表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
741/764

第189話[表] サクヤズレガシー

<Side:Akari>

「全員揃ったようだな。それじゃ、ディアーナの領域へ移動するとしよう」

 という蒼夜の言葉に従い、私たちは女神様の領域へ移動する。

 

 女神様の領域って、ユーコと離れ離れになって、あの遺跡に蒼夜たちが到達するまでの間、結構滞在していたからか、なんとなく『自宅』感があるわね……

 

 なんて思っていると、

「……? 何か部屋らしきものが増えていませんか?」

 ユーコがそんな事を言った。

 そして、その顔を向けた先は、私が滞在する為に作られた部屋だった。

 

「ユーコが地球にふっ飛ばされたせいで、グラスティアじゃ一歩も動けない状態になったって話したわよね? だから、あそこに住んでいたのよ。ここなら動けたから」

 と、やれやれと首を横に振りながら答える私。

 

「あっ……!」

 ユーコはハッとした表情で口に手を当てながらそう言った後、

「あ、あー……なる……ほど……」

 と、私から目を逸らして続きの言葉を紡いだ。

 

「ちょっと待って? どうしてそこで目を逸らすのよ?」

 ユーコに対してジトッとした目を向けて問う私。

 そんな私にユーコは、

「い、いえ、その……。私が自由に動き回れたのは、灯がここにいたからだと思うと、こう……色々と申し訳ないというかなんというか……」

 なんて事を言ってきた。

 

 いや、うん、どうしてそれで目を逸らすのかちょっと良くわからないんだけど……

 まあ、理由はわかったから、とりあえず良しとするわ。

 

「エレンディアにあるー、灯さんとー、ユーコさんの使っているフロアをー、完全再現したのでー、ユーコさんの部屋もー、ばっちりありますよー」

 女神様がそんな事を言ってくる。

 それを聞いたユーコが、

「えっと……。灯の部屋だけ再現すれば十分だったのでは……?」

 と返す。

 

 それに対して私が、

「ユーコの部屋を物色する絶好の機会だったからよ! カギかかってないし!」

 と言い放つ。

 

「え……? ええっ!? い、いやいや、ちょっと待ってください!? 何してるんですかぁっ!?」

 思いっきり大慌てのユーコ。

 するとそこで、

「駄目ですよー、冗談を言ってはー。ロックもしっかり再現しているのでー、私が預かっているー、カードキーが無ければ開きませんよー」

 と、バラす女神様。

 

「え?」

 ポカーンとした表情のまま固まるユーコに対して、

「まあ、そういう事よ」

 と告げて、肩をすくめてみせる私。

 

「……そ、そうですか……。危うく灯を抹殺する所でした……」

 などと言いながらアストラルブレードを伸ばすユーコ。

 

「いやいやいやいやいやっ! いくらなんでも物騒すぎるんだけどっ!?」

「8割冗談です」

 驚く私に、ユーコがそう返しつつ微笑してくる。

 

「いや、8割って何……? 残りの2割は何なの……? ユーコの部屋に、何か見たらまずいものでもあるって事……?」

「――秘密です」

 再びユーコが微笑してくる。

 しかし、今度は目が『笑って』いなかった。

 

 ひ、ひぃ……っ! な、なんて恐ろしい……

 で、でも、そこまでの反応をするだなんて、逆に気になるわ……。一体なにがあるというのかしら……

 こっそりと物色しておくべきだった……かも……

 い、いや、でも、それを見つけてまったら隠し通せる気がしないし……。ここはやっぱり、物色しなくて正解だったと思うわ。うん。

 

 なんて事を思っていると、

「ふたり揃うなり騒々しいのぅ。……ま、その方が良いがの」

 なんていう声と共に、テレポータルからエステルが姿を現した。

 そして、

「無事戻ってきてなりよりじゃわい。あれこれ苦労して『そっち』への道を作った甲斐があったというものじゃ」

 と、ユーコの方を見て言葉を続けた。

 道というか穴だけど……とは、敢えて言わない。

 

「あ……。エステルさんたちのお陰で無事に灯と再会する事が出来ました。本当にありがとうございます!」

 エステルの方を向いて、思いっきり頭を下げながら言うユーコ。

 それに対し、

「なぁに、こう言ってはなんじゃが、苦労はしたが楽しかったからのぅ。なにせ、異界へ至る技術を限定的とはいえ確立させられるというのは、学びとして今までにない大きなものじゃったからの」

 なんて事を言って笑うエステル。

 

 それに対してさらにユーコは何か言おうとしたが、それよりも先にエステルが、

「ま、それはそれとして……じゃ。サクヤズレガシーの解析も終わったぞい」

 なんて事を、わざわざ告げてくる。

 

 ユーコに対して、それ以上の言葉は不要だという意味も含んでいるわね。これ。

 と思いながら、そこに対しては何も言わず、

「そのサクヤズレガシーというのは何なの?」

 という、エステルの発言に対する問いの言葉を投げかける私。

 

「多分、例のフロッピーディスクもどきの事だろう。随分とまあ御大層な名前をつけたもんだな」

 エステルよりも先に蒼夜がそんな風に言って肩をすくめてみせた。

 その蒼夜に対して、エステルは腕を組みながら、

「あの中身を見たら、御大層な名前を付けたくもなるわい。なにしろ、今の停滞した状況を一気に変えられる程の代物じゃったのじゃからのぅ」

 と、ため息混じりに言って首を横に振る。

 

「停滞した状況を一気に変えられるって、またサラッととんでもない事を言うわね……」

 そんな事を口にしたシャルに続くようにして、

「まあ、朔耶は超展開メーカーだからなぁ……」

「うむ、たしかに」

 なんて事を言う蓮司と珠鈴。

 

 たしかに、事あるごとに蒼夜たちは朔耶という人の事を、超展開メーカーとか言ってたけど、本当に超展開メーカーって感じがするわね……

 

「つまり、今回も超展開になるような、そんな情報が見つかったというわけか」

「ま、そういう事じゃな。ディアーナ様の解析と合わせると、色々と進展させられるぞい。……灯とユーコの力も必要になるがの」

 蒼夜に対し、エステルはそう返事をしてから私とユーコを交互に見てくる。

 

 ……って、私とユーコの力も必要?

 一体どういう事なのかしら……?

スローペースだった今後の展開を大幅に調整しましたが、今回はまだ出だしなのでこんな感じです。

この先は結構展開の進展が早くなるようにしましたが、所々どうしても進展が遅くなる所はあります。

(といっても、今までと比べたら早くなるようにはしていますが)


とまあそんな所でまた次回!

次は予定通りに戻りまして、2月17日(月)の想定です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ