暴走-7
少し遅れました。すいません
光は、家の外へと飛び出しとにかく逃げた。逃げる場所を選んでいる暇なんてない。もう頭の中は香の中の由里という化物でいっぱいだ。あれは、どう考えても香ではなく由里だ。自分で由里と名乗っていた。
光は、勢いよく振り返った。約3分間全力疾走に近い走りで走ってくたくたになっていた。後ろを振り向いたが暗くてよく見えなかった。電灯は消えたり光ったりを繰り返していて、虫が飛び交っている。たぶん、藪蚊かなんかだろう。だが、そんなことはどうでもいい。
ガサッ!
「――っ!」
ビクンと光は肩を震わせて音がするほうを向く。背丈が長い草の間から何かが出てくる。
ニャア
猫だった。光は肩から力を抜き、再び走り出した。今度は少しスピードを下げて走った。正直、さっきの全力疾走に近い走りをしたせいで息を切らし、倒れてしまいそうだ。さっきの全力疾走に近い走りをもう一度する体力はもう残ってはいない。
光はポケットに手を突っ込んで何かを取り出した。財布だ。光はいつも、泥棒に盗まれないために財布をポケットの中に常備している。その財布の中にテレフォンカードと金があることを確認した。これで、なんとか・・・
吉雄は、荒い息を吐いて、由里を睨んだ。由里は笑っている。その笑顔は前にも見たことがある。遠い昔、どこかで・・・
「由里・・・ハァハァ・・・おまえ・・・もう俺の・・・封印を・・・半分以上もといたの・・・か。」
由里は相変わらず笑っている。悪魔に見える。死神にも見える。とにかく、負のイメージが吉雄を取り巻いた。
「あたりまえじゃない。こんなものであたしを封印できると思ったわけ?・・・甘く見られていたようね。」
由里の手には血が付いている。赤く染まった手は包丁を握る。その包丁もが赤く染まっていた。その包丁の刃が吉雄に向けられた。吉雄は軽く笑った。だが、無理をして笑っているようにも見える。
「何?もう覚悟は決まったの?」
「耳を・・・澄ませて・・・みろ。」
ピーポーピーポー…―――
この音を聞き、由里の顔から笑顔が消えた。悔しそうだ。
「あなたは、死に損なったわね。運がいいわ。でも、もう私をトメルコトハデキナイ。」
そして、由里は窓を開け、飛び降りた。ここは、二階だ。だが、あいつにとってはなんてこともない。
吉雄は、サイレンの音が大きくなるのをヘ垂れこんで目を閉じて聞いていた。・・・俺が、止めてやるさ・・・。昔約束したんだ・・・。もしお前がそうなったときは俺が止めてやるって。だから、安心して眠れって・・・。




