第153話[表] 地球・本体の謎
<Side:Akari>
「え、ええっと……? それって一体……どういう事?」
私がそんな風に問いかけると、
「わからないのです……。まるで、これが本体ではないかのような感じなのです……」
などと、困惑気味に返事をしてくるクーさん。
「本体が移動したとか?」
「もしそうだとしたら途轍もなく厄介だな。モグラ叩きになるぞ」
私の発言に続くようにしてそう言ってくるロディ。
たしかにそうね……。本体に当たるまで、延々と攻撃し続けないといけなくなるし……
と思いながら、とりあえず再び迫ってきた鋼材を幾つか吹き飛ばしてみる。
これで、復元は一時的に阻止出来たらいいのだけど……
って、あら? 吹き飛ばしたの以外も浮いたまま止まった……わね?
……急に吹き飛ばされて混乱しているのかしら?
と、そんな風に思っていると、再び鋼材が動き出す。
更に吹き飛ばした鋼材の代わりの鋼材も飛んでくる。
うんまあ、そうなるわよね……
多分、一瞬全ての動きが止まったのは、吹き飛ばした鋼材の代わりを探していたせいね。
私が今の動きにそう結論付けるのとほぼ同時に、クーさんが巨大オートマトンを攻撃しながら、その場から離脱する。
そしてその直後、鋼材がオートマトンに集まり、少し姿を変えて復元された。
……今度は大砲みたいな大きな筒と、ウネウネと曲がるチューブ付きのロボットアームが付いてるわね。あと、胴体の脇になんか穴がいっぱいある箱も。
「あの脇の奴、ミサイルポッドに似てるな……」
「こんな所にミサイルなんて作れるような材料、残ってないと思うけど……まあ、放っておいたら危険そうな感じだし、さっさと破壊した方が良さそうね」
「それはたしかにそうだな」
ロディと私はそんな風に言いつつ、再び破壊すべく攻撃を開始する。
と、そこで、
「……っ!? ま、また『本体を感じるようになった』のですっ!」
なんて事をクーさんが困惑と驚きの入り混じった表情で口にしてきた。
ん? んん?
「……どういう事なのかしら……?」
「わからん……。が、まずは壊してみるしかあるまい」
私の呟きにロディがそう返してくる。
「ま、それはそうよねっ!」
私はそんな風に返事しつつ、チャージショットを構える。
するとその刹那、ミサイルポッドに似た箱の穴から小型のドリルが一斉に放出された。
あー……そういう代物だったのね。
さしずめ、ドリルミサイルポッド……とでも言えばいいのかしら?
まあ、纏めて吹き飛ばしてしまうのだけれどっ!
心の中でそんな事を呟きながら、チャージショットを放つ私。
そして、放たれた小型のドリルごとミサイルポッドもどきを消し飛ばす。
それとほぼ同時に、ロディの剣がチューブ付きのロボットアームを斬り刻み、クーさんが大きな筒から放たれた鉄球を打ち返す。
……って、あの大砲みたいなの、本当に大砲だったのね……
というか、クーさんも良くあれから放たれた鉄球を打ち返せるわねぇ。
コンテナが一発でグシャってなるくらいの大きさと重さがあるはずなんだけど。
なんて事を、鉄球の流れ弾――という表現が正しいのかはさておき――で粉砕されたコンテナを見ながら思っていると、
「それで、どんな感じだ?」
と、ロディが再び動かなくなった巨大オートマトンを見ながらクーさんに対してそう問いかける。
するとクーさんは、さっきと同じように巨大オートマトンをじっと見ながら、
「ま、また感じなくなったのですっ!」
なんて返してきた。
うん? それってつまり、本体はあそこにはないって事になるような?
でも、復元されるとまた感じるって事は、一時的に倒れているけど、また復活している……?
「……なんだか冥界の魔物の……えっと……名前忘れたけど、ホネホネドラゴンみたいね」
「ホネホネドラゴンて……。だがまあ、言われてみると、普通に倒しただけじゃ何度でも復活してくるってあたりは、たしかにあいつにそっくりだな」
私の呟きにロディが納得の表情でそんな風に返してくる。
「もしそうだとすると、一撃で消し飛ばさないと駄目という事になるのです」
「あの機体全てを飲み込めるような広範囲かつ高火力な攻撃手段なんてないわよ……?」
クーさんに対しそう肩をすくめながら答える私。
まあ正確に言うと、向こうの世界なら出来るけど、こっちじゃ無理って感じだけど。
そうこうしている内にふたたび鋼材が集まってくる。
……これもう、鋼材全て破壊し尽くすしか手がないんじゃないかしら……
なんて事を思った所で、ふと疑問が湧いてくる。
それは――
「……あの鋼材、どうやって集まってきてるのかしら……? もし、本体が倒しても復活するタイプだとしたら、今は『倒れている状態』だから、動かせるわけなくない?」
というもの。
「……言われてみると、たしかにその通りなのです」
「ああそうだな、やっぱり本体は移動出来る……という事なのか?」
と、そんな事をクーさんとロディも言ってくる。
「たしかに、憑依状態でなければ動かせない事を考えると、移動するというのが現状から考えると一番あり得るのです。なにしろ、憑依していなくても動かせるというのであれば、オートマトンそのものを遠くから操ってくるはずなのです」
「それはそうね。でもそうなるとモグラ叩きするしかなくなるんだけど、それはさすがに面倒だわ……。何か分かりやすい目印とかあればいいのだけど」
クーさんに続くようにして、やれやれと首を横に振りながら言う私。
「……憑依状態でなければ動かせない……? ……そう言えば、さっき灯が浮いてる鋼材をふっ飛ばした時、一瞬動きが止まっていた気がするな……」
「え? ああ、うん、そうね。でもあれって、吹き飛ばして不足した鋼材を探していただけじゃないかしら……」
ロディの疑問に、私は先程出した結論を口にする。
それに対してロディは、
「まあたしかにそう考えるのが自然ではあるが……」
と言って何やら考え込んだ後、唐突に剣を飛ばし、飛来してくる鋼材を次々に斬り刻んでいった。
すると、最初の鋼材を斬り裂いても動きは止まらず、次の鋼材を斬り裂いてもなお動きが止まらない。しかし、3つ目の鋼材を斬り裂いた所で動きが止まった。
……ん? んん?
なんでこんな中途半端な所で……?
と思っていると、
「やっぱりこういう動きをしたか……。――こいつの本体……予想がついたぞ」
そんな事をロディが告げてきた。
……え?
過去に戦闘していますからねぇ……ホネホネドラゴン(違)
まあ、そんなこんなでまた次回!
次の更新も予定通りとなります、9月27日(金)の想定です!




