表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/27

一体化-4

「アッハハハハハハハッッ!」

 光の心拍数が一気に上昇する。これは、何度も聞いたことがある大切な人の変わり果てた笑い声。香の大きな狂った笑い声だった。

 いつの間にか、廊下から人の逃げ惑う音が聞こえなくなっていた。どうなったか。可能性は二つある。一つ目はもうみんな逃げた。二つ目は・・・・・・・・・・・・悲鳴を上げることもなく呼吸をとめたか。

 光は、何かを決意したかのように冷たくなりつつある吉雄を置き、目をギラリと光らせて、廊下へ移動する。

 何かによって、光の思考回路が変化した。いや、強制的に変化された。

 廊下に出ると、香がちょうどこちらへ向かってきていた。しかし、他の教室の中に入り込んだ瞬間だったので、気づかれてはいない。これがチャンスだった。何が何でも香の暴走を止めるというラストチャンス。

「どこにいるのー?デテキナサイヤアハハハハッッ!!」

 笑いながら香が俺を探している叫び声が聞こえてくるのがわかる。普通の一般人がこれを見れば、どう考えても狂っている人間の狂声にしか聞こえない。しかし、今の光にはそんなふうには聞こえなかった。まるで、私を助けてとでも訴えかけてくるようにしか聞こえなかった。

 光は、香のいる教室から離れるようにして、走った。これは逃げるためではない。香を助けるためだ。

 まだ、この鉄のにおいが充満している学校に、生存者がいるかもしれない。まだ生命の糸が切れていない人間がいるかもしれない。その人たちを生かすために、光はわざと大きな音を立てて廊下を駆け抜ける。

「ソオオコオオッカアアアアッッ!!」

 狂人と化している香は人を殺したいと必死だ。その愛人を光は外へ導かせるようにルートを計算して走り続けた。

 香にこちらの姿が見えなければ、呪い殺すことなんてできやしない。もし、香が音を聞いただけで誰がその音を出しているのが分かり、その音を立てた人を呪い殺せるのならこの作戦は意味をなさない。

 昇降口まで走りぬいてきた。呼吸をゼエゼエハーハーと乱し、汗があらゆるところから噴き出ている。走っている途中に倒れている人を何十人も見てきた。正直言って、手が震えた。吐き気がした。躓きそうになった。

 だが、それでも香を救うというその思いが光を、光の足を動かしていた。

 昇降口から外に出て、グランドまで駆け抜けて光は立ち止った。

 時は刻々と動いている。止まってくれと頼んでも、遅くすらなってくれない。

 だから、急ぐ。

 くるりと光は反転して、昇降口を見据える。しかし、香は出てこなかった。

「な・・・!」

 ドウナッテイルンダ。カオルハ、ナゼコナイ?ワカラナイ。

「クソッ!」

 光は、再び昇降口に戻った。もしかしたら、他のターゲットを見つけてしまったのかもしれない。そうなれば、光の行動がゴミと化す。そして、そのゴミは焼却炉で焼却されるのだ。

 光は、慎重に音をたてないようにして、香を探し始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ