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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第103話[表] 冥界・魔物と絵

<Side:Akari>

「ま、どこかに隠し部屋があるという事さえ分かっておるのなら、探すだけじゃわい」

「うん、そうそう。どこかにあるっていうなら、探すだけだよ」

「断言出来るわけじゃないけど、ね」

 クレリテとカリンカに対して、肩をすくめながらそう告げる私。

 それに対して、

「なーに、『ある』と感じているのであれば、間違いなくあるはずじゃよ」

 と、まるで確信しているかのような自信満々の表情で笑みを浮かべながら言ってくるクレリテ。

 

 どうして、クレリテの方が自信満々なのよ……

 なんて思いつつも、

「まあ、もう少しあちこち見て回っていけば、なにか『記憶が出てくる』かもしれないわね」

 とだけ返す私。

 

「そうですね。まだ調べていない場所の方が多いですからね」

「この家、広すぎるのよねぇ……。このペースで見て回っていたら、1日がかりになりそうだわ……」

「ですね。もっとも、ここに来るまでの日数を考えたら、ここで1日かけた所で……という感じですが」

 ユーコは頷きながらそう言うと、やれやれと首を横に振ってみせる。

 

「それはまあ、たしかにそうね……」

 そんな風に私が返した所で、クレリテが窓の方へと歩み寄り、

「……お客さんが来てしまったようじゃから、1日以上かかるやもしれぬのぅ」

 なんて事を告げてきた。

 

「え?」

 と口にしながら私も窓の方へと歩み寄ってみる。

 

 すると、窓から魔物の群れが見えた。

 そして、クレリテがお客さんが来たと言ったとおり、その魔物の群れは、明らかにこちらへと向かって来ていた。

 

「ふむ……。探索はふたりに任せて、妾たちは魔物を迎撃するのが良さそうじゃな」

 クレリテが私とユーコの方を見ながらそんな風に言ってくる。

 

「え? 私とユーコも迎撃に回った方が速いんじゃ……?」

「あの程度であれば、妾たちの戦力で十分すぎるというものじゃ。ならば、『魂の記憶』を持つおぬしらには、このまま調査を続けて貰った方が良いというものじゃよ。上手く行けば、交戦している間に『隠し部屋』を発見出来るやもしれぬじゃろう?」

 私の問いかけにそう返してくるクレリテ。

 うーん……なるほど。たしかにそう言われるとそうかもしれないわね……

 

「分かったわ。私とユーコは、このまま家の中を調べて回るわ」

 頷いてそんな風に答えると、クレリテの代わりにカリンカが、

「うんうん、外の魔物は任せて。サクッと倒しちゃうから」

 なんて事を軽い口調で言った後、クレリテの方を向いて言葉を続ける。

「クレリテさーん、レッツゴーですよー!」

 

「……おぬし、素の性格と仕事用の性格が混ざっておらんか……?」

「そうですかー? まあ、気にしないでいきましょー!」

 クレリテの突っ込みに対してカリンカはそう返しつつ部屋から出ていく。

 そして、

「……こちらの世界に長時間いる事で、魔王因子が何らかの影響を受け始めておる……のか? いや、これだけでは良く分からぬな……」

 なんて事を呟きながら、その後を追っていくクレリテ。

 

「……魔王因子、ねぇ。そう言えばそんなものあったわね……」

「たしか、『銀の王』――いえ、『ディアドコス』がその因子の所有者を根絶しようとしているんですよね」

「そうみたいね。私たちの住む大陸の北部にあった国々を潰して回ったのは、それが目的だったという事は判明しているし」

「一体、『ディアドコス』は魔王因子の何をそこまで恐れているんでしょうね? ディゾートと話した時に聞いておけば良かったですね……」

「たしかにね……。あの時は魔王因子の事なんて、完全に頭からすっぽ抜けていたわ……」

 ユーコに対し、私は両手を左右に広げて首を横に振りながら、そうため息まじりに返す。

 

「私もです。あまりにも唐突な接触だったので、問いかけたい事が纏めきれていませんでしたし……」

「ま、次に接触する機会があったら、その時に改めて聞いてみるしかないわね。……教えてくれるかどうかは分からないけれど」

「そうですね……。とりあえず、今は隠し部屋を探すとしましょうか。……探すというよりかは、魂の奥底にある『記憶』を呼び戻す……というのが正しい気もしますが」

「まあねぇ……。とにかく片っ端から見ていくとしましょ。どこかで何かに『気づく』かもしれないし」

 私とユーコはそんな風に話しながら、その場を後にした。

 

 ……

 …………

 ………………

 

 ――外から派手な戦闘音が響いてくる中、私とユーコは家の中を虱潰しに探索していく。

 時々、窓から外を覗くと、魔物の群れを薙ぎ倒していくクレリテたちの姿が見えた。

 

「……まあ、押し負ける心配はなさそうですね」

「そうね。次々に増援が来てはいるけど、全然余裕そうだし」

 ユーコにそう返事をしながら、部屋を見回す。

 

 ……うん?

 暖炉の上に飾られていた絵――どこかの街を上空から描写したと思しき物――に視線が向いた所で、ふと引っかかるものがあった。

 

「あそこの絵、何か見覚えがあるような……」

「この部屋から中庭を挟んで反対側の部屋にも同じものがありましたね。……あ、いえ、何かが僅かに異なっている……かもしれません」

「反対側って辺りに『なにか』ありそうな感じがするわね……。まあとりあえず、これは転写しておくわ」

 ユーコに対して私はそう返すと、次元鞄からスケッチブックを取り出した。

 

 そして、久しぶりに転写のサイキックを使って、その絵をまるっとコピーすると、ユーコと共に、絵があった部屋へと移動する。

 

「うぅん? 一見するとどちらも同じ街――森に囲まれたどこかの街を描いたもの……のように見えるけど、さっきの絵にはない川が、街に沿うように描かれているわね。こっちには」

「そうですね。川がある以外は完全一致ですが……別の街なんでしょうか? それとも、時代が違う……?」

「どっちにしても、地形以外は完全一致ってのが意味不明だけどね……。というか、このふたつの絵……そもそも、ただの風景画じゃない気がするわ」

 私はユーコに対してそう返しつつ、ふたつの絵を見比べる。

 

 ……この絵には『絶対になにかがある』と、そんな風に感じるのよね。

 漠然としているのに確信もしている……。なんだか妙な感覚だわ。

 

 ――まあ、それはそれとして……

 一見すると同じ街。だけど、地形が違う。

 うーん……。この絵は一体なにを示しているのかしら……?

途中の描写(描写しなくても問題なさそうな所)をかなりカットしたのですが、それでも結構な長さに……


とまあそんな所でまた次回! 次の更新も予定通りとなります、3月1日(金)の想定です!

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