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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第127話[表] 灯と遺跡

<Side:Akari>

「――なるほどー、そういう事ですかー。わかりましたー。早速、テレポータルを繋いでみましょうー」

 状況を理解出来た女神様がそんな風に言うと、それに対して蒼夜が、

「――座標の変動の方は、どうにかなりそうか?」

 という問いの言葉を投げかけた。

 

 そう言えば、外からだと『座標』が変化し続けるせいで、直接繋げられないとかなんとか言ってたわね。

 まあ、どういう事なのかはさっぱり分からないけど。

 

 そんな事を考えている間にも、

「はいー。オーブを介してー、そちらの座標の『歪み方』が分かりましたのでー、その情報に合わせてー、調整してやればー、問題なく繋げられそうですー」

 と返事をして、すぐにテレポータルを開く女神様。

 

「これでそっちへ行けるかどうか、試してみればいいのよね?」

 私がそう問いかけると、

「ああ。そのままこっちへ来てみてくれ」

 と、そんな風に言ってくる蒼夜。

 

 私はそれに頷いてみせると、テレポータルの向こう側へと足を踏み出す。

 まずはテレポータルだけど……ここは大丈夫なはず。


 ――予想通り、特に見えない壁にぶつかったりする事なく、テレポータルを通過。

 

 ここまではまあ……普通に出来てもおかしくはないのよね。

 で、ここからよ……。ここからが本番。この先の一歩が一番の問題なのよね……

 

 見えない壁にぶつからなければいいのだけれど……

 

 私はそんな事を考えながら、更に足を踏み出す。

 ……と、普通に足が前に出た。

 そう! 足が前に出たのよ! 見えない壁にぶつかる事なく!

 

「普通に動き回れるわ!」

 蒼夜たちの方へと歩み寄りながら、声を大にしてその事を告げる私。


 ああっ、久しぶりに女神様の領域以外で普通に歩けているわ……っ!

 なんてひとりで感動していると、エステルが、

「ふむ、どうやらソウヤの推測通りじゃったな。しかし……こうなってくると、この遺跡にはなにやら『色々とありそう』な感じじゃわい……」

 などと、『色々とありそう』の所を強調しつつ言ってきた。

 

 うーん……たしかに私がこうやって普通に歩ける時点で、色々とありそうよねぇ……ここ。

 地球に繋がる場所もあるといいのだけれど……

 でも、私がこうして普通に動けるという事は、ある可能性が高い……という事でもあるはず。

 ……どうにかして、見つけ出したい所だわ。

 

「それで、どこをどう探索していく感じなの?」

 私がそんな風に問いかけると、

「この『古城』と呼ばれている遺跡だが……実際には『古城』というよりは、複数の建物が地下で繋がっている、古の時代の『何かの施設群』でな。とりあえず一番手前の建物から順に調べていってる感じだ」

 と、そう返してくる蒼夜。

 

「なるほど、まさに虱潰しに調べて回るって感じなわけね」

「そういう事じゃ。ま、言ってしまえば、いつもの『行き当たりばったり探索』じゃな」

 エステルが私の言葉に続いてそんな風に言い、そして肩をすくめてみせた。

 

「ま、まあ……なんだかんだで初めて足を踏み入れるような所が多いし、どうしてもそうするしかないってのはあるけどね……」

 私は頬を指で掻きながらそう口にして、周囲を見回すと、

「それにしても、どうしてこんなに広いエントランスホールを作る必要があったのかしらね……?」

 と、呟くように言った。

 

「うーん、さっぱり分からないね……。というか、そもそもここがエントランスホールのつもりで作られたものだったのかすらもわからないし」

 カエデがそんな風に言ってくる。

 それに対して私は、

「でも、あそこにカウンターみたいなのがあるし、エントランスホールっぽい気がしない?」

 と、返した。

 

 するとその直後、

「――言われてみると、そのカウンターのようなものの先にある上への階段や、ここから見える2階と3階の通路なども含めて、昨今、エレンディアで増えつつある『オフィスビル』で良く見かける構造ですね」

 ジャンさんが納得顔でそんな風に言いながら、階段や上の階の通路を見回すと、ロディがそれに同意して頷いてみせる。

「ああなるほど、たしかに……」

 

「上は……通路沿いにいくつか扉があって、そこそこの広さの部屋が並んでいる構造か……。なるほど、たしかになんだかちょっとオフィスビル感があるな」

 なんて事を上を見ながら言ってくる蒼夜。

 おそらく、クレアボヤンスで上の階を覗き見たんでしょうね。

 

「もしかしたら、古の時代には本当に何かのオフィスとして使われていたのかもしれないわね。それで……上には何もなさそうな感じかしら?」

「ああ、完全に空っぽだ。行っても仕方がなさそうだし、地下から別の建物へ移動した方が良さそうだ」

 シャルの問いかけに対し、頷きながらそう返す蒼夜。

 

 ならば、という事で私たちは地下への階段を下りていく。

 すると、地下は一直線の通路になっていた。

 

「まさに連絡通路って感じね。迷う要素がなくていいけど」

 私がそんな風に肩をすくめながら言うと、

「たしかにそうじゃな。オルティリアの遺跡もこのくらいシンプルな構造にして欲しかったものじゃわい」

 なんて事をため息混じりに言い、やれやれと首を横に振るエステル。

 

「オルティリアの遺跡の話は聞いてるよ。物凄い大迷宮なんだよね? もしかして、まだ調査中な感じ?」

 詳しく知らないらしいカエデがそんな問いの言葉を口にすると、蒼夜がそれに対して返事をする。

「第7階層まではマッピング済みだが、まだ『最深部』は見えていないな」

 

 ……いやいや、今しれっと言ったけど、第7階層って……

 1層だけでも凄い広いのに、あれが7層……。しかもまだ最深部じゃないとか……

 あの遺跡、広すぎでしょ……。一体何の目的でそんなものを作ったのやらって感じだわ……

久しぶりに灯視点です(なんだかんだで1ヶ月ぶりだったりします……)

それにしても、ここ最近は長い『話』ばかりだったので、本来の標準的な1話の分量(文字数)だと、なんだか短く感じますね……

このくらいが妥当な長さだとは思っているのですが、どうにもこうにも……


ま、まあ、そんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、6月10日(月)の想定です!

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