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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第158話[表] 地球・新手のキメラ

<Side:Akari>

「ふむなるほど、こちらへ送り込んだり回収したりしている……か。たしかにそう考えると、色々と合点がいくというものだな」

「そうですね。こちらに戻ってきてから妙に引っかかっていた部分に得心がいきました。なにしろ、どこも結構な数のキメラがまるでいきなり湧いてきたかのようでしたから」

 私たちの話を話を聞き終えた所で、珠鈴とユーコがそんな風に言ってくる。

 

「そうね。しかも、今まで見た事もないようなキメラもいたわ」

 先刻遭遇した憑依キメラの事を思い浮かべながらそんな風に言うと、

「最近生み出されたばかりのプロトタイプを送ってきていやがるのかもしれねぇな。向こうの世界で解き放っても、即倒されて実験にならねぇだろうしよ」

 と、蓮司が返してきた。

 

「それはまあそうだな。魔煌具の性能が大幅に向上した事で、討獣士ギルド全体の魔獣や魔物に対する殲滅力が以前とは比べ物にならない程に上がってるってのは、広捜隊でも把握しているからな」

 同意しつつ、そう口にするロディ。

 そして、それに続くようにして、

「ん。魔法を複数属性かつ何個も使えるのは大きい。うん」

「かつては超高度技術だった融合魔法も、簡単に使えるようになってるものねぇ……」

「まあ、擬似的なものなので本家ほど強力ではないですが、それでも魔獣や魔物に対しては十分すぎる性能ではあるですね」

 ロゼ、シャル、そしてクーさんが、それぞれそんな風に言った。

 

 昔の魔煌具を使った事はないけれど、でもたしかに話を聞く限りでは全然性能が違うのはたしかよね。

 

「っとと、そこを曲がった先にいるわね」

 シャルがそんな風に告げると、ユーコがスマホを確認し、

「マップによると、吹き抜けのホールのようですね」

 と、そう告げてきた。

 それを聞いた蒼夜は、

「了解だ。広さ的には十分そうだな。よし、このまま一気に踏み込むぞ」

 と言いつつ、ビットみたいなもの――スフィアとかいう名前だったはず――を展開する。

 

 踏み込むなら鎌の方がいいけど……加速力でロゼやシャルやクーさんに追いつけるわけもないのから、ここは魔煌弓でいいわね。

 と、そう考え、私は魔煌弓を次元鞄から引っ張り出す。

 

「見えたのです!」

「って、グラップルドラゴン!?」

 クーさんに続くようにして、驚きの声を発する私。

 

「今はもう慌てる程の脅威でもないですけどね」

 なんて事を私の横にいるユーコが言ってくる。

 それに対して、

「それはまあ……そうね」

 と返事をしつつ、私たちの横を通り過ぎていくロゼとシャルの動きを目で追う。

 

 霊力を失おうとも、凄まじい身体能力の高さが失われるわけでもなく、霊力に関係ない元々の異能である『飛翔』と合わせて、グラップルドラゴンの攻撃を回避しつつ、あっという間に後方へと回り込むロゼ。

 そして、それと対になるようにして、真っ向からグラップルドラゴンと対峙するシャル。

 

 グラップルドラゴンは真正面に立つシャルめがけて炎を吐き出す。

 それに対してシャルはというと、その場から動かず、腰を少し落としつつ真正面から来る炎を見据え――

「私が使えるのは、剣だけじゃないのよ?」

 なんて事を言いながら、手のひらから火炎を放射するシャル。

 

 たしか、真幻術だったかしら……。こっちの方がなんとなく魔法っぽいわよね。

 というか、地球でも使えるのね……

 

 なんて事を思っている間にも、ふたつの火炎放射が激突。

 まさに炎による鍔迫り合いとでも表現すべき押し合いが始まった。

 だけど、その時点でグラップルドラゴン側は負けが確定したとも言えるのよねぇ。

 

 そう思った直後、グラップルドラゴンの後ろに回り込んでいたロゼが、巨大化した円月輪で引き裂いた。しかも一刀両断。

 

「ま、1体しかいないなら、こうなるわよね」

「そうだな。さすがに戦力差がありすぎるというものだ」

 肩をすくめる私に対し、頷きながらそう同意してくる蒼夜。

 

「だが、どうやら終わりじゃなさそうだぜ」

 蓮司がそう言いながら、真っ二つになって倒れ伏していくグラップルドラゴンの後ろに現れた『歪み』――空間が円形にグニャグニャと歪んでいるのでそうとしか言いようがない――へと視線を向ける。

 

「この穴……いえ、空間の歪みは一体……」

 ユーコがそう呟いた直後、視界に捉えている『歪み』を中心として、左右に3つずつ、合計6つもの『歪み』が出現した。

 

「一気に来たか!」

「でもこれで、送り込まれてきている事が確定したのです!」

 ロディに続くようにして、そんな風に言ってくるクーさん。

 

「グラップルドラゴン1体に……この工場で出て来た奴らか。1体だけ見た事のねぇ奴がいるが……」

「うん。あの冥界の魔物みたいな奴はたしかに見た事がない。うん」

 蓮司の言葉に頷きつつそんな風に言うロゼ。

 

 たしかに1体だけ、いかにも冥界の魔物……というより、どっからどう見ても悪魔って感じの奴がいるわね……

 と思っていると、

「あれだけちょっと警戒が必要かもしれないな……」

「他は大した事ないかな。私が敷地内に入って早々に仕留めた奴と同じ奴とかだしね」

 そう口にする蒼夜と珠鈴に、

「こちらで遭遇した奴はいなさそうなのです」

 と続くクーさん。

 

「言われてみるといないわね。まあもっとも、あれが出現されても困るけど……」

「そうだな。さすがにあれともう一度やりあうのは面倒だ……」

 やれやれだと言わんばかりに、私とロディがそう口にすると、

「一体全体どんな奴に遭遇したんですか……?」

 という問いの言葉を投げかけてくるユーコ。

 それに対して私は、

「説明したい所だけど、先にこいつらを倒さないと駄目ね」

 と、返事をした。

 

「そうね。でも、あの冥界の魔物みたいとロゼが言った奴だけ、ちょっと纏ってるオーラが違うのが気になるわ……」

「うん、たしかにそうだね。倒せるなら倒してしまえばいいけれど、厳しそうなら抑えるだけ抑えておいて、周りを先に倒してから相手をする方が良いかもしれない」

 シャルに言葉に続くようにして、珠鈴がそんな風に言ってくる。

 

「ふむ。ふたりがそう思うのなら、注意した方が良いのは間違いないな。あの空間の歪みも気になるし、とっとと倒してしまいたい所ではあるが、まずは数を減らす事に専念する方が良さそうだ」

 空間の歪みへと視線を向けながらビット……じゃなくて、スフィアを構える蒼夜。

 

 蒼夜の発言には同意だけれど、それならあいつの相手は――あいつを抑える役は誰が……?

 と思いながら、私も魔煌弓のチャージを開始した――

何やらフラグみたいな事を思っていますが……?(何)


とまあ、そんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、10月14日(月)の想定です!

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