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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第160話[表] 地球・交代する者たち

<Side:Akari>

「追跡してくる上に、爆発して炎を撒き散らす鎖だなんて、ちょっと厄介すぎじゃないかしらね……っ!」

 そんな事を口にしつつ、悪魔の如きキメラへと顔を向ける。

 どうやら追撃してくるつもりはないらしく、動かずにいた。

 

「相変わらず自分から積極的に動く気はなさそうだけどな」

「そうね。まあ……どういうわけか他の敵へ攻撃を仕掛けようとしても反応してくるけど」

「自身や味方に対する攻撃行為があると、迎撃を行うってスタンスなのかもしれんな。既に交戦状態の者は何故かスルーしているが」

「どっちかというと、『お前の相手は俺だ。他の奴にかまってんじゃねぇ』みたいな感じがするわね」

 ロディにそう返しつつ、悪魔の如きキメラを見据えたまま肩をすくめてみせる私。

 

 ――しかし、悪魔の如きキメラはまったく何の反応も示さず、不動だった。

 うーん……。こちらの言葉が通じていないというよりも、意に介さないって感じかしらね、これは。

 

「なんでわざわざそんな口調で? という突っ込みはさておき、どう仕掛けたものか……」

「魔煌弓は吸収されてカウンターされるし、PACブラスターを鎌にして踏み込むには迎撃が厄介だし、仕掛けづらいわね……」

「俺の剣も大して効果がないしな……。霊幻鋼の剣がここまで通らないというのは、逆に妙な感じだが」

「たしかにね。うーん……いっそ、チェンジするのがいいのかしらね。シャルやロゼあたりと」

「まあ、それもありかもしれんが……」

 私とロディはそんな風に口にしつつシャルとロゼの方を見る。

 

 シャルとロゼはグラップルドラゴンに攻撃を当て続けているが、全ての攻撃がどういうわけか浅く、大して効果がない。

 というか、攻撃が浅いと思ったけど、傷がすぐに塞がっている……?

 

「あのグラップルドラゴン、再生力が大幅に上がってる……?」

「いや、その程度だったらあのふたりの猛攻で押し切れるはず……。というか……あいつの表面、よーく見ると妙に揺らいでいるというかぼやけていないか……?」

 私の呟きに対して、ロディがそう返してくる。

 って……

「え? ……あっ! た、たしかに何か輪郭があやふやな感じがするわ」

 じっとグラップルドラゴンを凝視しながら、そんな風に返事をする私。

 そして、

「あんなグラップルドラゴン初めてみたわ……。なにか、幻影的なものを纏っている感じなのかしら?」

 という疑問の声を口にする。

 

「ああ、たしかにそれはあるかもしれん。シャルとロゼの攻撃は、その幻影のようなものに当たっているだけ……とかなら、あの攻撃がほとんど効いていない状態もなんとなく理解出来る。攻撃をあれにぶつける事で、一種の相殺を発生させ、ダメージの大半……あるいは全てを無力化してしまっているのだろう。いわゆる……空蝉の術という奴だな」

「そんなのあったわねぇ……。もっとも、空蝉の術ほどの完全な無効化――完全な回避が出来るってわけじゃなさそうだけれど。……というか、良く知ってるわね」

 ロディの発言に納得しつつもそんな疑問を返す私。

 それに対して、

「マンガで見た」

 なんて言ってくるロディ。

 

「あー……そういえば、さっきもそう言ってたわね……。納得したわ」

 私は軽く肩をすくめつつそう口にすると、シャルとロゼへと視線を向け、

「それはそれとして、あのままだとシャルやロゼだと決定打を与えられそうにない気がするわ」

 と、続きの言葉を紡いだ。

 

「そうだな。一旦交代してみるか。出来るかわからんが」

「ま、試すだけ試してみましょ」

 ロディに対してそう返すと、すぐにシャルとロゼに対して、声を大にして呼びかける。

「シャル! ロゼ! こっちとチェンジ!」

 

 その声にシャルとロゼが反応。

 グラップルドラゴンの攻撃を回避しつつ、こちらに頷いてみせた。

 

 そしてそのままグラップルドラゴンから一気に距離を取るシャルとロゼ。

 無論、私とロディも、それをただ単にボーっと見ているわけではなく、悪魔の如きキメラを一瞥してからグラップルドラゴンの方へと駆けた。

 

 と、そこで悪魔の如きキメラが動く。

 

「アリ……スィ……ダ……」

 再びさっきと同じ呪文が唱えられ、鎖が生み出される。

 ただし、今回は8本。

 

 どうやら、私たち4人への同時攻撃らしい。

 しかもさっきと違い、ひとりあたり2本と倍になっている。

 

「ん。その程度、無意味」

「まったくもってその通りね」

 なんて事を言いながら、ふたりで4人分――8本の鎖を切り裂くシャルとロゼ。

 当然、爆炎もあっさりと回避している。

 

 ……やっぱりというかなんというか、私とは桁違いの強さね……

 私もかなり強くなったと思っていたけれど、これを見るとまだまだよねぇ……

 

 などと思いながらシャルとロゼに駆け寄る。

 そして、

「あいつ、どうも私やロディだと相性が悪すぎるみたいなのよ。魔煌弓の攻撃は吸収されるし、ロディの剣も通らないし……。申し訳ないんだけど、ふたりに任せていいかしら」

 と、そんな言葉を投げかける。

 

 すると、

「ん、了解。アストラルブースターも良好。多分いける、うん」

「そうね。私とロゼも、あの強化されたグラップルドラゴンとは相性が悪いみたいだから好都合だわ。斬っても斬っても手応えがないし……」

 なんていう言葉がふたりから返ってきた。

 

 アストラルブースターって何……?


 多分、霊力が失われているはずなのに、円月輪を巨大化させていたカラクリがそれなんだろうけど、まあ……今は一旦置いておく方がいいわね。

 詳しく聞いているような状況じゃないし。

 

 私は、魔煌弓を構えるとチャージせずに魔法の矢をグラップルドラゴンへと放つ。

 それとほぼ同時に、シャルの霊力の衝撃波があの悪魔の如きキメラへと襲いかかった。

 

 シャルの衝撃波を吸収しようと障壁魔法を発動させた悪魔の如きキメラだったが、その障壁――魔法陣を引き裂いて本体にまで衝撃波が到達。

 悪魔の如きキメラから、キメラ特有の緑色の血が少し飛び散った。

 

 そして、私の魔法の矢もグラップルドラゴンに勢いよく突き刺さり、そこから赤黒い血が飛び散る。

 

 そう……

 どちらも相手の『守り』を破り、『しっかりとダメージを与えられた』のだった。

なんとも妙なサブタイトルですが、他に思いつかなかったもので……


とまあ、そんなこんなでまた次回!

次の更新も予定通りとなります、10月21日(月)の想定です!

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