表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
685/764

第134話[表] 端末の部屋へ

<Side:Akari>

「なんというか、機械だらけね……。シャルの放った一撃に巻き込まれなくて良かった気がするわ」

「そうじゃな。もし巻き込まれて壊れておったら大惨事じゃったわい」

 建物の中を進みながら、私とエステルがそんな風に言うと、

「ちょっと? 壊そうって言ったの私だけじゃないでしょうに……」

 なんて返してくるシャル。

 そして、そのまま「でしょ?」と言いながら蒼夜の方を見た。

 

「――そうだな。1階であれば何も無いから壊しても大丈夫だろうと、そう判断した上で言ったな。……ただ、『2階より上を巻き込むな』と忠告するよりも前にぶっ放すから、ちょっとだけ焦ったが」

 と、肩をすくめながら返事をしてシャルを見る蒼夜。

 

「うっ! ま、まあ、あれよ。大丈夫だったからいいという事で……!」

「結果的にはOKだが、『定期的に』先走るのは『そろそろ』抑えて欲しいもんだ」

 蒼夜がシャルに対してそんな風に言うと、

「……ごめんなさい」

 と、小さくなって謝るシャル。

 

 たしかにシャルって普段は割と冷静なのに、突発的に何かのスイッチが入ると、勢いで動く時があるわよね……

 例の『魔法探偵シャルロット』も、勢いで動く場面が多いから、昔からそういう所があるって事なのかしらね。さすがに『あの頃』よりは減っているのかもしれないけど。

 

「とはいえ……きっと大丈夫だろうと『信じてはいる』けどな。だからこそ、『ちょっとだけ焦った』程度だし」

「え? あ、うん、その……ありがとう」

 蒼夜の言葉に、今度は顔を赤くしながらそれだけ返すシャル。

 というより、それしか言葉が出てこなかったという感じかしらね。

 

 ……なんというか、色々突っ込みたい気はするけれど、まあ……やめておくわ。

 他の皆も同じように思ったのか、蒼夜とシャルのやり取りに対しては、誰も何も言わなかった。

 

「――ところで……この機械、どこかで見覚えがあるような……?」

 会話を聞いてるのもあれなので、とりあえずそんな風に言ってみる私。

 実際、見た事があるような感じがするのはたしかだし。

 

「そうじゃな……。妾もデータで見た事があるのぅ。……たしか、裏位相コネクトゲート内で似たような機械があったという話じゃったか。それと、鬼哭界にもこの類のものがあったはずじゃ」

 そのエステルの言葉によって、私は裏位相コネクトゲートや鬼哭界を探索した時の記憶が蘇ってきた。

「あっ、そうそう! 言われてみるとこんな感じの機械を結構見たわ!」

 

「ん? 待った。そうなると……この辺りの機械は、古代アウリア文明のものではない可能性も出てきたな」

「というと?」

 ロディの発言に首を傾げるカエデ。

 そのカエデに対し、

「竜の血盟から追放されたという者たち――もっと言えば、鬼哭界から追放された研究者たちが設置した可能性がある……という事ですね」

 と、ジャンさんがロディの代わりに告げつつ、ロディの方を見る。

 

「はい。鬼哭界から研究者たちが流れてきたのは、既に『高度な文明が滅びた後』だった事は分かっていますし、鬼哭界の頃と同等の研究や実験を可能にするために、こういった古代文明の遺跡、遺物を利用した……というのは、十分考えられる話です」

 ロディがそんな風にジャンに対して返すと、それを聞いていたエステルが、

「ふむ……。たしかにそうじゃな。竜の血盟に残っていたデータからも、連中が古代遺跡の調査を頻繁に行っておった事は分かっておる。調査だけではなく、改造や復元といった事もしていた可能性というのは、普通にあり得るのぅ」

 と口にしつつ、携帯通信機で写真を撮りはじめる。

 

 そして、一通り写真に収めた終わった所で、

「とりあえず解析と……情報分析に回しておいたわい。今まで集めた情報の中に、何か関係しそうなものがあるやもしれぬからのぉ」

 なんて事を言ってきた。

 

「もし見つかったら、何をしようとしていたのかも分かるわね」

 そんな風に私が言うと、エステルは頷いて、

「うむ、そうじゃな。もっとも……あまり期待は出来ぬがのぉ」

 と、そう返してくる。

 

 ――しかし、程なくしてエステルの予想に反し、『色々と合致する情報』があったという報告が通信によってもたらされた。

 

「これは予想外じゃわい。よもや、先日の一件――あの地下深くにあった装置群と関係性が強いとはのぅ……」

 なんて事を呟くように言うエステル。

 ……あの場所と関係があるという事はつまり――


「この上にある端末で、空間の穴を制御出来そうな感じがするな」

 と蒼夜が口にした通りであり、空間の穴を意図的に開けて、地球とこの世界とを繋ぐ事が出来るかもしれないという事なのよね。

 

 ……いえ、かもしれないじゃないわね。きっと出来るはず!


 ――なんて事を思いながら、行く手を遮るように現れた歪んだ魔獣をPACブラスターのアストラルエッジで斬り倒す。ちなみに、こっちを使ったのは、魔煌弓だと貫通して機械を壊しかねないから。

 元々入り組んでいるのに機械によって更に入り組んだ状態になっているせいで、倒す時に注意が必要なのよね……

 歪んだ魔獣が暴れて機械を壊すと困るから、倒さないでスルーとはいかないのも面倒だわ。

 

 でも、歪んだ魔獣の出現頻度が何か低いような……? 

 まさか、機械が多すぎて出現出来るスペースがないから……とかじゃないわよねぇ……


 そんなわけで、幸いにもそこまで戦闘する事なく、最上階へと辿り着いた。

 そして、目の前に一際大きな扉が見えてきた所で、

「あそこが端末のある部屋だ」

 と、告げてくる蒼夜。

 

 シャルとジャンさんが素早く扉に接近し、あれこれ調べつつ、

「扉に仕掛けなどはなさそうね」

「そうですね。トラップのようなものも見当たりませんね」

 なんて言ってくる。

 

 ならば……という事で扉を開けると、そこは飛行艇のブリッジのような場所だった。

 

「うーん、いかにもな感じのする部屋だねぇ……」

「じゃのぅ。で、肝心の端末は……あれじゃな」

 エステルがカエデの言葉に同意しつつ、そう言って端末へと歩み寄る。


「おっ、稼働状態じゃな」

 端末を確認しながら口にしたエステルのそんな呟きに対し、私は――

 

 これを上手く操作すれば、地球へ続く空間の穴を作り出せる……

 もうちょっと……もうちょっとで、ユーコと再会出来るはず……

 

 と、そんな事を思うのだった。

今回の話は前半部分でちょっと長くなりすぎたのですが、後半部分を一部削ったお陰で、そこまで長くはならずに済みました……


次回の更新ですが、通常通りに戻りまして 7月8日(月) の予定です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ