一体化-2
香は、一直線に吉雄目掛けてナイフを突っ込ませるが、直前で横にかわされた。しかし、簡単にかわされたわけではない。なんとかかわした、そんな感じだった。吉雄の体力ももう限界が来ているのだろう。昨日の夜に何があったかは知らないが、由里が何かをしてくれたおかげだ。ああ、楽しい!
「・・・由里。お前をこれ以上、暴れさせるわけにはいかない・・・ぐっ!」
吉雄は、わき腹を抱えた。そこから、赤いものが染み出てきている。どうやら、傷口が開いたらしい。香はにやりと笑った。
「今日があなたの命日ね。死んでねっ。」
悪魔のような笑みを浮かべ続けて、吉雄に刃先を向ける。今は、もうなにもためらわない。なぜなら、人を殺すことが楽しくて仕方がないのだから、こいつが恨めしいのだから。
吉雄はうっすらと汗を浮かべて、息を荒げている。このまま放っておけば、逃げられる。なら殺すしかない。
「俺は、お前を・・・助け出してみせる!!」
いきなり、吉雄がこっちに向かって突進してきたのかと思ったが、そのまま香を通り過ぎていった。そして、学校のほうへ向かっている。何の真似なんだろうか。・・・無駄なのに。こんなことしてもすぐにつかまって殺されるのにね。
「さあて、殺しに行こうかな。」
香は、学校のほうへゆっくりと歩みだした。
30分後。学校内では、騒がしくなっていて、皆、混乱して慌てふためいて、逃げようとして・・・・・・いなかった。光がさっきからみんな逃げろだとか、死ぬぞだとかわめいているが馬鹿みたいだとしか思えなかった。何が言いたいんだこいつは。この俺、早瀬純は皆と交えて笑っていた。最初深刻そうな顔をして大変だと大きな声で叫んできたときは、驚いたが、冗談のつもりで言っているのだろうか、超能力でやられる、だとかほんとに意味が分からない。
「おい光。お前馬鹿なんじゃねーの?頭イカレちまったんじゃね。香ってお前の彼女じゃねーか。」
誰かがそういうとまた笑った。
「違う!あいつは・・・あいつは・・・由里だ!!香なんかじゃない!あんなやつのどこが香なんだよ!あれは、怪物だ!」
「うわー、ちょまじこいつサイテーなんですけどー。」「そうだよー。香ちゃんがかわいそーだよー。」
笑いながら、軽蔑のまなざしを突き刺す女子たち。面白い。
早瀬は、こう聞いた。
「・・・お前、夢の出来事じゃないの?」
「違うんだーーーー!!なんでみんな信じてくれないんだよ!」
光は青ざめていた。どんな夢を見ていたんだか。本当に笑える。これは、この学校の笑える歴史にでもなってしまうくらいに面白いな。
とその時、教室の扉が開く音がした。そこに立っていたのは、腹部が真っ赤に染まっている眼鏡男だった。かなり弱っているようで、息を荒げていて、目が虚ろだった。




