目覚め-1
7月23日、香は家にいた。まだ、夏休みに入ったばかりだ。
しかし、中学校とは違い、夏期講習がある。午前中だけだが、勉強嫌いの香には地獄だった。
今日も夏期講習があった。1時限目は数学で、2時限目は国語、3時限目は英語だ。毎日、それの繰り返し。
つまり、毎日地獄。それに、抜け出せるのは、土曜日と日曜日。それと、8月2日から9月1日までの小夏休みだけだ。
中学生に戻りたい。
「香、友達から電話よ。」
母、峰子がドアから自分の部屋に入ってきた。
「わかった。」
部屋から出て、リビングに行った。そこで、峰子から受話器を受け取った。それを耳に当てる。
「もしもし?」
そう言いながら、香は峰子に手であっちへ行けと示した。それに気が付き、峰子はわかっているというような顔で移動した。
「あ、香?」
「そうだよ。」
「おれだよ。光だ。」
「あ、光?で、何?」
「今度の土曜日デートしない?」
「え、まじ!?いいよ!!でどこ?」
「お前の好きなところ。さあどこでしょう。」
「うーーん・・・。ドッグランド?」
ドッグランドとは、遊園地である。よく、犬がいると間違えられることがあるが、実際、1匹も犬はいない。
「・・・あたり。」
「わかった。」
「おう!時間は10時集合な。場所は・・・うーん・・・じゃあドッグランド前。」
「いいよ。」
「じゃあまたな。」
「うん。」
そう言って、香は受話器を置いた。
香と光は付き合っている。今の会話でも分かっただろう。5か月前から付き合い始めた。
光から、告白された時のことを思い出す。
「好きです!付き合ってください!!」
「えっ!?」
それは突然だった。突然すぎて訳がわからなくなり、返答に困った。
香が何も言わないので、だめだと思われたのか、光が口を開いた。
「いやなら・・・」
それに、あわてて香は答えた。
「い、いいよ。」
「え?ええええええええええええええええええええ!?!?!?!?」
光は頬を赤らめた。それを見て、なぜか香も頬を赤らめた。
それを思い出すと思わず吹き出してしまった。
「ふふふ・・・。」
あの時の光の驚き方は、ふつうなら誰だって笑ってしまうだろう。
最初は、遊びのつもりだった。だが、いつの間にか5か月も付き合っていた。今は香も光のことが好きだ。
まだ、つきあって間もないころは、光のことをあまり知らなくあまり好きでも何でもなかった。
しかし、今は違う。光の明るさと面白さが好きだ。はっきりそう言える。
とにかく、土曜日は明後日なので、しばらく、明後日のことを考えていた。
どういう服を着ていくか。まあ、そんなところである。
最近の流行のファッションは香はあまり好きではなかった。なので、ピンク色の香のお気に入りのシャツを着ていくことにした。
ズボンはジーパンにした。服とズボンの愛称はバッチリである。
「これで良し。」
あとは、明日の高校の準備をして、そのままパジャマに着替え寝た。
課題はしていない。面倒くさい。する気がわき起こらない。
香は、勉強はそれほどできない。が、代わりに体育ができるので、まあよしってところである。
明日は学校サボろうかなぁ。そう考えてしまうこともしばしばある。
そして、実際にサボってしまうことが多い。
今までで、連続で高校を休んだのは3日だ。しかし、そのうちの1回は本当に腹痛で休んだ。そのあと、だるくて行くのをためらってしまい、ついつい休んでしまったのである。
いつの間にか、香は寝込んでしまっていた。
それを、監視カメラで見ていた、峰子は今日もほっと胸をなでおろしていたのであった。




