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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第141話[表] 地球・ノイズと説明

<Side:Akari>

「ところで……なんですが、ユーコについての情報って、何かありませんか?」

 私が大会議室へ移動しつつ、支部長とその隣りに立つ凜花さんを交互に見ながらそう問いかけると、

「ああ、それなら超常現象調査室の方から連絡があったよ。調査中だった山間の研究所に『どこか』からか『転移』してきたとね。色々な都合……というか『戦力的な面』で、向こうからしばらく協力要請されたんで、『出向』という体で居て貰っている感じだよ」

 などと、一部を強調しつつ返してくる支部長。

 なるほど……たしかに、戦力的にはかなりのものよね……

 

 というか――

「ユーコが見つかったその山間の研究所って、どの辺りにあるんです?」

「ええ。この辺りですね」

 私の問いかけに、今度は凜花さんがタブレットを私に手渡しながらそう返してきた。

 

 受け取ったタブレットを見ると、地図が表示されており、周りに山林しかない場所のど真ん中にピンが立っていた。

 

「どこ? ここ……。向こうの世界とは何の接点もなさそうな場所なんだけど……」

 私がそう呟くと、蒼夜が「ちょっと見せてくれ」と言ってきたので、私は持っていたタブレットを蒼夜へと手渡す。

 

「……うん? ここってもしかして……」

「蒼夜が『消えた』場所だな」

「ああ、やっぱりあそこか……」

 タブレットを確認しながら、そんな事を口にする蒼夜と蓮司。

 どうやら、蒼夜の方と接点があったみたいね。

 

「なんであんな所に……と言いたいが、あそこは元・竜の血盟の連中が異形――キメラを生み出す為に使っていた場所だ。向こうとの何らかの繋がりがあってもおかしくはない……か」

 と、蒼夜が顎に手を当てながら呟くように言う。

 そして、それに続くようにして私が、

「繋がりと言えば、廃工場の地下にあった装置――ネクサスゲートをあの場所から動かしたのって、ウチだったりするんですか?」

 という問いの言葉を再び支部長と凜花さんに投げかける。

 

「あの装置はネクサスゲートというのかい? たしかにあれは、君たちの失踪に何か関係している可能性が高いと考えて、解析すべく分解して研究所へ運んだよ。……まあ、今に至ってもなお、有力な情報は得られていないんだけどね」

「あの装置は、何かの『力場』を発生させるという所までは解析出来たのですが、その『力場』を発生させる為のエネルギーが謎すぎて、稼働させられていないんですよ」

 そんな風に支部長と凜花さんが言ってくる。

 あ、やっぱりあそこから動かしたのはウチだったのね……

 

「竜の血盟の装置……か。となると、使われているエネルギーは、■■■……。■■■■■■■■■って所か……?」

「ん? んん? 今、言葉がグチャグチャにならなかったかい?」

「ええ。全く聞き取れない『音』になりました」

 蒼夜の呟きに対し、支部長と凜花さんがそう口にする。

 

「あー、ノイズ化……」

 私はそう呟いてから、ふたりに対して、

「まあ、その……一部の言葉がノイズになってしまう『現象』があるんですよ」

 と告げた。

 すると、それに続くようにして、

「む? 地球にノイズ化を生じさせる要因となっている粒子だか波動だかは、存在していないのではないのか?」

 と、そんな風に言って首を傾げる珠鈴。

 あー……そう言われると、たしかにそういう話だったわね……

 

「そのはずなんだが、ノイズ化したって事は、実は存在していたって事になるな」

「あるいは、存在するようになってしまったのかもしれないな。以前と違って、空間の穴を通って魔物がこっちに出現するようになっているみたいだしな」

 蒼夜の言葉に対し、ロディが可能性のひとつを口にする。

 

「ああなるほど、たしかにありえるな……」

 蒼夜が顎に手を当てながら納得の表情でそう呟くと、

「ええっと……とりあえず認識出来ない言葉と化してしまう現象のようですが……そもそも、どうしてそのような状態に……?」

 と、もっともな疑問を口にする凜花さん。

 

「あ、その辺も含めて詳しく説明しますね」

 私がそう告げながら、結構話さないといけない事があるわねぇ……と思い、ちょっとだけ心の中でため息をついたのだった。

 

 ……

 …………

 ………………

 

「――とまあ、そういうわけなんですよ」

 と言って、説明を締めくくる私。

 ちなみに私だけではなく、蒼夜たちも交代でふたりに対して色々と説明しており、その流れで、自己紹介も済ませてあったりする。

 

「なるほど……。まさか異世界が実在するとはね……」

「ええ、そうですね……。まあ、異形――魔物たちが異世界からの侵略者であるというのは、割と前から言われてはいましたが……」

「その説が、概ね当たっていたわけだね。もっとも、明確に侵略の意思を持っているわけではないようだけど」

 そんな風に話す支部長と凜花さんに、

「奴らがこちらの世界に出現する理由は謎ですが……向こうの世界とこちらの世界を隔てる次元の壁に綻びが生じてしまっているのが、原因のひとつであるようには感じます」

 という推測を口にする蒼夜。

 

「はいです。出現の仕方が、主に北大陸で発生する現象――魔物の顕現に似ているのです。だから、グラスティアのではなく、鬼哭界や混沌界、冥界といったグラスティア以外の所に生息する魔物の方が多く姿を顕すのではないかと思うです」

「あ、なるほど……。たしかに言われてみると、グラスティアの害獣とか魔獣とかは、こっちではほとんど見た事がないわね。今まで出くわしたのは、そういった別のコロニーの魔物ばかりだわ」

 クーさんの発言に対し、私は地球で今まで遭遇した事のある異形――魔物について思い浮かべながらそう返す。

 

「ふぅむ……。一部の言葉がノイズ化してしまう件も含めて考えると、次元の壁の綻びは、グラスティアというよりかは、『あの異空間に存在する全てのコロニー』で生じている可能性が高そうだな」

「そうなったのは、あの『元・竜の血盟』の連中のせいなのかしらね?」

 蒼夜の言葉に続いて、シャルがそんな事を口にする。

 

「ああ。奴らが幾度となく向こうとこちらとを繋ぐ空間の穴を生み出してきた結果、次元の壁が異常をきたしている――綻びが生じてしまったというのは、大いにありえる話だ」

「となると、ユーコを回収したら即帰還……とはいかないさそうだな」

「そうだな。その辺りを調べておいた方が良いだろう」

 蒼夜と蓮司のそんな会話を聞いていたロゼが、

「ん。だとすると、色々と必要になる。うん。こっちのお金とか」

 なんて事を呟くように言った。

 

 私はそれにたしかにそうね……と心の中で同意し、そこでふと思い出す。

 それは――

「……そう言えば、私の家ってどうなっているんですか?」

 という事だった。

 

 どうでもいいと言えばどうでもいいけど、気になるし……

当初よりも結構削ったのですが、それでも長くなったので、一度ここで区切りました……


ま、まあそんなこんなでまた次回!

次の更新も予定通りとなりまして、8月5日(月)の想定です!

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