表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
714/764

第162話[表] 地球・チャージショットと掻き消す力

<Side:Akari>

「グルォァァァァァァァッッ!!」

 こちらのチャージに合わせるように、グラップルドラゴンが咆哮。

 

 と、次の瞬間、チャージ状態だったはずの魔煌弓が唐突に元の状態へと戻った。

 って……!? ええっ!?

「チャージが……消された!?」

 

「おそらく、あの咆哮によって収束していた魔煌波が散らされたんだろう。強化魔法も一瞬消えたしな。まあ、すぐに復活したから、完全なディスペル効果があるってわけじゃなさそうだが」

「ちょっ!? そんな凍てつきそうな効果があるだなんて、初めて知ったわよ!?」

 ロディの推測に対し、驚きの声を発する私。

 

 いやまあ、凍てつきはしないけど。勢いというかなんというか。

 などと考えていると、グラップルドラゴンが大きく跳躍し、私めがけて上空から襲いかかってきた。

 ロディの剣を攻撃をまともに食らっているが、止まらない。

 というより、急降下状態なのでグラップルドラゴン自身にも止めようがないともいう。

 

 まあ、普通だったらちょっとまずいけど……

 なんて事を思いながら、前方へ向かってダッシュする私。

 

 《翠天の風靴》の効果によって、加速力が上がっている為、私はあっさりと降下してきたグラップルドラゴンを後方に置き去りにするくらいの位置まで一瞬で移動した。

 

 ズドンッ! という重い音と振動が生じるも、その発生地点には既に私はいない。

 私は即座にクルッと身を翻すと、完全に攻撃を空振った形となったグラップルドラゴンのその背中へと魔法の矢を連続で放った。

 チャージショットがかき消されるのなら、通常の攻撃を叩き込むだけよ。

 

「ゴガッ! ガアッ!」

 背中に魔法の矢を喰らい、悲鳴とも憤怒ともとれる叫び声と共に、尻尾を振り回すグラップルドラゴン。

 それは、私からの攻撃を防ぐというよりは、迫ってくるロディの剣を弾き飛ばす為。

 

 ロディの剣が何本か弾き飛ばされるも、その数の前に完全に弾き飛ばす事は出来ず、グラップルドラゴンは更にダメージを蓄積させる。

 直後、グラップルドラゴンがでたらめに炎を吐いてくるが、加速状態の私もロディもそれに当たったりはしない。回避しつつ、反撃の剣と矢を叩き込んでいく。

 

「ガッ! ガァァッ! グガァ!」

 その叫び声と共にオーラが腕に纏われ――

「ルヲヲヲンンッ!」

 ――腕を床に叩きつけるグラップルドラゴン。

 と、同時にグラップルドラゴンを起点に扇状に床のタイルが次々に吹き飛び、更にその下から鋭く尖った岩が突き出すように隆起してくる。

 

 って! 広っ!

 即座に横へ向かってダッシュし……ヘッドスライディング!

 

「つっ!」

 若干、足に岩が当たったものの、どうやら岩の側面だったらしく、突き刺さるのだけは避けられた。

 

「ギ、ギリギリだったわ……。扇状に広がるからあいつからの距離が遠い程、横幅が広がるってわけね……」

「そういう事になるな……。遠距離からの攻撃がメインの俺と灯には効果的だな。サイコキネシスを切って、回避に専念するしかなかったし」

 私の呟きに対し、しゃがんだ状態のロディが返事をしてくる。

 って、いつの間にか私の近くまで来てるし……

 

「そのまま立ち上がらずに伏せたままチャージだ」

「了解よ」

 ロディの指示に、私は理由も聞かずに即座に返答してチャージを開始する。

 

 理由なんて後で分かるし、そんな事よりも少しでも早くチャージを始める方がいいというもの。

 と思っていると、

「どうやら自分で放った攻撃によって、こちらの位置を見失ったようだ」

 そんな風にロディが言ってくる。


 ほら、分かった。

 などと心の中でドヤりつつ、ロディの言葉に対し、

「アホね……。どういう威力があるのか把握していなかったのかしら?」

 と、呆れ気味に返す私。

 

「どうやら、ここまでの威力はあいつ自身も想定外だったっぽいな。サイコキネシスを使ったら気取られそうだが」

「想定外……ねぇ。まあ……たしかにあんな技、見た事もないわね。そもそも今の今まで使って来なかったし」

「時間経過と共に、どんどん強化されていく性質があるようだな、あのオーラ。その強化速度に思考と判断の方が追いついていないんだろう」

「あー、なるほどね」

 私はロディの推測に納得しつつそう返した所で、ふとひとつの懸念が浮かび上がった。それは――

「って、今思ったんだけど、チャージなんてしたらあいつに気づかれるんじゃ……」

 

「グガッ? ゴァァッ!」

 なんていう声を発するグラップルドラゴン。

「ほらやっぱり!」

 

「なぁに、問題ない」

 ロディは少し不敵な笑みを浮かべながらそう口にする。

 そして、咆哮を発しようとするグラップルドラゴンに向かって、グラップルドラゴンのすぐ近くに落ちていたままの剣を浮かせ、そして口を狙った。

 

「ゴガッ!」

 剣に気づいたグラップルドラゴンは、床を滑るように移動してそれを回避する。

 と同時にロディが立ち上がり、グラップルドラゴンの方へと駆けながら、次々に剣をグラップルドラゴンめがけて放ち始めた。

 

 ロディのその動きに気づいたグラップルドラゴンは、咆哮を発するのは諦めたのか、再びオーラを腕に纏う。

 更に足にもオーラを纏った。……って、足?

 

 一体どういう事? と思った次の瞬間、ロディの方へ向かって腕を振るい、再び先程と同じ攻撃を放つグラップルドラゴン。

 ロディはグラップルドラゴンとの距離を敢えて詰めていた為、あっさりとそれを回避する。

 

 だが、今回のグラップルドラゴンの動きはそれだけではなかった。

 ダンッ! と、足で勢いよく地面を踏み鳴らす。

 

 すると、グラップルドラゴンを中心に、ドーナツを半分にしたかのような形で分厚い岩が隆起。

 ロディはバックステップでその攻撃を回避……って、良く見ると鋭さのまったくない岩ね。

 むしろ、単純に分厚いだけのような……

 これ、もしかして攻撃用じゃなくて防御用――剣による攻撃を防ぐ為の……壁?

 

 そうだとすると、攻撃を防ぐだけじゃなくて視界も遮られるから、そもそも命中させにくくなるし、なかなか面倒ねぇ。

 でも――

「その程度じゃ、これを防げはしないのよっ!」

 そう言い放ちながら、私はちょうどチャージが完了したばかりのチャージショットを放った。

 

 放たれたチャージショットは、あっさりと岩の壁を吹き飛ばし、そしてそのままグラップルドラゴンを飲み込む。

 正確には、回避しようとしたけれど『吸引効果』によって引っ張られて、結局まともに直撃を喰らう事になった……と、そう言うべきかしらね。

 

 とまあ、それはさておき……

 私が放ったチャージショットは、再びグラップルドラゴンを吹き飛ばし、壁に激突させた。

 ただし、今度はそこで終わりではない。

 まるで『そこに到達するのを見越していたかのように間近に集まっていた』ロディの剣が、グラップルドラゴンに一斉に突き刺さった。

 

「ゴガァァァアァァアァアァァァアァァアァアァァァッッ……!」

 そんな咆哮――いえ、これは断末魔の叫びと言う方が正しいわね――が発せられ、グラップルドラゴンがその動きを完全に停止させる。

 そして、そのまま魔石に似た結晶を撒き散らしながら霧散していった。

 

 ふぅ……。どうにか倒せたわね……

思ったよりも長くなりましたが、なんとか撃破まで収めました……


とまあ、そんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、10月28日(月)の想定です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ