表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
670/764

第121話異伝2[表] 始まりの場所

<Side:Yuko>

「あー……なんだ? よくわからんが……とりあえずその武装からして、『広捜隊』っつーモンは、俺と同業者って事でいいのか? しかも『直接交戦するタイプ』の」

「同業者?」

 問いかけに対し首を傾げながら男性を良く見てみます。

 

 ……手に持っている杖、これは……

「PACブラスター?」

 

「ふむ、これを知ってるっつー事は、やっぱり『こっち』の人間か。っと、名乗るのが遅くなっちまったな。――俺は超常現象調査室で副室長をしている秋原勇。ああ、秋原は春夏秋冬の秋に原っぱの原な。んで、勇は勇気の勇だ」

 男性はそんな風に名乗ってきました。

 

 ……え? ちょうじょうげんしょうちょうさしつ? ふくしつちょう?

 それに、PACブラスター……

 

「……あの、ここって地球……の日本なんですか?」

「おかしな事を聞く奴だな。当然だろう」

 男性――秋原さんが『何を言っているんだ?』と言わんばかりの表情で、私の問いかけに対して返事をしてきます。

 

 ……えっと、その……正直言うと、えええええええええっ!? と叫びたい所です。

 ですがまあ、それは心の中でだけにしておきましょう。今は。

 

「い、いえ、その……信じて貰えるか怪しいですが、ここにはある種の転移でやってきた感じでして……」

 とりあえず、そんな風に言う私に、

「転移してきた? なるほど……そう考えると合点がいくと言えば合点がいくな……。だが、『広捜隊』……?」

 と、そんな事を呟きながら考え込む秋原さん。

 

「あ、えっと、『ABSF』の『冥賀ゆうこ』と言った方が通じるかもしれませんね。可能でしたら、ABSFに繋いでいただけると……。実は転移の際に連絡用の端末を失ってしまったもので……」

「ABSFかよ! だが、それならまあ……なんとかなるか? ちょいと聞いてみるから、周囲の警戒だけしておいてくれねぇか?」

 私の発言にそう返しつつ、携帯通信機……ではなく、スマホを取り出して電話する秋原さん。

 

 というかここ、普通に使えるんですね……

 

 なんて事を思いつつ、私が言われた通り周囲を警戒していると、

「おう美香、今いいか?」

 という秋原さんの声が聞こえてきました。

 

 美香さんという人に電話したようですが……どういう方なんでしょう?

 

 と、そんな風に思っていると、

「んあ? 室長と呼べ? 別にいいじゃねぇか、どっちでも。……へいへいわーったよ、室長殿」

 なんて声が更に聞こえてきました。

 ……室長さんなんですね……。電話相手の美香さんという人は……

 

「――ああ、実は例の廃墟でABSFの人間と接触したんだがよ、なんか別の場所から転移してきたとか言っててな。悪いんだが、ABSFに伝えてくれねぇか? メイガユーコっていう少女だ」

 なんていう秋原さんの声が聞こえてくる。

 

 今更ですが……ここ、実は限りなく似ているだけの『並行世界』とかではないですよね……?

 まあ、ABSFで通じたので大丈夫だとは思いますが……

 

 などという事を考えていると、

「わかった。ここを片付けたら一旦そっちに連れて行くぜ。んじゃ、また後でな」

 と美香さんに告げ、電話を切る秋原さん。

 

「――聞こえていたかもしれんが、とりあえず一度、超常現象調査室に来てくれないか? あちらさんに伝えるのも、あちらさんから返答が来るのも、どちらも少し時間かかりそうな感じなんでな」

「あ、はい。それはもちろん構いませんよ」

 私は秋原さんに対してそう返すと、非常口の方を一瞥してから、

「それと、ここを片付けたら……と言っていましたが、もしかして秋原さんは、私が先程遭遇したキメラもどき……とでも言うのがしっくりくるような、地の色が赤くない異形のバケモノ。アレを始末しに来た感じですか?」

 という問いの言葉を続けます。

 

「そう言うって事は、やっぱりバケモンが潜んでいやがったか。やれやれ……マジでどっから湧いて来やがったんだ……?」

「といいますと?」

「ああ、ここはかなり前に、ウチ――と言っても今とは違うメンツだが――が、犠牲者を出しながらどうにか制圧した場所でな、バケモノどもはその時に一掃してるし、何度も調査してるから、出るはずがねぇんだよ」

 小首を傾げる私に対し、そう説明してくる秋原さん。

 

 超常現象調査室、犠牲、制圧……

 うーん……。もしかしてその犠牲者って蒼夜さんの事だったりするんですかね?

 前に研究所の制圧作戦で死にかけて、それでグラスティアに転移したと言っていましたし。

 

 なんて事を考えながら、

「なるほど……。でも、実際に数体見かけましたよ。全て倒してしまいましたが」

 と、そう告げる私。

 

「さすがはABSFって所か? いや実はよ、ここは監視要員を複数人配置して、しっかりと監視してるんだが……少し前にその監視要員たちからの連絡が途絶えてよ、なにかあったんじゃねぇかと思って、様子を見に来てみたら……惨殺されたそいつらの遺体を見つけちまったんだわ」

「そのような状況だったのですか……」

「ああ。……あいつらを殺ったのはお前さんが遭遇した奴か、あるいはまだいるであろう仲間だろうな。――ともかく、殲滅しなければ危険だな……。よし、すぐに応援を呼ぶとしよう」

 秋原さんはそう言うと、即座にスマホを使って応援要請をしました。

 そして、

「応援が到着し次第すぐに制圧すっから、すまんがそれまで待っててくれ」

 と、秋原さんがそんな風に言ってきます。

 ですが……どうやら、気楽に待っているだけ……とはいかないようですね。

 

 私は先程まで居た通路を一瞥しつつ、

「いえ……残念ですが、ただ単に待つだけというのは難しそうです。なぜなら『殺気立った気配』が、こちらに次々と向かってきていますから」

 と、そう秋原さんに対して告げます。

 

 仲間を殺された事に気づいて、私を追ってきたのでしょうか?

 それとも、こうして会話している事で、ここに獲物がいると判断したのでしょうか?

 まあ……なんにせよ、応援を待っている余裕などない状況だというのは、間違いないですね。

遂にこの物語の冒頭と繋がる所まで来ました……


とまあそんな所でまた次回!

次の更新は予定通りとなりまして、5月13日(月)の想定です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ