目覚め-6
吉雄は香でない者に視線を向ける。
「しかし、なんとか封印ぐらいなら出来ますね。」
「フウイン?」
吉雄は再び峰子の方を向く。
「はい。約20年間この赤ん坊の中にいる霊を封印することなら出来ないこともありません。ただ・・・。」
「ただ?」
「もし、霊の封印が解かれたら、そのときは・・・少しいいづらいのですが・・・」
峰子は涙をポケットティッシュで拭い、そのポケットティッシュをしまった。
吉雄はさらに一段階、真剣になる。そして、はっきりと峰子に聞こえる声でこういった。
「殺してください。」
「ッ・・・。」
また新たな涙が目にたまり、流れ落ちた。
「仕方が無いんです。そうしないと、人類は滅亡するかもしれない。」
「えっ?」
峰子は耳を疑った。人類が滅亡するかもしれない?そこまで危険なのか・・・。
「はい、前にも似たような例があったんです。そして、そのときは中国ででした。その霊は1万人近くの人の命を奪ったんですよ。しかも5分で。」
「そんな話聞いたことはありませんが。」
「当然です。ニュースで流れたりしなかったのですから。」
「そうなんですか・・・。」
吉雄は今度はこう聞いてきた。
「それでどうします?封印しますか?」
峰子は大体予想はついていたがあることを聞いてみた。
「もし、封印しなかったら?」
「それは・・・今すぐ殺すしか選択肢がなくなります。」
峰子は開き直ったかのようにこういった。
「わかりました。封印してください。」
その峰子の表情を見て、吉雄は一瞬微笑んだ。そして、すぐに真顔にもどる。
吉雄は香の方を向いた。
何かを唱え始めた。すると、早速香が苦しみ始めた。
かおるの目が白目になり、こっちをにらんだ。しかし、すぐに元に戻り、すやすや眠りだした。
峰子はさっきの香のあのこの世のものとは思えないほど醜く恐ろしい顔をしばらく、頭から離すことが出来ないでいた。
吉雄がふう、と安堵の息を吐き、こっちを向く。
「これで、約20年間安全だと思われます。しかし、この子が高校生になったころから、監視カメラで常に見張ってください。」
「・・・わかりました。」
吉雄は口元を緩め、玄関へ歩みだした。峰子も後ろからついていく。
そして、玄関につき、靴を履き、ドアを開け、吉雄は車に乗った。
「さようなら。」
峰子がお辞儀をすると、吉雄はこっちを向いて、お辞儀をしながら車でどこかへいってしまった。
峰子はこう思っていた。もし20年経ってしまったら、そのときはこの子と一緒に死のう、と。・・・。




