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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第198話[表] アーリオン・突破と粉砕と……

<Side:Akari>

『こちらはライトニングファング・ナイトレイダー2体を撃破しました。残り1体です』

 そんな通信がユーコから届く。

 

 ライトニング・ナイトレイダー?

 あ、あー……そう言えば、トカゲワニの事をそんな風にクーさんが命名していたような……?

 ……まあ、トカゲワニで良いわね。こう言ったらあれだけど、わかりづらいし……

 

 って、それよりも倒すの早っ!

 私が1体倒して、空飛ぶイグアナもどきを撃ち落としている間に2体倒し終わってるしっ!

 

 こっちも急いで2体目……といきたいけれど、こいつらが邪魔すぎるっ!

 ユーコはどうやってこれを処理したのかしら……

 うーん……。何か良い手は……

 

 次々襲ってくるから魔煌弓のチャージはしてられないし、PACブラスターを鎌状にしても、薙ぎ払う時にどうしても足が止まるのよねぇ……

 こいつら、必ず進路を塞ぐように動いてくるし……

 

 いっそ駒みたいに回転しながら進む……って、絶対目が回るわね。

 縦に回転する分にはいいけど……地上じゃ無理だし。

 

 ……ん? 地上じゃ無理? なら、空中でやれば……?

 

 空飛ぶイグアナもどきを撃ち落としながら思考する事しばし……

 

「いけそう……かも?」

 そう呟きながら、手に持つ得物を魔煌弓からPACブラスターに切り替え、大きく跳躍する私。

 

 PACブラスターに刃を発生させ、鎌状にすると、そのまま前方に向かって高速移動。

 と同時に、「水平回転兜斬り!」と言い放って縦にクルッと回転する。回転する。回転する!

 進行方向上にいた空飛ぶイグアナもどきを引き裂き、そのまま止まらず直進!

 

 すると、蓮司の部下たちが見えてきた。

 ……みんなの方へ向かったつもりだけど、方向を誤ったようね……

 でもまあ、いいわ。

 

 空飛ぶイグアナもどきは振り切ったというか、私がトカゲワニに接近した事で、攻撃を仕掛けるのを中断したようだし。

 ……本当にどういう思考なのかしらね……?

 

 なんて事を思いつつも、私は体勢を戻して水平回転兜斬りを停止。

 再び魔煌弓へと得物を戻すと、

「矢を乱射して援護します!」

 と、降下しながら蓮司の部下たちに向かって呼びかける。

 すると、

「いえ、ここはチャージショットを撃ってください! こちらで押し出します!」

 そんな声が返ってきた。

 

 え? チャージショット? と思ったものの、「了解です!」と短く返事をしてチャージを開始する。

 

 チャージしながら蓮司の部下たちの動きを見ると、今までとは動きが変わった。

 具体的に言うのなら、それまでは攻撃役、防御役、支援役にバランス良く分かれつつ、それを上手く切り替えて交戦していくスタイルだったのが、全員が攻撃に転じる猛攻のスタイルへと変わった。

 

 その一斉攻撃に対し、トカゲワニは『壁』で対抗するも、蓮司の部下たちの猛攻は止まらない。

 トカゲワニはしばらく『壁』を展開し続けたが、防戦一方になると判断したのか『壁』を解除して後方へと大きく退いた。

 

 ああなるほど……そういうわけね。

 

 こいつは『壁』を出したまま移動する事は出来ない。

 だから……ここがチャンスッ!

 

「こっちにも注意するべきだったわね!」

 着地と同時にチャージショットを放つ私。

 

 そして、その方向には『誰もいない』

 まあ、正確には機械と融合した双頭竜とシズクがいるのだけど、そっちは気にする必要がないし。

 だって、シズクに当たるわけがないし。

 

 そうこうしていると、ようやくチャージショットに気づいたトカゲワニが回避しようと動く。

 が、そこは『吸引』が逃さない。

 

 引き寄せられたトカゲワニは『壁』を展開しようとするも、チャージショットは展開されていく最中の『壁』を粉砕し、そしてトカゲワニを飲み込んだ。

 

 そしてそれでも止まらず、双頭竜を引き寄せ、少しだけそのでかい図体を抉った。

 それが偶然なのか、それともロディみたいに計算されたのかはわからないけれど。

 

「ちょっ!? いきなり危ないなぁっ!?」

 そんな抗議の通信がシズクから飛んできた。

 ほら、やっぱり当たってない。

 

「回避出来たんだから問題ないでしょ? 大丈夫だと思ったから撃ったんだし」

「見てから回避余裕でした、とでも言えばいいのかなっ!?」

 私の返答に対し、そんな風に言ってくるシズク。

 なんでそんなネタ知ってるのよ……と思ったけれど、敢えてそこには突っ込まない。

 というか、あれを見てから回避出来る時点で無茶苦茶だし。

 

「ま、お陰で弱点っぽい物が露出したけどね」

「それは良かったわ。雑魚の群れはこっちでどうにかするから、さっさと倒しちゃって。そうね……これは命令よ」

「また無茶な命令をサラッと言うね? 部下に嫌われるよー? まあ、どうにかするけどさ」

 そう言って通信を終了してくるシズク。

 

「こんな命令、シズクにしか出さないわよ」

 という私の声は、通信が切れているのでシズクには届かない。

 そして携帯通信機をしまった所で、

「さすがですね。大将から聞いていた通りの破壊力でした」

 なんて事を言いながら、蓮司の部下のひとり――さっき、チャージショットを撃って欲しいと言ってきた人――が、空飛ぶイグアナもどきを撃ち落としながら近づいてくる。

 大将というのは、おそらく蓮司の事ね。

 前にも、大将とかボスとかお頭とか言われているのを見かけた事があるし。

 なんというか、山賊かなにかみたいよねぇ……その呼び方。

 

「それはありがとうございます。こっちにいるのはあと1体です。そちらも手伝っていただけますか?」

「無論です。むしろ、我々が手伝ってもらった方ですからね。ここでノーなどと言ったら、不義理、不誠実というものです。急に襲ってくるようになったこいつらを蹴散らしながら向かいましょう」

 私に対してそんな風に言いながら、魔法弾を放つ蓮司の部下。

 

 たしかにこの人数なら、空飛ぶイグアナもどきの群れを突破するのは難しくないわね。

 私は蓮司の部下たちを見回しながら、まだ交戦中であろうみんなに対して通信を開く。

 

「今からそっちへ戻るわ。負傷者とかは出ていない?」

「はい! 軽い傷を負った者はいますが、今の所、問題ありません!」

「わかったわ。それじゃ急いで戻――」

 ――そこで唐突に『隠れているもの』の存在を感じ取った。

 

 そして、それと同時にユーコの通信が割り込んでくる。

「灯、今何か感じましたよね?」

 そのユーコに対して私は返事をする。

「ええ、感じたわ。この空飛ぶイグアナもどきの妙な動き……。こいつのせいね、きっと……」

 と。

思った以上に長くなってしまったので、一旦ここで区切りました……


とまあ、そんなこんなでまた次回!

次の更新も予定通りとなります、3月21日(金)の想定です!

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