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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第140話[裏] 地球・テレポートとクレアボヤンス。

<Side:Souya>

「や、やっぱり蒼夜君だ! どっからどう見ても蒼夜君だ!」

 灯を抱きしめていた日向さんが、そんな事を言いながら今度は俺の方へと駆け寄ってきた。

 

「えっと……お久しぶり……です?」

「今までどこに行ってたの!? っていうか朔耶ちゃんも一緒なの!? そもそも何があったの!?」

 俺の反応に対し、捲し立てるように――矢継ぎ早に問いを投げかけてくる日向さん。

 

 そこに更に、

「うん? ……誰?」

「サクヤの関係者? 姉とか妹とか?」

 と、ロゼとシャルがそんなもっともな疑問を投げかけてくる。

 というか、詰め寄ってくる。なんでだよ……

 

「いっぺんに質問を投げられても答えられないっての! とりあえず順番に説明するから落ち着いてくれ!」

 そう言い放ち、3人を引き離す。

 それはもうサイキック的に。アスポートで。

 

「強制転移による引き剥がしとか始めてみたわ……」

「そりゃ、出来る奴はそうそういないしな」

 灯とロディがそんな事を言っているが、物理的に引き剥がすのはどうかと思うし、こうするしかないというものだ。

 

 っと、それはいいとして……

「とにかく順番に説明するぞ。――まず、この人は朔耶の従姉妹だ。……朔耶が俺を年上だと勘違いした原因の一端でもあるが、まあそこは置いておこう。で、次だが――」

 俺はコホンと咳払いすると、そんな風にロゼとシャルへの説明から切り出し、日向さんにこれまでの事を話し始めた――

 

 ……

 …………

 ………………

 

「――というわけなんだ」

 そう締めくくると、灯がそれに続いて、

「うん、そういうわけだったのよ。私の方も」

 と、そんな風に言った。灯の説明も一緒にしたからなぁ……

 

「い、異世界……。まあ、あの異形がどこから現れるのかを考えれば、何もおかしな事ではないかもしれないけど、でも、驚きだよ……」

 なんて事を、驚きと困惑と納得の入り混じったなんとも言い難い表情で言ってくる日向さん。

 

 従姉妹だから……というわけではないだろうが、日向さんと朔耶って喋り方がどことなく似てるよなぁ……

 なんていうどうでもいい事を思っていると、

「あ、そ、そうだ! と、とにかく『上』に連絡しないと……っ!」

 思い出したかのようにそう言って、すぐにカウンターへと戻り、内線で連絡し始める日向さん。

 

「……思ったよりも大事になってきた気がするわ……」

 ため息混じりに灯が呟くように言うと、それに珠鈴と蓮司が反応する。

「こればかりは仕方があるまい」

「だなぁ。ずっと行方不明だったわけだし」

 

「それはまあ……そうなんだけれどねぇ……」

「でも、この感じですと、ユーコさんの居場所もすぐに分かりそうな気がするのです。ユーコさんも確実に目立つのです」

 肩をすくめる灯に対し、そんな風に告げるクー。

 

「あー……なるほどねぇ……。でも、ABSFの人間に接触している感じはないわね。もしそうなら、上津木さんがその話をしてくるだろうし」

「たしかにそうだな。案外、超常現象調査室の方と接触している可能性もあるな。……まだ存在していれば、だが」

 俺が灯の言葉に頷きつつ、そう口にすると、

「私がグラスティアに行く直前の時点ではまだあったわね。こっちで大幅に年月が過ぎていたらどうなっているか分からないけど……でも、上津木さんの見た目のねんれ――じゃなくて、えーっと……容姿からして、そこまでの年月は過ぎていなさそうだから、多分まだあるんじゃないかしらね」

 なんて言いながら、日向さんの方へと視線を向ける灯。

 

「それ、言い直した意味あるの……?」

 というシャルの突っ込みに続くようにして、

「……そこで判断するのは、若干失礼な感じがしないでもないが……でもまあ、たしかにその通りかもしれないな……」

 と呟くように返しつつ、俺もまた日向さんの方を見る。

 

 灯が言ったように、日向さんは俺の知っている姿とあまり大差がない。

 だから、10年とか20年とか経過しているというわけではなさそうだ。

 

 などと考えていると、日向さんの連絡が終わったらしく、

「そのまま待っていてください。すぐに支部長が来ますので」

 と、そんな風に告げてくる。

 ……言葉遣いが敬語に戻っている……という事は、ある意味落ち着いたという事でもあるな。

 

「それじゃ、少し待っていましょうか」

 そう灯が言った直後、

「おお、本当に灯君じゃないかっ!」

 という男性の声が続けて聞こえてきた。

 

「早っ! 支部長、早すぎません!?」

 そんな突っ込みめいた反応をする灯。

 ……たしかに、すぐ来ますっていう速度じゃないなぁ……

 と思っていると、

「テレポートしたからね!」

 などと言ってくる男性――支部長。

 

 ……ああなるほど。この人もサイキッカーなわけか。

 ま、どういう組織なのかを考えると、当然かもしれないが。

 

「ふむ、私と同じ力というわけか。それならこの早さにも得心がいくというものだ」

 なんて事を顎に手を当てながら珠鈴が言うと、

「ええっと……そちらの皆さんは、データにあった超常現象調査室の面々と……それと……今、上津木君から報告された異世界の人たち……だね?」

 と、珠鈴や俺たちを見ながらそう言ってくる支部長。

 

「ええまあ、そういう事です。あ、もう一度説明した方がいいですか?」

「あ、うん、そうだね。手間をかけ――」

 支部長が俺の言葉に頷き、返事をしようとした所で、エレベーターが到着した音が鳴り、

「――支部長! いきなりテレポートしないでください!」

 という声と共に、今度は女性が姿を現した。

 

「ごめんごめん。で、そのごめんついでなんだけど……どこかこの人数が入れて話を出来る所を抑えてくれないかな?」

「はぁ……まったく……。……話せる場所として、もう大会議室を抑えておきましたよ……。クレアボヤンスで視ていましたからね」

 支部長の言葉に対し、盛大に溜息をつきながらそう返しつつ、やれやれと首を横に振る女性。

 

 ……クレアボヤンスは『視るだけ』のサイキックだ。声までは分からない。

 だというのに、先程の会話を把握しているという事は、おそらく読唇術も使えるという事なのだろう。

 うーむ……。俺も読唇術を会得した方がいいんだろうか……?

 

 ふたりのやり取りを見ながら、そんな事を思う俺だった。

実は当初の想定では日向の説明がもうちょっとあったのですが、単に長いだけになっている気がしたので、スパッと全てカットして今の流れになっています。

ただまあ……テンポは良くなった気がするものの、説明が薄い気もしており、若干カットしすぎたかも? と、そんな風に思っていたりもします……

もしかしたら、いずれどこかで補完するかもしれません……


とまあそんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、8月2日(金)の想定です!

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