第180話[表] 地球・店再び
<Side:Akari>
「なんで魔法探偵シャルロットのコスプレを?」
私は合流するなり、開口一番シャルに対してそう問いかける。
……というか、ついコスプレって言ってしまったけど、通じるのかしら?
なんて心配をしたものの、その心配は杞憂だった。
「コスプレじゃないわよ……。いやまあ、たしかにコスプレ感あるのは分かるけど」
と、そんな風に返してくるシャル。
そしてそれに続くようにして蒼夜が、
「ウチの店に行ったんだが……ウチの母さんが興味をもってしまってな。即席で作り上げたんだそうだ」
なんて説明をしてきた。
「あ、なるほど。そういう事なのね。――というか……蒼夜の所のお店、ここにもあるのね。ちょっと興味深いわ」
「だったら、もう一度行く? 案内するよ?」
私の発言に対し、莉紗がそう返してくる。
「行くなら、次は俺抜きで頼む……」
なんて言って肩をすくめる蒼夜。
「私も興味があるのです。ちなみに……この後はどこへ行く予定なのです?」
「もちろん、温泉に入る予定だ」
「ああ、その通りだ」
クーさんの問いかけに対し、蓮司と蒼夜が力強くそう返す。
「な、なるほどなのです。たしかに温泉は大事なのです」
「そうねぇ。でも、お店の方も気になるわね」
クーさんと私がそんな風に言うと、
「まあ、もう一度二手に分かれてもいいんじゃないか?」
と、そんな風に言うロディ。
「たしかにそれはその通りね」
私がそう言ってロディに同意すると、他の皆も同じように同意する。
――というわけで、私、ユーコ、クーさんの3人は、莉紗ちゃんに案内してもらう形で、蒼夜の両親のお店へと向かう事にした。
温泉へ向かう面々と分かれ、早速移動。
「ここだよー。ふたりともまだいるかなー?」
と言いながら到着したお店へと入っていく莉紗ちゃん。
そして店内を半分くらい回った所で、蒼夜の母親を見つけ、
「あ、いた。良かった」
と言いながら声をかける。
直接面識はないけど、事前に写真で確認した通りの雰囲気ね。
そして二言三言やり取りをした後、
「話は聞いたわ。貴方たち3人も蒼夜のお仲間なのね」
と、蒼夜の母親がそんな風に私たちの方を見ながら言ってくる。
「あ、はい。冥賀灯といいます。まあ、私とこっちのユーコは出向のような感じですけど」
私がそう答えると、それに続くようにしてクーさんが、
「クーレンティルナ・カリンカーシャなのです。長いのでクーとか呼んでくださいです。私の方は、蒼夜さんと同じ所に所属しているですが、普段はどちらかというと学校――大学の方で研究していたりするのです」
という説明をした。たしかに嘘ではないわね。
「良い服が多いと聞いたので、入れ替わるような形で来させてもらいました」
ユーコがそんな風に言うと、
「そう言って貰えると嬉しいわね。……というか、貴方、なんだか少し変わった感じがするわね? オーラが違うというか……」
と、そう返してきた。……僅かに何らかの力を有しているという事なのかしら?
多分、アストラル体という所に何かを感じたんだと思うし。
「そ、そうでしょうか? そう言われても、自分では良く分かりませんが……」
「まあ、オーラなんて言われても、自分では見えるものでもないものね」
ユーコの動揺を隠しつつの返答に対し、そんな風に返す蒼夜の母親。
どうやら、不審には思われなかったみたいね。
「おや? 莉紗がここにいるという事は、また別の子を連れてきたのかい?」
そんな声と共に莉紗ちゃんに声をかける男性。
そちらに顔を向けると、写真で確認済みの人物――蒼夜の父親だった。
「うん。もう一組と合流した所で、このお店に興味があるというので連れてきた感じー」
莉紗がそう返し、それに続くようにして私たちも再び自己紹介をする。
すると、
「なるほど、そちらの冥賀さん……だと被るね。――ユーコさんはたしかにオーラが少し違う感じがするね。でも……」
なんて事を言いながらユーコからクーさんへと視線を移す蒼夜の父親。
でも? と思いながら見ていると、
「――そっちのカリンカーシャさんの方が、個人的には気になるオーラかな?」
と、そんな事を言った。
どうでもいいけど、クーさんの事を名字の方でしかも略さずに呼んだ人、始めてみた気がするわ……
などと考えていると、
「え? 気になるオーラ……です? 私はこれといって特別なものとかはなにもないと思うですが……」
という、ちょっと困惑気味に小首を傾げながら答えるクーさん。
「なんというか……犬っぽいというか……子犬のようなキュートさというか……そういうものを感じるよ」
「言いたい事はわからなくもないけれど、その言い方はどうなのかしら……。誤解を生みそうだわ……」
蒼夜の父親の発言に続くようにして、蒼夜の母親がため息混じりにそんな風に言った。
いや、まあ、その、割と的を射ているような気はしなくもないわね……
と、そんな風に思っていると、
「あ、えっと……。まあ、その……そう言われて悪い気はしないのです」
なんていう私が思ったのと同じような言葉を口にするクーさん。
するとそれに、
「うーん……。なんだか良い感じの服が頭に浮かんできたなぁ……。もしよかったら、ちょっと『コーディネイト』させて貰えないかな?」
と、そう言ってくる蒼夜の父親。
その言葉に、
「あ、こっちも『ピコンッ!』ってきちゃったみたいだね」
などと告げてくる莉紗ちゃん。
ピコンッ! って……。まるで、頭上に電球が点灯したみたいな言い回しねぇ……
「実は服とかあまり良くわからないので、それはありがたいのです」
そう答えるクーさんを見ながら、
「既存のだけじゃ足りなくて、新しいものが増えそうね」
なんて事を呟いて肩をすくめる蒼夜の母親。
……な、なんだか色々とありそうねぇ……
と、そんな風に思っていると、蒼夜の母親が、
「――とりあえず、そこそこ時間がかかると思うから、その間にふたりの方は私が良いのを見つけてあげるわ。素体が良いから色々合いそうよねっ!」
と言いながら、私とユーコを交互に見てくる。
……こっちもこっちで、変なスイッチが入ってしまった感じがしなくもないんだけど……
ま、まあ、大丈夫……よね? 多分。
温泉……の前に、こっちも服装チェンジです。
とまあ、そんな所でまた次回!
お正月を挟む為、次の更新は平時より2日程多く間が空きまして、1月5日(日)の想定です!




