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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第200話[表] アーリオン・5つの頭と魔法

<Side:Akari>

「……これはまたなんというか、グロテスク系のホラーに出てきそうな感じのキメラですね……」

 私と同じようなイメージを抱いたらしいユーコが、空飛ぶイグアナを薙ぎ払いながら、そんな事を口にした。

 それに対して蓮司は、

「そいつは同感だ。――つーか、複数の種族を融合させたキメラとはなぁ。行き着く所まで行き着いちまったイカレっぷりって感じだぜ」

 と、接近してきた空飛ぶイグアナを纏めて焼き尽くしつつ返事をする。

 そして、そのまま黒焦げて垂れ下がっている頭へと視線を向け、

「……んで、さっき倒したと思ったのは、あの『頭』だけだったみてぇだな」

 と、言葉を続けた。

 

「あと5つもあるわねぇ……。まあ、とりあえずぶち抜いてみましょうか」

 私はチャージしながらそんな風に言う。

 するとその直後、

「コウノウド……ディストーション……マコウハ……センシング……キョウイ……」

 なんていう声が聞こえてきて、頭――いえ、『顔』が私の方へと向いた。

 

 そして、魔法陣が私とキメラとの間に『5つ』出現し、そこから一斉に火球、氷柱、石礫、電撃球、光槍が『全て私に向かって』飛んできた。

 ……って、ちょっ!?

 

 私は、一旦チャージを解除してその場から即座に離脱。

 直後、光槍が私の立っていた床に突き刺さり、更にそこへ氷柱が飛んでくる。

 そして少し遅れて火球と電撃球。そして更に遅れて石礫。

 ……まあ、石礫というか岩礫だけど……

 

 それはともかく……

 氷柱はそのまま問題なく可能回避。

 火球と電撃球は追尾性能があるのか軌道を変えてきた。

 つまり、このままだと私に命中するという事。

 石礫――岩礫は、数が多く広範囲に降り注いでくる為、やはりこのままだと危険。

 チャージなしのスプレッドショットで撃ち落とすという手も考えたけれど、当たってくれるかどうか怪しいので即却下。

 となると――

 

 私は素早く後方へ跳躍し、岩礫の範囲から抜け出すと、追尾してくる火球と電撃球に狙いを定める。

 わずかに速度が早いのは電撃球。

 まずはこっちを!

 

 魔煌弓を構え、電撃球に向かって矢を連射する。

 

「っ!」

 ――硬っ!?

 

 魔法と魔法がぶつかった時、基本的には相殺現象というものが発生して双方の魔法が霧散する。

 それはどんな大きな威力と範囲の魔法と小さな威力と範囲の魔法でも同じ。

 

 それを避ける為に魔法に細工する事で、威力や範囲が小さい魔法に対して、一定まで相殺を無効化出来る……らしい。良くは知らないけれど。

 

 とはいえ『一定まで』なので、こうして立て続けにぶつければ相殺出来るのだけれど……全然消えてくれないわね……っ!

 

「面倒ね、もうっ!」

 そう言い放ち、得物をPACブラスターに切り替える。

 そして刃を発生させ……電撃球たたっ斬る!

 

 最初からこっちの方が早かったわね……

 続けて火球……だけど、斬った瞬間、爆発したりしないわよね?

 相殺するわけじゃないから怪しいのよね……

 

 というわけで、こういう時は――

 PACブラスターを回転させながら投げつける!

 

 ふたつの刃を発生させたままのPACブラスターは回転しながら火球へと到達し……そして、火球を斬り裂いた。

 

 と、次の瞬間、火球が爆発し、PACブラスターを吹き飛ばす。

 

 まあ、この程度の爆発なら耐えられる特殊なコーティングがされている――と、エステルが言っていた――ので、消し飛んだり壊れたりする事はないのだけれど。

 文字通り吹き飛ばされただけね。衝撃で刃は消えてしまったものの、そこは別に問題ないし。

 

 なんて事を考えながら、私は吹き飛ばされたPACブラスターを跳躍して回収する。

 と同時に、

「ゲイゲキ……デンジャー……タイショウ……アタック……ケイゾク……」

 そんな声が響き、再び魔法陣が出現する。

 

「またっ!?」

 そう叫んだ私に、

「どうやら灯が一番危険と判断されてロックオンしてきているようですね。なんだか癪に障りますが」

 なんて事を言いながらユーコが近づいてくる。

 

「癪に障るって何!?」

「一番危険なのは誰かをしっかりと『わからせ』なければならないという事です」

 私のツッコミに対してそんな事を言ってくるユーコ。

 

 えーっと……?

 何を言っているのかわからないと問う前に、ユーコは魔法陣に向かって高速接近。

 ガントレットとブーツの刃を使った斬撃で、岩礫の魔法陣を切断した。というか、引き裂いた。……って、ええっ!?

 

 続けて氷柱の魔法陣も引き裂き、生成されたばかりの光槍を魔弾を叩き込んで粉砕。ついでに魔法陣も粉砕。

 そこからさらに同じく生成されたばかりの電撃球にガントレットの刃を突き刺した。

 ……って、突き刺した!?

 

 それだけでも驚きなのに、ユーコは電撃球を突き刺したままクルッと反転しつつ、それを『放り投げた』

「お返ししますっ!」

 なんていう声と共に。

 

 放り投げられた電撃球は、『お返しします』という言葉の通り、そのまま一直線にこちらからもっとも近い位置にある、ルビーサ族の頭へ向かって飛んでいき……炸裂。

 強烈な放電がルビーサ族の頭を飲み込み、

「グギィァァアアァァアァッ!?!?」

 という苦悶の叫びが発せられる。

 

 そうこうしている間に今度は火球が生成される。

 しかし、ユーコはまるでそれを待ち構えていたかのように、火球の正面に立ち――

「さあ、これも返してあげますっ!」

 なんて事を言い放ち、一直線に飛んで来た火球に向かって回し蹴りを叩き込む。

 

 火球は爆発する事なく、そのまま軌道を変え――というか蹴りによって強制的に軌道を変えさせられ、再びルビーサ族の頭へ向かって飛んでいく。それも加速して。

 そして、いまだに放電から解放されておらず、苦悶の叫びを発し続けているルビーサ族の顔面にクリーンヒット。

 

 爆炎に飲み込まれ電撃と炎の双方に焼き焦がされたルビーサ族の頭は、

「アァ……ァ……」

 という消え入りそうな声を発し――いや、そのまま消え、ガクンと頭を垂れて動かなくなった。

 

 するとそこで、

「さあ、誰が一番危険か、改めて判断してもらいましょうか!」

 なんて事を言い放つユーコ。

 

 うわぁ……。圧倒的……

 でも、今の攻撃、相当な魔力を使っているような……?

投稿予定日時が金曜日になっていました……

気づいて手動で上げましたが日を跨いでしまっていますね……

気づくのが遅くなりまして申し訳ありません……


と、そんな所でまた次回……!

次の更新も予定通り、3月28日(金)の想定です。

次は間違えないように注意します……


そして、その次ですが……もしかしたら、更新日がいつもと変わるかもしれません。

現時点ではまだちょっと不明な為、変わらない可能性もあります。

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