には、まだ知らせてなかったわね。」


ペイニーが理解を示して、


「実は――。」


これから成すべきことを、伝えていくのだった…。



PM14:55となり、城の“中庭”に主だった者たちが集まっている。


その場で、[サガーミィーの国主]が、


「そなたらの代表に、これ(・・)を渡しておこう。」


筒のように丸めて紐で縛っている用紙を差し出してきた。


紫蓮が受け取ったところで、


「〝今回の件が上手くいったならば必ず報酬を支払う〟といった旨や、その金額に、我が署名とが、書かれておるので、失くさぬように。」


国主が伝えてきたのである。


「それでは、港に赴きましょうか。」


40代後半ぐらいの女性魔術士を促した[ナーガリー]に、


「頼んだぞ。」


「よろしくな。」


20代と(おぼ)しき、二人の男性が声を掛けた。


「お任せください、兄上がた。」


笑顔で応えた彼女を、


「何よりも無事を祈っておるぞ。」


「私もよ。」


国主夫妻が案じる。


「きっと成功しますから、心配なさらないで。」


こう述べて、


「……、行って参ります。」


淑女らしく挨拶したナーガリーを中心に、50人の兵士と、[ゴッド・スレイヤーズ]とが、先程の宮廷魔術士によって“瞬間移動”した。



サガーミィーの東端に位置する港には、国が所有する“大型船”が停泊している。


一同は、その船内へと足を運んだ。


PM15:00に、汽笛が鳴り、船舶(せんぱく)が動き出す。


こうして、別名[鬼ノ国]を目指す“使節団”であった―。




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