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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第210話[表] アーリオン・古式紋章異文碑

<Side:Akari>

 驚きの声を上げた状態で固まったままのエステルに代わり、近くにいたエミリーがやってきて、

「そ、それは、石化を解除する事が可能かもしれない情報……という事ですか?」

 というい確認めいた問いかけをユーコへと投げかける。

 

「ええっと……詳しく確認したわけではないのでなんとも言えませんが、それっぽいデータはありました」

「うん、たしかに石化と解除に関する理論みたいなものだったね」

 ユーコの返答に対し、シズクがそんな補足をする。

 

「たしかにそれは調べるに値するものじゃな! それはもう最優先での!」

 復活したエステルが興奮気味に言う。

 そして、エミリーの方を見て、

「ここのデータ調査はエミリーに任せるぞい!」

 なんて事を言って、持ち運び型の端末――いわゆるノートPCみたいなもの――を次元鞄から引っ張り出して起動する。

 

「ほぁっ!? まっ!? うえぇっ!?」

 唐突に押し付けられる形になったエミリーがそんな素っ頓狂な声を発するが、エステルは既に聞いていない。ユーコから受け取ったメモリドライブを接続して、「ふむ、なるほど。こういう風にデータを……」などと呟きながら、何やら確認し始めてしまっていた。

 

「あ、これはもう無理そうだね」

「ええ、そうですね……」

 シズクに対して肩を落としながらそう返すエミリー。

 そんなエミリーに、ユーコはちょっと申し訳無さそうに、

「すいません、もう少し後で言った方が良かったかもしれませんね」

 なんて言った。

 

「あ、いえ、大した差ではなかったと思うので気にしないでください」

 そう返すエミリーに今度は私が問いかける。

「それはそうと、スキャンした地図の共有は……?」

 

「あー……、そっちも途中でしたね……」

 ため息混じりにそう言うと、スキャナーをチェックし、

「スキャンの方は終わっているので、私の方から全体に送信しておきます」

 と言いながら地図をスキャナーから取り出し、私へと返してくるエミリー。

 

「それで隊長、私たちはこの後どうするのかな? かな?」

 シズクがそんな風に私に問いかけてくる。

 シズクに『隊長』って言われるの、どうにも慣れないわねぇ……

 などと思いつつ、

「そうね……。資料整理と周辺の哨戒……はもう十分な気もするし、この地図の気になる所へ行ってみるのもいいかもしれないわね」

 と返す。

 

「気になる所があるんですか?」

 というユーコの問いかけに、

「この、『古式紋章異文碑』というのがちょっと気になっているのよ」

 と返しながら地図を広げ、その場所を指さしてみせる。

 

「……それ、天穿の奇岩群の『アレ』と同じもの……じゃないですよね?」

 ユーコが上から覗き込みながらそんな事を言ってきた。

 それ、私もちょっと思ったのよね……

 しかし、そう言うと『やめといた方が』とか返されそうなので、

「言ってみないとわからないわね。もしアレと同じだったら、私は近づかないようにするけど」

 と、そんな風に答えた。

 

「古式紋章異文じゃと? それなら、まさに天穿の奇岩群のものと同じじゃな」

 データ調査に集中していたはずのエステルが反応してくる。

 ちょっ、そこは反応しないで欲しかったんだけど……っ!

 

「……らしいですが、近づかない方がいいのでは?」

「う、ううーん……」

 予想通りの反応をしてきたユーコにどう返すべきか悩んでいると、

「まあ、あそこでの事を考えると懸念があるのはわかるぞい。じゃが、可能ならば『転写』してきて貰えると助かるのぅ」

 なんて事をエステルが言ってきた。

 

「転写……ですか? カメラでは駄目なのですか?」

 首を傾げながら、もっともな疑問を口にするユーコに、

「カメラで撮影してもノイズが入ってしまって上手く写せぬのじゃよ。まあ、魔煌具型のカメラゆえ、そちらの世界のカメラならば普通に撮影出来るやもしれぬが……アカリの異能――転写であれば、確実ではあろう?」

 と、そんな風に答えるエステル。

 

「それはたしかにその通りね」

 私はユーコよりも先にそう返事をすると、そのままユーコの方を見て告げる。

「――そういう事みたいだし、とりあえず『確認』だけしに行く感じにしない?」

 

「……そうですね。確認だけであれば大丈夫な気もしますし……」

 考えながらといった感じでそんな風に返してくるユーコ。

 それに続き、

「それじゃ、早速言ってみようか。何かあったら斬るから大丈夫だよ」

 なんて言ってくるシズク。

 いや、斬るって『何を』斬るつもりなのよ……

 

                    ◆

 

 ――地図に従って移動すること小一時間……

「前方に円環状に大小様々な石が並んでいる場所がありました」

「ストーンサークルの跡かとも思いましたが、どうも最初からそういう感じのようですね」

「そして、その円環の中央に碑石と思われるものがそびえているのも確認出来ました」

 そんな風に先行して偵察しに行っていた3人の部下がそれぞれ伝えてくる。

 

 そびえている……って、結構大きそうね。

 と思いつつ、3人に「わかったわ。確認ありがとう」と言って、そのまま進んでいく。

 

 すると程なくして縦長の岩が『そびえている』のが見えてくる。

 そこからさらに進んでいくと、報告された通り円環状に大小様々な石が並んでいるのも見えてきた。

 たしかにこれはストーンサークルの跡とは言い難いわね。

 

「……なんとなくですが、あの円環は境界線の類であるように感じますね。灯はあの先に足を踏み入れない方が良いかもしれません」

 ユーコがそんな事を告げてくる。

 私はそれに対し、改めて円環を見回しながら、

「まあ、たしかにちょっと嫌な感じはするわね」

 と返す。

 実際なんとなくゾクッとする『怖さ』のようなものを感じるのよね……

 

 そうこうしている内に、『碑文』が見えてくる。

 何と書かれているのかはさっぱりだけど、それが天穿の奇岩群にあったものに似ているのだけはわかった。

 

 ……とりあえず転写だけして引き返す方が良さそうね……これは。

 

 私は『碑文』を見ながら、そんな風に思うのだった。

予定よりほぼ1日遅れとなりました……


が、本日より概ねいつもどおりの更新に戻ります!

……いきなり1日遅れてしましたが、以降は数週間空いたりする事はありません!

(突発的に遅れる、1回スキップはもしかしたら、まだあるかもしれません……)


ま、まあ、そんな所でまた次回!

次の更新は、7月11日(金)の想定です!

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