目覚め-10
「よお、お譲ちゃん。一緒にこっち来ない?」
後ろから突然声がして香と光は振り返った。後ろには髪を金髪に染め、不良のような姿をした男がいやな目つきでこちらを見ている。
光は抗議する。
「あんた誰?悪いけど、香はそんなんじゃないから。」
「へぇ〜〜!香ちゃんっていうんだぁ〜。香ちゃん、こんな男よりおれのほうがいけてるぜ??」
「あんたおれの話聞いてんの?」
不良男は光のことをジロリと睨みつける。そして、突然光の顔面めがけてパンチを繰り出してきた。光はそれをよけきることができず、宙に舞った。
「光!」
「い、いってぇ・・・。貴様・・・。」
光がにらみつけているのを不良男は無視して、香の肩に手を乗せる。
香はその手を振り落として、不良男を突然人が変わったかのように悪魔のような目で睨みつけた。そしてなぜか、不良男が苦しみだした。
「・・・ぐぅうおぉおぉぉぉおあぁああ!!!!」
そのうめき声で香ははっとなり、光を起き上がらせる。
「うっ!うわぁあああ!!!」
不良男はなぜか何かを恐れているかのように逃げて行ってしまった。
「・・・香、どうやったんだ?」
光を起き上がらせた香はきょとんとしている。
「え?なにが?」
「いまの。」
「いまの?なにかあったの?いつもどおりじゃん。あ、そうだ!早くメリーゴーランド乗りに行こうよ!」
香が光の手を引くが光はその場から動かなかった。香は光のほうに振り向き、首をかしげた。
「どうしたの?いかないの?メリーゴーランド。」
「・・・香、今何が起こったのか本当に何も覚えてないのか?」
「え。」
香は頭の中を駆け巡ったが、何もわからなかった。
「なんか起こったの?」
そこで光は今さっき起こったことを話した。
「香はさっき変な不良っぽい男に声をかけられたんだ。そして俺は殴られて倒れた。その時香が不良男をにらんだんだ。そしたら、不良男が苦しみだして、香がにらむのをやめた。そして、不良男が逃げ出したんだ。」
「・・・それ本当?」
「あぁ。」
「・・・ごめん。全然記憶にないよ。不良男も知らないし。」
「そっか。まあいいや。どうせ偶然だろうからな。」
偶然。ぐうぜん。グウゼン。
なぜか香の中で偶然という言葉が響く。しかし、香はそんなのには全く気にもせず、再び光の腕を引っ張った。
「じゃあ、メリーゴーランドに乗りにいこ!」
光はしばらく考えていたが、顔をあげうなずいた。
「あぁ。」
香が満面の笑みを浮かべる。
・・・どうせ気のせいか。そう思いたかった。だから、光は無理やり思いこませた。
峰子はパソコンから目が離せないでいた。手が震えだしてきていた。
「そ、そんな・・・。」
峰子は無意識のうちに受話器を手に取り、電話番号を打ち込んでいった。
「はい、もしもし。こちら、案山子吉雄です。どなたですか?」
「わたしです。17年ぐらい前に香のことでお世話になった峰子です。本当に案山子吉雄さんですよね?」
峰子は声までもが震えだしていた。
「・・・はい。もしかして・・・。もう封印が・・・」
「はい。たぶんそうだと思います。いますぐ・・・いますぐ来てください。」
「・・・わかりました。では30分後にそちらに到着します。」
「おねがいします。」
そして、峰子は受話器をもどして、座り込んでしまった。早すぎる。こんなに早く封印がとけてしまうなんて・・・。
峰子は肩を震わせながら泣きだした。
次は夏休み辺りに小説を書きたいと思います。最近書く暇がなかなかないので・・・。




