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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第156話[表] 地球・ギデオンとディラン

<Side:Akari>

 どうやらこのブレードウィルダーっていう奴らは、蒼夜がこっちの世界で『頭上からの奇襲』を食らった相手らしいのよね。

 存在自体はデータで知っていたけど、実際に遭遇したのは何気に初めてだわ。

 

 なんて事を思っていると、

「ギギャァッ!」

 という悲鳴が頭上から響いた。

 

「ブレードウィルダー……天井から奇襲してくるのが得意な奴、か。残念だったな、俺が向こうの世界へ行った後に、新たにこっちに現れるようになった奴らの情報は、昨日の内に確認済みなんだわ」

 なんて言いつつ、上から襲いかかろうとしていたブレードウィルダーを、浮かせた剣で串刺しにするロディ。

 

 当然、私たちは把握しているので、そんなもの食らうわけがないのよねぇ……

 なんて事を心の中で呟きつつ、私は正面にいるブレードウィルダーに踏み込む。

 

「はっ!」

 掛け声と共に目の前にいたブレードウィルダーを横薙ぎに一刀両断。

 しかしそこで止まる事なく、

「奇襲もわかっていれば、意味はないのよねっ!」

 と言い放ちつつ、PACブラスターを回転させるようにして振り上げ、頭上にいたブレードウィルダーも斬り裂いた。

 

「っていうか、上に居すぎだろ」

 などと突っ込み気味に言って、天井に張り付いていたブレードウィルダー3体を、浮かせた剣で刺し貫くロディ。

 

「部屋にいた7体の内5体が天井ってなかなかよね……」

 肩をすくめながら私がそう言うと、

「むしろ、下に残っていた奴は囮だった可能性もあるのです」

 と、室内を見回しながら返してくるクーさん。

 

「あー、ドアをふっ飛ばした所で5体が上に行って、部屋には1体しかいないと思わせておいて、一気に急降下ってわけね。もしそうだとしたら、なかなかの思考力を持っているって事になるわね」

「まあ、頭上からの奇襲が出来る程度の『知恵』はあるわけだし、そのくらいの判断力はあってもおかしくはないな。……っと、それはそれとして、とりあえずこの部屋は制圧って事で良さそうだな」

 私に対してそう言いながら、ロディがクーさんと同じように室内を見回す。

 

「そうね。これと言って何もなさそうだし、先へ行きましょうか」

「はいです。このまま進んで3階の連絡通路を目指すのです。そこで正面から入った蒼夜さんたちと合流出来るはずなのです」

 私に続くようにしてクーさんがそんな風に告げてきたので、私とロディはそれに対して頷き、部屋を出る。

 そして、

「そう言えば、さっきの話の続きだけど……唐突に行方をくらました重要な人物っていうのは?」

 と、3階への階段がある方へ向かって歩きながら、そう問いかける私。

 

「あ、はいです。前にディンベルで蒼夜さんも関わった動乱があったですが、その時の黒幕――首謀者とも言うべき宰相……ギデオンを蒼夜さんたちが追い詰めたのです。しかし、そのギデオンは飛行艇で逃亡を図ったそうなのです。で、そのまま逃亡されてしまうかと思われたですが、突如現れた別の飛行艇の攻撃を受け、ギデオンの乗った飛行艇は森の中へと落下――不時着したそうなのです」

「突如現れた別の飛行艇? ディンベルの空軍って事?」

「違うのです。ディンベルとは無関係な――『銀の王(しろがねのおう)の飛行艇』なのです。もっとも、それが判明したのは後の事で、その時点では謎でしかなかったですが」

「なるほどね。というか、行方をくらましたっていうのは、もしかしてそのギデオン?」

「はいです。まあ正確にはギデオンの乗っていた飛行艇ごと、ではあるですが」

「飛行艇ごと姿がわからなくなったって……。それはまたなかなかの異変ねぇ」

「そうだな。だが、たしかにいきなり姿を消したってのは、テレポータルのような転移ゲートでも出現しない限りはありえない話だな……」

 私とクーさんの話を聞いていたロディが、頷きながらそう言って首を縦に振る。

 そしてそのまま、

「ちなみに、もうひとりというのは?」

 と、クーさんの方を見て問いかけた。

 

「イルシュバーン――主に首都ルクストリアとその近辺で暗躍していた、ディラネスローヴァ・ベスティアード……通称ディランという人物なのです。諸々裏で暗躍していた事が判明し、捕らえようと動いたそうなのですが……忽然と姿を消してしまったそうなのです。厳重な検問を敷いた上で、虱潰(しらみつぶ)しの捜索が行われたにも関わらず、なのです」

「ディラネスローヴァ……? んん? その名前、前にどこかで聞いたような……」

「えっ? そうなのですか?」

「ああ。俺たちが広捜隊ではなく、まだ本部の第7に居た頃にたしか……」

 驚くクーさんに対し、そう返しつつ考え込むロディ。

 

 そしてそのまま歩く事しばし――

「あっ……! 『灰蜘蛛』について探っている時にその名がリストにあったんだ」

 と、言ってくるロディ。

 

「『灰蜘蛛』って言うと、エレンディアで『ターン制』の戦闘をさせられた『狼に変身した奴』が、以前に所属していたっていう密輸密売組織よね? たしか、あの一件の少し前に壊滅したんじゃなかったかしら?」

「ああそうだ。まあどうやら、『黄金守りの不死竜』が出張ってきたようだけどな?」

 私の話に頷きながら、そう口にしてクーさんの方を見るロディ。

 

「七聖将の残党と繋がりがあると考えられていたです。なので、掃討したですが、残念ながら無関係だったのです。七聖将のひとりであったゴルドールが出てきた一件は、ゴルドールが話していた通り、接触した部下の独断だったようなのです」

 と、そんな風にさらっと返してくるクーさん。

 

 ゴルドールというのは……たしか、ロディやゼルたちが元々所属していた『第7』を壊滅させたという人物よね。まあ、蒼夜とシャルが倒したみたいだけど。

 

「ただ、掃討し損ねた一部の者は地下に潜った後、例の『アーティファクトメイカーズ』に合流したようなのです」

「そこでそっちに繋がるのね……。でも、そこまで調べられているのなら、黄金守りの不死竜側でもディラネ……ディランの存在に辿り着いていそうなものだけれど……」

「こちらの調査では、まったく引っかからなかったのです。私たちが動く前に痕跡を完全に消されたか、あるいは『第7』の調査でのみ引っかかったか、どちらかなのです」


 クーさんは私に対してそう返すと、そのままロディの方へと顔を向け、問う。

「ちなみに……それは一体どういうリストだったのです?」

 

「ああ、『灰蜘蛛』と取引をしたと考えられる闇ブローカーや、関連する企業――ペーパーカンパニーも含むが――の人間を『当たり外れ関係なく』片っ端から羅列したリストだな。ディラネスローヴァの名は、SLIT(スリット)というシルバーロード傘下の運送会社の中にあった」

「なるほどなのです。シルバーロードを含むロストランドに存在している各鉄道会社まではチェックしたですが、その傘下までは未チェックだったのです」

「まあ、その後詳しく調べてみたら、いつの間にかシルバーロードの傘下から消えていたがな。どうやら、一時的に『シルバーロードの所有する鉄路と、それに繋がっている鉄路を使って何かを運ぶ為』に作られたものだったようだ。残念ながら、それ以上は調べられなかったが」

 クーさんとロディがそんな風に話すのを聞きながら私は――

 

 シルバーロードにロストランド……

 なんだかヴァロッカに行った時に聞いた名前ねぇ……

 まあ、前者はシャルがあれこれ調べた時に出てきた名前らしいけど。

 

 なんて事を思うのだった。

予定通りではあるのですが、この情報に至るまでの間が長すぎたな……と、最近は思っています(汗)


ま、まあ、そんなこんなでまた次回!

次の更新も予定通りとなります、10月7日(月)の想定です!


※追記

誤字を修正しました。

また、ルビ(フリガナ)を忘れていた所があったので追加しました。

灰蜘蛛の説明を微妙に加筆しました。

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