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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第166話[Dual Site] 地球・報告と報告

<Side:Akari>

「――という感じですね」

「なるほど……『竜の御旗』なる組織に合流した、かつての『竜の血盟』の連中や、その組織の幹部とも言うべき『銀の王(しろがねのおう)』と呼ばれる連中が関係している可能性が高い……というわけね」

 ユーコの報告を聞いた美香さんが、頷きながらそんな風に言うと、それに続くようにして、勇さんが顎に手を当てながら、

「かつての『竜の血盟』は、いつの間にかその姿を消して、その理由が謎に包まれていたが、なるほどな……一度異世界側へ戻っていたってわけか。で、地盤が固まったから、再びこちらに手を伸ばしてきた……ってな所か」

 と呟くように口にした。

 

「しかも、以前よりも厄介な存在となってるってのが、また面倒だな」

 勇さんが肩をすくめながら言葉を続けると、大型モニタに映る支部長が、

「そうだね。なにしろ、今の我々の戦闘能力を遥かに凌駕する灯君たちですら、倒すのに手間取るような奴が出てきたわけだし。灯君たちがいなくなったら、倒すのにどれだけの死傷者が出るのやら……だよ」

 なんて言って、伏し目がちに首を横に振りつつため息をついた。

 

「うーん……。やはり、ある程度はグラスティアの武器をこちらに持ち込まないと危険な気がするな」

「そうねぇ、私たちもずっとこっちにいるってわけにはいかないものね。向こうでもやらないといけない事があるというか、向こうで連中の対処をしない限りは、いつまで経っても終わらないし」

 ロディの発言に対して私がそんな風に返すと、

「そうだな。だがまあ……防衛出来るだけの戦力をこちらに一時的に配置するっつーのも、ひとつの手かもしれねぇなぁ……。ほれ、逆探知……つーか、転移の追跡を試みている最中だろ? あれが上手く行けば、こっちから仕掛ける事も出来るようになるわけだしよ」

 なんて事を、腕を組みながら言う蓮司。

 

「なるほどなのです。でも、グラスティア――というか、『黄金守りの不死竜』の戦力を地球に……というのは、色々と面倒事が起きそうな気がするのです……。こちらにはいない種族を、多くの人が目撃する事になると思うですし」

「そうだな。たしかにそこは否定出来ねぇ。とはいえ、一時的であればある程度は隠せるんじゃないか? 種族の方も、目立たないようになるべくヒュノス族で揃えるつもりだしな」

 クーさんの言葉に対して、蓮司が頷きながらそう返す。

 

「その種族で目立つと言えば……だけど、シャルとかロゼとかは蒼夜と一緒にいるじゃない? でも、あまり騒がれないわよね? まあ、こっちに来てから大して経ってないから、単に誰にも見られてないだけかもしれないけど」

 私がふと疑問に思った事を口にすると、

「あれは幻影の魔法を使っているのです。シャルさんは耳、ロゼさんは角の付け根部分を幻影で覆うだけで、ヒュノス族――いえ、地球の人々との違いはまったくなくなるですし」

 と、そんな風にクーさんが説明してきた。

 

「あー……なるほど、そういうわけね」

「たしかに、ごく一部分だけを覆う幻影であれば、地球でも長時間持続させられそうですね」

 納得の表情でそう返す私とユーコ。

 するとそこで、

「ちなみに、その3人と……竜人のような見た目になった珠鈴の姿が見えないようだけど、どこへ行ったんだ?」

 勇さんがもっともな疑問を口にしてくる。

 

「先程説明した『女神様の領域』と地球とを繋ぐ為に、『霊的な力に満ちた場所』へ行くとの事で、別行動中ですね」

「家の近くで心当たりがあると言っていたし、そんな遠くには行ってないと思うわ」

 ユーコの返答に対し、補足するように私もそう告げる。

 

 それを聞いた勇さんと美香さんが、

「なるほどな。しかし霊的な力に満ちた場所……か。寺社仏閣が真っ先に思いつくが、それならそこら中にあるしなぁ……」

「まあ、人目につくような場所にはしないでしょうし、人目につきにくい神社とかな気がするわね」

「人目につきにくい神社もそこそこ多いけどな。山の方とかには、ほとんど管理されていない所もあるし。もっとも……そんな所に、この雨の中わざわざ行くのか? って話にはなるが」

 と、そんな事を話す。

 

 うーん、言われてみるとたしかにそうねぇ……

 一体、どこへ行ったのかしら……?

 

                    ◆

 

<Side:Souya>

「……なんとなくそんな気はしていたけど、やっぱりここなんだね」

 肩をすくめながらそんな風に言う珠鈴。

 そして、その珠鈴に続くようにして、

「ん? ここに何か因縁が?」

 という、もっともな疑問を口にするロゼ。

 

「ある意味では、『因縁』だと言えなくもないね」

 美鈴が因縁の所を強調しながら口にして、俺の方へと顔を向けてくる。

 それに対して俺は、

「……ここは、朔耶の家なんだ」

 と、ロゼの方を見て答える俺。

 

「え? ここがそうなの? 鳥居があったから、ただの神社だと思っていたわ」

 シャルがロゼよりも先にそんな風に驚き顔で返してくる。

 そしてロゼもそこに続く。

「うん、たしかに。うん? もしかして、朔耶は巫女とかそんな感じだった? うん」

 こちらも分かりづらいが驚き顔だ。

 

 神社も巫女もグラスティアに――正確に言うと、主にアカツキ皇国に――存在しているので、特に驚きもしなかったが、さすがに今の言葉には驚いたようだ。

 まあ……当然といえば当然かもしれないが。

 

「うーむ……。巫女……だと言えなくもない……のか? 正月とかの大きな行事の時だけ、店番みたいな事をしていた程度で、本格的な事は何もしていなかったが」

 朔耶の事を思い出しながらそんな風に答える俺。

 

「この雨の中わざわざ来たのは、今なら人がいないだろうから……ってわけだね」

 周囲を見回しながら、そう言って肩をすくめてみせる珠鈴。

 そしてその言葉通り、周囲に人の気配はまったくない。

 

「ま、元々そんなに頻繁に参拝客が訪れるような神社ではないんだけどな。実のところ、他の神社――それこそ、もうちょっと山の方にある小さな神社とか――でも良かったんだが……そろそろ、おじさんとおばさん――朔耶の両親に『説明』しておかないと駄目だろうと思ってな。無論、ありのまま全て話すわけじゃなくて、半分くらい……いや、それ以上の嘘が混ざる事になるが……」

「ふぅん、なるほどねぇ。それなら、私たちも上手くそれに合わせるのが良いわね」

「うん。同意、賛成。蒼夜の話したい内容で話せばいい。うん」

「そうだね。本当ならば私が話すべき所だろうし、必要に応じて付け加えさせてもらうよ。無論、蒼夜の方向性を考慮した上で、ね」

 俺の言葉に対し、3人がそれぞれそんな風に言ってくる。

 

「ああ、3人ともすまないな。面倒をかける事になるかもしれないが、よろしく頼む」

 俺は頷きながらそう返し、『家』の方へと向かうのだった――

というわけで(?)遂に朔耶の家にやって来ましたが、果たして……?


とまあ、そんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、11月11日(月)の想定です!

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