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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第194話[表] アーリオン・突入ポイント

<Side:Akari>

 女神様が追跡した先へ向かうという事は、『竜の御旗』の拠点に飛び込むという事でもある。

 つまり、いきなり戦闘になる……という事でもあるわけで――

 

「なっ!? どうやってここ――」

 それ以上の言葉を口にする前に、シズクの斬撃が一閃。

 声を発する事なく倒れ伏して動かなくなった。

 それを確認しつつ、

「どうやってってワープしてきたに決まってるじゃないか」

 などと言うシズク。

 

「倒した後に返答しても無意味でありますよ」

 そうシズクに言いつつ、ふたつ首の狼の首を同時に両方叩き落とすクラリス。

 

「それにしても、当たり前のようにキメラがいるわねぇ……」

 と呟きながら、背中がハリネズミのように針だらけになっており、角のような触手のような、正直気色の悪いものが両肩から生えているクマのようなキメラに対し、チャージショットを叩き込む私。

 

「キメラというのは、こう……なんというか、二足歩行だったり人間みたいな部分があったりする個体が多いですが、これは完全に獣ですね」

 そうユーコが口にした所で、チャージショットによって胴体に大穴が開いたキメラがこちらに触手を伸ばそうとしてくる。

 とはいえ、私が動く必要はない。なぜなら、

「まあたしかにそうね。……というか、大穴を開けたのに動けるとか生命力ありすぎじゃない?」

 と、私が返事をした時には、既にユーコが衝撃波を飛ばしてトドメを刺していたから。

 

「完全な獣型は大型になりがちじゃが、それゆえに生命力も大幅に増幅されるんじゃろうな」

 なんて事を言いつつ、エステルが後ろからやってくる。

 そしてそのまま周囲を見回し、

「あっという間に終わったのぅ」

 と、そう言葉を続けた。

 

「むしろ、この戦力であっという間に片付かない方がおかしいわよ」

「ま、それはそうじゃな」

 肩をすくめながら言う私に、エステルが笑いながらそう返す。

 

「とはいえ、まだ突入した地点を制圧しただけですからね。ここからが本番というものです」

 そう言いながらやってきたのは、なんだかちょっと禍々しいオーラを纏った槍を持つクライヴさん。

 

 これって、たしか……邪聖装とか言うんだったかしら?

 まあ、元々のものに『黄金守りの不死竜』……というかエステルたちが、改良を施して、少し見た目も変わっているらしいけど。

 

「そうじゃな。しかし、『突入した地点』の割には思ったよりも広かったのぅ」

 と、エステルが肩をすくめながらクライヴさんに返す。

 

 たしかに研究施設というよりかは、最早工場という感じよね……

 前後左右、どこを見ても壁が見えないくらい広い屋内……というか地下空間っぽいう場所に、大小様々な培養槽やなんだか良くわからない装置が多数配置されているし……

 

「それで、ここからどうするの?」

「ふーむ。届いた報告によると、正面と後方に通路があるようじゃ。で、正面はアルヴィンスとエメラダの部隊が、後方は蓮司の部隊が既に突入しておるようじゃな」

 私の問いかけに、エステルが携帯通信機の画面を確認しつつ、そんな風に返してくる。

 そしてそこに、

「後方の方が少し戦力が薄い感じですね。本当に少しですが」

「まあ、10と8くらいの差ですね……」

 なんて言葉をそれぞれ紡ぐクライヴさんとユーコ。

 

 それを聞いていたシズクが、

「なら、後方に行ってくるよ」

 と、言うが早いか駆け出していく。

 ……って!

 

「ちょっと! 勝手に行くんじゃないわよっ!」

 私がそう呼び止めると、

「おおっと。ついうっかりしていたよ、副隊長殿」

 なんて事を言いながらその場で停止するシズク。

 

「……まあ、どのみちどこかが行く必要がありますからね。エステルさん、私たちが行きます」

「了解なのじゃ。蓮司には伝えておくぞい」

 ユーコの言葉にエステルがそう返す。

 そしてすぐにユーコが、

「シズクさんは先行して、何人か部隊員を連れて状況確認してきてください」

 と、シズクに告げた。

 

「承知したよ、隊長殿。適当に拾って『状況を確認』してくるよ」

 などと言って、再び駆け出していくシズク。

 

 それを見送りながら、

「……シズクがウチの部隊の所属扱いって、今更だけどわけがわからないわよね。他の部隊でも良かったと思うんだけど……」

 と、やれやれと思いつつそう告げる私に、

「まあ、本人がここが良いと言いましたし、特に断る理由はないのですが、『制御』するのが少し大変ですね」

 なんて返してくるユーコ。

 

「制御って強調して言っちゃってるし……。少しで済むのかしらねぇ……」

「大丈夫ですよ。元々は武人……というか侍衆みたいな感じの所で育ったからなのか、そこまで独断で動く人でもないですし」

「まあ、たしかにそこは否定出来ないわね。……っと、ここであまり話しているとシズクと大きく離されてしまうわね。私たちも行きましょうか」

「そうですね」

 ユーコはそう頷いた後、携帯通信機を通じて、

「――みなさん、私たちは後方……方角で言うと東へ向かいます。シズクさんか私たちに続いて移動してください」

 と、部隊全体に指示を出した。

 

 その直後、私とユーコ、それから美香さんと日向さんにのみ届く『報告メッセージ』の板に、

『既にシズクさんに強引に引っ張られているよぉー! うひぃー!』

 という、日向さんからの書き込みが表示された。

 ええーっと……。シズクが適当に拾ったの、日向さんだったのね……

 

「さ、行きましょうか」

 ユーコもそれを見たはずだけど、何事もなかったかのようにそう告げてきた。

 

 み、見事なまでの既読スルーね……

今回もいつもの更新時間よりも遅くなってしまいました……


ともあれ、アーリオンに突入しました。

もっとも、強すぎる集団なので戦闘はあっという間に終わりますが……


とまあ、そんなところでまた次回!

次の更新も予定通りとなります、3月7日(金)の想定です!


次こそ、いつもどおりの時間に更新したいところです……


※追記

脱字を修正しました。

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