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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第182話[表] 地球・アクセサリーとサメ

<Side:Yuko>

「あら、そうだったのね……。それなら、ばっちり女子高生風にしてあげるわ!」

「そうだね。制服をベースにしたタイプのものをベースにするのであれば、調整も容易だしね」

 蒼夜さんの両親はそんな事を言うなり、灯を左右からガッチリと抑えました。

 そして、

「え、あ、はい。あ、ありがとうございます? で、ですが、これは?」

 などと困惑している灯を、

「「まあ、いいからいいから」」

 と言いながら、そのままどこかへと連れていきます。

 

「えっと……。これは後を追いかけた方がいいんでしょうか?」

 私はそんな風に莉紗さんの方を見て問いかけます。

 するとそれに対し、

「うぅーん……。追いかけても特に何か出来るわけでもないし、このまま待っていればいいと思う」

 と、そう返事をしてきました。

 

「あ、それでしたら、とりあえずコレを購入しておくのです」

 クーさんがそんな風に自分の着ている服を指さすと、そのままレジの方へ向か……おうとした所で、

「それをレジまで着て行っても、レジの人が困惑するだけだと思うよ? だって値札が付いてないし……」

 という突っ込みめいた言葉を口にする莉紗さん。

 ……言われてみると、私のこれも値札がないような?

 

「……とりあえず待つしかありませんね」

 私がそう言って肩をすくめてみせると、

「……仕方がないのです。それなら、何かアクセサリーでも見ておくのです」

 なんて言いつつ、近くのアクセサリーコーナへと足を向けるクーさん。

 

「あ、私はここで灯さんたちのことを待ってるから、ユーコさんもアクセサリーとか気になるなら見てきていいよ」

 莉紗さんがそんな風に言ってきます。


 ……正直言うと、アクセサリーとかあまり興味はないのですが、それを告げて、このままここで待っているのもどうかと思い、

「そうですか? では少しだけ見てきます」

 と、そのように言って、私はクーさんの方へと向かいます。

 そして、

「私はアクセサリーとかさっぱりなんですけど、クーさんは詳しかったりするのですか?」

 と、そんな風にアクセサリーを眺めているクーさんに問いかけました。

 

「いえ、私もさっぱりなのです。でも、変化している時用にあると便利だと思ったのです」

 莉紗さんには聞こえない距離なので、普通に『変化』という言葉を使ってくるクーさん。

 それに対して、

「変化している時用……ですか?」

 という問いの言葉を返す私。

 

「変化中は『服』が邪魔なので、一時的に異能の力で消しているですが、そうすると当然『服』の防御魔法の効果は得られなくなるのです。その点、アクセサリーは邪魔にならないので、こっちに防御魔法を付与しておく事で、変身中も防御魔法の効果が得られるようになるのです」

「あ、言われてみるとたしかにクーさん、変化状態の時は服を着ていませんね」

 私はクーさんの説明に納得してそんな風に返しつつ、ふと以前エステルさんに聞いた話を思い出し、

「でも、アクセサリーに付与出来る防御魔法だとそんなに大きな効果はないのでは……?」

 と、そんな風に問いかけました。

 

「それは『人間の大きさ』に対してアクセサリーの大きさだと足りないからなのです。変化状態の『大きさ』ならアクセサリーでも数個あれば十分補えるのです」

「なるほど……そういうわけですか。防御魔法を十全に機能させたい場合、対象の『大きさ』に合わせたものが必要……という事なんですね」

「はい。そういう事なのです」

 私の返答に対し、クーさんが頷いて肯定してきます。

 

 しかし、変化によって『大きさ』まで変わるというのも不思議ですね。

 まあ、壁をすり抜けたり出来る私がそんな事を思うのも、あれかもしれませんが。

 

 などという事を思いながら、アクセサリーを見回す私。

 すると、銀の三日月をチャームとするシンプルなペンダントが目に入りました。

 シンプルなだけあって、値段も大して高くありませんね……

 

 ……灯と同じものを身に着けて、魔法で連結させておけば、今回のように離れ離れになっても、『魔法探知』で互いの位置がある程度把握出来るのでは……?

 まあ、そうそう頻繁に離れ離れになる事態が起きても困りますが……

 

 私はそんな風に考え、そのペンダントをふたつ手に取ると、それをレジに持っていって即座に購入しました。

 

 このまま渡しても意味がないので、渡すのは向こうの世界に戻って、エステルさんあたりに魔法を付与して貰ってからですね……

 

 と、そう思った所で、

「ユーコ? なにか買ったの?」

 という灯の声が聞こえました。

 

 そちらへ顔を向けると、チェック柄フレアと黒のプリーツが半分ずつというジャンパースカート、そしてフリル付きのブラウスに複数のラインが模様として入っているリボンタイ、そのブラウスの上に何故かデフォルメされた『サメ』のパーカーを羽織った灯の姿がそこにはありました。

 

 制服っぽいと言えば制服っぽいですが、現実ではお目にかからなさそうな感じがしますね。

 というかそれより――

「どうしてサメなんですか……?」

 灯への返答よりも先にその疑問が口をついて出る私。

 それに対して灯が、

「開口一番がそれ!? いや、単純に可愛いと思ったからなんだけど……可愛いと思わない? これ」

 なんて事を言ってきます。

 

「まあ、そのデフォルメされたサメ自体は可愛いと思いますが……」

 そう私が答えると、

「同じサメでも少し見た目の違うものとか、他にも色々と勧められたんだけど、最終的には私の感覚――直感でこれにしたわ」

 更にそんな風に言ってくる灯。

 

 ……まあ、あのおふたりなら『他のものを勧める』でしょうね。

 パーカー自体は悪くないというか、マーシャちゃんとかに着せたらとても良く似合いそうな感じですが……

 逆を言えば『そういう感じ』なんですよね……

 デフォルメがききすぎていて、ちょっとこう……『着ている灯自体も幼く見える』というかなんというか……

 いえ、これが気に入ったのなら別にそれはそれで良いと思いますが、着る事を否定はするつもりはありませんが……。ありませんが、うーん……

 

 私は灯を見ながらそんな事を、言葉にはせず心の中で呟くのでした。

サブタイトルが妙な事になっていますが、他に思いつかなかったもので……


ま、まあそんなこんなでまた次回!

次の更新は平時(予定)通りとなります、1月13日(月)の想定です!

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