暴走-8
光は、コンビニで食料を買った。そう、今自分の家に行っても由里という怪物がまだいる可能性が高いので容易に近づくことができるわけがなく、ホームレス生活に近いことをしようと思ったのである。それしか、生きるための手段は光には残されていない。
財布の中にはお札が何枚か入っていた。数えてみると、約20000円だ。これくらいあれば何とかしばらくは持つ。いや、明日は月曜日なので明日まで持てばいい。それなら簡単だ。なぜなら、今はもうすでに深夜だからだ。夜食を買ってあとは、それを食べてどこかで寝る。それだけで、明日になる。明日になり学校に行けば、皆いるはずだ。たとえ、由里が現れたとしても、こちらは多人数なので、何とかなるかもしれない。光に少しだけ、希望の光が見えた。
とりあえず、光は夜食を買って、それをコンビニから出てから急いで食べた。そして、そこら辺のベンチに横になり、寝た。
香は暗闇の中にいた。ここは・・・どこ・・・?
数十秒経って、今が夜だということに気がついた。香は光の家で寝た後のことを必死で思い出そうとする。・・・何も思い出せない。香は確かにベッドの上で寝ていた。しかし、なぜだか、道路の端で寝ていたのだ。突然、頭に声が響いた。
(明日、学校に行きなさい。)
ゆ、由里・・・!!そう、その声は由里の声だった。これで、なぜ香がこんな所で倒れていたか分かった。由里に体を一時的に乗っ取られていたのだ。
頭をぐるぐると振る。やめて!!私の中から早く出て行って!!
(そうは、・・・イカナイワ。)
ふざけないで!!明日、学校になんか行かない。絶対に!!
突然、ひどい頭痛が香に襲いかかってきた。その頭痛はおそらく由里が起こしたものだろう。
「ウ、ウゥ・・ウヴァアア!!!や、やめてっ!!ウヴァアアア!!!」
香はうずくまった。ここは誰もいない、家もない、ただの道路だったので、その悲鳴は響き渡るだけ響き渡り、消えていった。しばらくして、頭痛が治まってきた。
(もう一度、言うわよ。明日、学校に行きなさい。)
「・・・わ、わかった・・・っ。」
思わず、声に出してしまった。それぐらい、精神的にも肉体的にもかなりのダメージを受けたのだ。このとき、初めて自分は弱くて、ちっぽけな存在だと認識できた。
(・・・っ!あはははは!!よくいったわ。それじゃあ、今日はもう、寝なさい。)
「は・・・い・・・。」
涙がじわりと出てきた。どうにかして、抵抗できないか・・・。
(ハヤクネロ。)
っ!ばれてる・・・。そう、香が何を考えているのかを由里はわかるのだ。なぜなら、香の中に由里はイルノダカラ・・・。
香は、もう何も考えずに無理やり寝た。




