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星祭りの夜に  作者: まかろん
3/5

3 願い事

 ルリはルシアを背負って、村まで帰って来た。もう、暗くてほとんど何も見えない。闇夜を照らしてくれるのは、月だけになっていた——。とりあえず、ルシアの家に……!

「はあっはあっ。」

だんだん疲れてきた……。誰か、助けてくれる人は……今は夜だから誰もいないか……。


つ、着いた!

「誰か!大変なんです!今、ルシアが気を失ってて……。」

「え⁉︎」

そう言って出てきたのは、ルシアのお母さんだ。酷く驚いた顔をしている。ルシアを見てからは、顔が真っ青になっていった。

「一体どうしたの⁉︎ちょっと待っててね!ルリのお母さんも呼んでくるから!」

お母さんが来ると、ルリは今までの事を話した。星の砂が売っていなかったこと。ルシアがそれを取りに、海へ行った事。ルシアが波のせいで沖に流されそうになった事。様子を見に行ったら、気を失っていた事——。

「「ルリ!もう、海なんて行っちゃダメよ!」」

お母さん達が顔を真っ赤にして怒っている。それも当然か……。

「……はい……。」

「すみません。こんなことになって……。」

「いえ、こちらこそ、本当、ルリが迷惑をかけました。ほら、ルリ、謝りなさい。」

ルリにはそんな二人の会話は聞こえていなかった。でも、代わりに聞こえてきた声は——。

「今から星祭りが始まるって!」

外から聞こえた声だった。

「あ、そうだ。今日は星祭りだ……。行かなくちゃ。」

「ルリ、待ちなさい!」

そんなお母さんの声を聞き流しながら、ルリは教会へと向かった。

 

       ★   ★   ★

       

 ルリは教会に着いた。空ではたくさんの星がキラキラと輝いている。綺麗だなぁ。……っと!そんな事を考えてる場合じゃない。大丈夫。星の砂は持ってる。じゃあ、聖壇に置いて……。ルリの願い事はただ一つ。

 

ルシアが、目を覚ましますように。

 

そう祈った時、星の砂がキラキラと消えていった。本当に消えた……!綺麗だなぁ。……あれ?目眩がす……る……?

ドサッ

「おい!大丈夫か!おい!」

そんな声を最後に、ルリの意識は遠くなっていた。

 

       ★   ★   ★

       

 それからの事は、よく覚えていない。ルリは、追いかけて来ていたお母さん達に連れて帰られたらしい。

 そして、目が覚めると家で寝ていた。お母さんによると、三日ほど寝ていたらしい。ルリは起きてちょっとしたらお母さんに怒られた。でも、病み上がりだからとすぐに終わった。ルリには大したキズはなく、疲労で倒れていたらしい。ルシアはというと……今もまだ気を失っている。ルリはその事を聞いた瞬間、お見舞いに行こうとした。でも、まだ目が覚めて一日目だからと、次の日に行くようにと言われた。

 そして、今日がその日。

「お母さん!お見舞いに行ってくる!」

そう言って、ルリはルシアの家に急いだ。

 ルシアの家に行ってルシアの部屋に行くと、ベッドでルシアが寝ていた。その顔色は、あの日よりも悪くなっているような気がした。とりあえず、熱がないかみなきゃ。額に手を当てて……よし、熱は無い。よかったー……。

「うっ、ううっ」

そんな時、ルシアのうめき声が聞こえた。

「ルシア⁉︎」

そう言ったけど、ルシアからの返事が無い……。ルシアが良くなるには、祈るしか無いのかな?……とりあえず祈ろう。

 

ルシアが、目を覚ましますように。

 

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