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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第115話[表] 視える未来

<Side:Yuko>

 私は蒼夜さんたちが、どうやって対処したと前に言っていたのか、それをどうにか思い出そうと試みます。

 

 ……たしか、出てきた魔物を倒したら『穴が壊れた』とか、そんな事を言っていたような……

 

 ……。ええっと……

 それはつまり、あれを倒さないと駄目だという事ですね……

 

 そんな結論に至り、私は『砕けた空間の裂け目』から伸びる『腕』を見ます。

 ……いえ、もう腕ではありませんね。

 

「ヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲンンンンンンンンンッッッッッッッ!!!!!」

 低く昏い咆哮が響き渡り、首から上が裂け目より突き出した状態となる魔物。

 

 赫灼とした炎の如き色の皮膚に、人のような顔を持ちつつも、獣めいた輪郭を有し、翼のようにも見える角が側頭部から生えた頭。

 それはまさに悪魔のようでもありました。

 

 そんな魔物が、裂け目に両手……いえ『4本の腕』をかけ、力任せに這い出すような動きを見せます。

 いつの間にか、腕も炎を思わせるような色に変わっていますね……

 最早、悪魔は悪魔でも、地獄の業火を纏った悪魔といった雰囲気です。

 

 そんな魔物の動きを視線で追いながらそんな事を思った刹那――

「っ!?」

 いきなり頭に何かが突き刺さったかのような鋭い痛みが走りました。

 そしてそれと同時に、私が『巨大な腕の形をした炎』に掴まれ、『燃やされる』光景が脳裏をよぎります。

 

 今……のは……?

 

 そう思うと同時に、私は左へと大きく滑るように移動。

 と、その直後、私のいた場所めがけ、唐突に『巨大な腕の形をした炎』が降ってきました。

 

 私に当たる事のなかったそれは、そのまま床に激突。

 一瞬にして床がオレンジ色に染まり……溶解し始めました。

 

 あ、あそこに立っていたら逃げようもなく掴まれて、脳裏によぎった通りに燃やされていましたね……

 

 ですが、そうすると今のは未来視の一種……?

 未来視を持っているのは、私ではなく灯のはずです……

 ……もしや、私の方にも未来視の力があったという事なのでしょうか?

 灯と私は根幹では同じ魂を――半分ずつ――持っていると言えるので、そうであったとしてもおかしくはないですが、それなら何故今になって?

 

 ……それを考えるのは後にしましょう。

 今はこの魔物と『穴』をどうにかしなくては……

 

 ……って、いつの間にかご丁寧に障壁のようなものが壁と天井を覆うようにして出現していますね……

 まるで、この魔物を外へ出さない為に展開されたかのようです。

 ……まあ、私も出られそうにありませんが……

 

 周囲を素早く見回しながらそんな事を思うと、私は両手両足にアストラルエッジを発生させます。

 

 こちらの使える武器は、この4つの刃と魔弾……。そしていくつかの魔法のみです。

 完全にあそこから抜け出される前に、決着をつけられるかどうか……ですね。

 

 私は意を決すと、一気に魔物へ向かって接近。

 振るわれた腕のひとつを回避しながらクルッと身体を回し、右脚部のアストラルエッジでその腕を斬り裂きます。

 ついでに右腕部のアストラルエッジも叩き込み、更に斬り裂きます。

 

 と、斬り裂いた所から赤紫色の結晶が飛び散ります。

 ……エレンディアで遭遇した狼男のような魔物が血と共に撒き散らしたものに似ていますね……

 もっとも、この魔物は斬り裂いたはずなのに、血がまったく噴き出しませんが……

 

 この結晶のようなものが血の代わりだとするならば、ダメージは与えていると考えて問題はないはずです。

 私は即座に身体を逆方向に捻りつつ、左腕部と左脚部のアストラルエッジを叩き込み、魔物の腕を斬り裂きます。

 そしてそこから更に右――

 

「グガガッ!」

 そんな声と共に、腕を跳ね上げるように動かし、私のアストラルエッジの追撃を避ける魔物。

 更に別の腕を振るい、私を弾き飛ばそうとしてきます。

 

 それを回避してその腕を斬り裂――

 ――こうとした所で、更に別の腕が。

 それを回避した所で、また別の腕が――

 

 ……は、反撃させる気はないと言わんばかりの動きですね……っ!

 なんて厄介な……っ!

 

 魔物のラッシュを避け続けながらそんな風に思った所で……

「っ!?」

 再び頭に何かが突き刺さったかのような鋭い痛みが走ります。

 もっとも、さっきよりも少し痛みは弱くなったような感じですが……

 

 なんて事を考えたその刹那、四方八方から飛来してきた炎の槍に貫かれる私。

 ……の姿が、脳裏に浮かびました。

 

 私は回避は無駄だと判断し、即座に障壁魔法を発動します。

 そして、私を障壁が覆った瞬間、ドスドスッという何かが、立て続けに障壁に突き刺さる音が響きました。

 ……いえ、これはもう間違いなく『炎の槍』が突き刺さった音ですね。

 

 どうにか防げたと思い、安堵したその直後、再び頭に何かが突き刺さったかのような鋭い痛み。

 と同時に、今度は『障壁を斬り裂いた横薙ぎの炎』に焼かれる私の姿が脳裏に浮かびました。

 

 ……って! 立て続けに未来視が来ましたね!?


 こういう事も起こり得るんですね……

 まあ、そんな事を悠長に考えている場合ではないですがっ!

ここぐらいしか句切れそうな場所がなかったので、ここで一度区切りました……


とまあそんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、4月12日(金)の想定です!

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