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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第173話[裏] 地球・アウトレットモール

 翌日――

 

「おおー。これがアウトレットモール。うん、広い」

 俺たちの街から少し離れた所にある巨大なアウトレットモールへとやって来た所で、ロゼがそんな感想を口にする。

 ロゼが開口一番で『おおー』って言うの珍しいな。普通は『うん』とか『ん』なのに。

 そこまでの驚きだったのだろうか?

 

「向こうの丘の上にある建物も、この施設の敷地内なのよね?」

「そうだな。あそこはたしか……日帰り温泉もやっているホテルだった気がする」

 シャルの問いかけに対して、前に来た時の記憶からそう答える俺。

 するとそこで、

「そうそう! あそこの温泉、見ての通り高い所にあるから見晴らしも抜群なんだよねー」

 なんて事を言ってくる莉紗。

 

 ちなみに、莉紗は案内役だ。

 ……俺、ここにはそんなに来た事がないから、良く分からないし……

 いかんせん、朔耶もショッピングとかにあまり興味を示さないタイプだったから、余計に機会がなかったというか……

 

「ひさしぶりに来たわねぇ」

「そうですね。今日は霊体なのがバレないかとヒヤヒヤする必要がないのが大助かりです」

 莉紗に聞こえないように、後方でそんな事を話す灯とユーコ。

 それに続くようにして、

「私は逆に幻影がちゃんと働いてくれているのかと、少しビクビクしているよ。何しろ、自分からは見えないからね」

 なんて事を珠鈴が口にした。

 

「姉貴はこういう所で急に心配性になるよな……。大丈夫だ。ちゃんと働いている」

 蓮司が肩をすくめながらそんな風に返事をすると、勇さんがそれに続くように、

「なに、もしもの時はこっちでも隠ぺ……フォローするさ」

 と告げた。

 

 今、明らかに隠蔽って言おうとしたな……

 まあもっとも、もしもの時にやれる事と言ったらそれ――隠蔽工作――くらいしかないだろうが……

 

 と、そんな事を考えていると、案内板を見ながら、

「お、故郷のあのメーカーの店まであるのか! ちょっと興味があるな!」

「思ったよりも広いのです! やっぱり映像や画像で見るのと、この目で見るのとでは全然違うのです! この辺りとか興味深いのです!」

 などと、それぞれ興奮気味に言うロディとクー。

 

 ロディはともかく、クーが興味深いと言いながら指さしている所、そこ……食べ物関連の店が集まってるエリアなんだが……。それもスイーツとかじゃなくて、ガッツリとした『飯』の方の。

 まあ……別にいいけど……

 

「うぅーん……。人が多いとはいえ、さすがにこの人数でぞろぞろと歩き回ると、目を引いてしまうし、二手に分かれるのが妥当な気がするわね」

「あー……。たしかにそうですね……」

 俺は美香さんの発言にそう同意しつつ、

「――そうなると、どうやって分けるか……ですね」

 と、続けて口にする。

 

 俺、莉紗、珠鈴、蓮司、シャル、ロゼ、クー、ロディ、灯、ユーコ、そして、勇さんと美香さんの全12人か……。6人ずつに分ける事になると思うが……

 

「蒼夜お兄ちゃん、シャルとロゼは私が案内するから一緒ね」

「ん、当然蒼夜も一緒。じゃないと困る。うん」

 莉紗とロゼがそんな風に言ってくる。

 

 つまり、莉紗とシャルとロゼと俺は固定か。

 

「待て、それなら私もそちらがいいぞ」

 と、今度は珠鈴がそんな風に言ってきた。

 

 となると、既に5人は確定か。

 あと1人は勇さんか美香さんのどっちかだろうな……

 

 なんて思った所で、

「なら、男女の比率を考えて、俺もそっちに入るとすっか。つっても、基本的には少し離れた所で部下たちと居て、定期的にそっちに顔を出す感じになるがな」

 と言ってくる勇さん。

 

 たしかに美香さんがこっちに入ると、男は俺1人になるな……

 というか、部下も来ていたのか。

 

 少し気になって、ちょっとクレアボヤンスを使って周囲を見回してみる俺。

 すると、たしかに俺たちの方を見ている視線がいくつかあった。

 集団で固まっている俺たちに興味を抱き、野次馬的な感じでチラ見してくる視線とは違う、明らかにこちらをジッと見続けている、そんな視線なので間違いないだろう。

 

「それなら、私を含めた残りの6人が別の班という事になるわね。無論、私も少し離れた場所から警護させて貰う形を取るわ」

「そうなるな。ま、それでいいんじゃねぇか?」

 美香さんの言葉に頷きながらそう言って、蓮司、クー、ロディ、灯、ユーコの5人を見る。

 

「特に問題はねぇぜ」

「はいです。これでいいと思うです」

「俺も特に異論はないな」

「そうね。私もないわ」

「同じくありません」

 5人が順番にそんな風に返事をしてきたので、あっさりと決定した。

 

 そして二手に分かれた所で、勇さんが「あとは好きにしてくれ」と言いながら、俺たちから離れ――先程から視線を向けてきている面々の所に向かっていった。

 やはりあれがそうだったのか……と思いつつも、

「それで、俺たちはどこへ行くんだ?」

 と、莉紗に対して問いかける俺。

 

「んー、私の方からここへ行こうっていうのは決めてないかなぁ。シャルとロゼ、それと珠鈴さんは、何か買いたいものとか見たいものとか、そういうのある?」

 莉紗が3人を交互に見て、そんな質問を投げかけた。

 

「ん、武器」

「え、ええっと……。それはさすがに売ってるお店、ないかなぁ……」

 ロゼの簡潔かつ無茶すぎる返答に、莉紗が少し困った顔をしながらそう返す。

 

 まあ、こっちじゃそんな簡単に武器とか買えないからな……

 

「そうねぇ……それなら、やっぱり動きやすい服……とかかしらね? 戦闘に耐えられそうな感じの」

「なるほど、たしかにそれはいいね。私もそれに乗るとするよ」

「服って所は普通な回答だけど、戦闘前提って所は普通じゃないね……。でもまあ、それなら――」

 シャルと珠鈴の返答に対し、俺の方をチラッと見ながらそう答える莉紗。

 

 ……なんだろうか。ちょっと嫌な予感がするぞ……?

 そう思いつつも、「こっちだよー!」と言って歩き始める莉紗に従い、歩いていく事しばし……

 

「ここが良いと思うよ!」

 と言って莉紗が立ち止まったその店は、ウチの『支店』だった。

 

 ウチの街にある方が本店だけど、最近はこっちの方が人が入るんだよなぁ。

 まあ……立地的な事を考えたら、当然なのかもしれないが。

 って、そうじゃない。どうして数ある店の中からここを選んだんだ……

 

「よりにもよってここかよ……っ!」

 俺はそんなお約束のような声を上げる。

 というより……来てしまった以上は、それ以外に出来る事がないとも言うのだが……

久し振り(?)の日常の話(日常と言えるのかは微妙ですが……)です。


とまあ、そんなところでまた次回!

次の更新も予定通りとなります、12月6日(金)の想定です!

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