暴走-11
ヒカリトヤミノゲームを休止しましたが、こちらはするつもりはないので、ご安心を。
香は学校に到着した。校門の前で教師と生徒が話している。香は息を飲んだ。・・・その生徒は光だった。
光はこちらに気づいていない様子で教師に何かを訴えているように見える。教師は首をかしげている。
(殺しなさい。)
「・・・え?」
予想はできていたが、頭の中で由里の声が響き渡った。最悪だ。心臓の鼓動が加速する。
(コロセ。)
「こんどこそ・・・無理・・・ウ、ウヴァアアアァアア!!!」
香は必死に頭痛を堪えた。目から涙がボロボロこぼれてくる。あまりの痛みにわかったと声を発してしまいそうになる。だが、堪えた。光を殺すことは私には・・・できない。できるはずがない。なぜなら、光が好きだからだ。恋人をまでを殺すことができるはずがない。殺してしまえば、私には何もなくなってしまう。大切なものが失われてしまう。そんなのはいやだ。いやだいやだ。絶対に・・・イヤダ!
光はさっきの香の悲鳴に気がついたのか、こちらを振り返った。そして、明らかに表情をゆがませていく。後ずさっている音が聞こえてくる。好きな人が私から離れていく。さみしい。つらい。しかしそれでいい。それでいいのだ。なぜなら、それで光が助かるのだから。
「光!!逃げ・・・ヴァアアァアア!!・・・逃げてえええ!!!」
光は香がそういう少し前からすでに足を動かしていた。教師はそこに突っ立っている。
(っ!仕方がないわね。少し早いけれど)
香は肩をぶるぶるとふるわせた。そして・・・・・・頭痛が治まった。
「・・・え?頭痛が・・・治まった・・・?」
「大丈夫か?お前。」
その声の主を香は見た。さっき光と話していた教師だった。なぜだろう。その教師が憎い。香は自らの感情を不可思議の思った。なぜ、今この教師が憎いなどと思ったのか・・・。わからなかった。しかし・・・やはり憎かった。
その教師は、手をさしのばしてきた。
香はその手を振り落とした。教師の顔がみるみる怒の文字が似合うような表情に変わっていく。
「おい!なんだその態度は!!それが教師に向かってする態度なのか!」
「だまれ。」
なぜか勝手に口が動いて勝手に声帯が震えて声を発していた。私は今何と言ったか。だまれ、といった。この教師が・・・憎いから。なぜか。・・・わからない。
それに、頭の中で由里の声が聞こえなくなった。これまたなぜだかわからないが、もう私の中に由里はいないような気がした。
教師はものすごい剣幕で怒鳴っている。なんて言っているのかはわからない。むかついた。こんな教師なんて死ねばいいと思う。消え去ればいいと思う。いなくなればいいと思う。消えろよ。消えろ。消えろ!!!
教師は、なぜか突然青ざめていった。そして、ばたりと倒れた。香は・・・にやりと笑った。楽しいな。こういうの。
さっきの由里の恐怖なんて香には皆無だった。忘れてしまったのか。いや違う。忘れてなんかいない。なんだか人を殺すことなんてしてはいけないと思うことがばかばかしくなってきた。
香はにやりと笑い、暴走を開始した。




