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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第101話[表] 冥界・ラボラトリーと魂の記憶

<Side:Akari>

「間近まで来ると本当に巨大なのが良く分かるわね……」

 目の前にそびえる赤黒い巨城の如き『セントラル・ラボラトリー』を見上げながら、そんな風に呟く私。

 そして、それに対してクラリスが同意しつつ、

「まったくであります。よくもまあ、こんなものを建てたものでありますなぁ……」

 と、肩をすくめながらため息混じりに言う。

 

「それにしても……ここに近づいたら、急に魔物が姿を現さなくなりましたね」

「そうですわね。……おそらくですけれど、セントラル・ラボラトリーには魔物を制御する装置かなにかがあって、それによって制御されているがゆえに、見境なく襲いかかるような事がない……とか、そういう感じなんだと思いますわ」

 ユーコのもっともな疑問に、リリアが頷きつつそんな推測を口にした。

 

「そうじゃのぅ……。以前ソウヤたちが来た時は、魔物の大群が迎撃の為に現れたと言っておったし、その可能性は高そうじゃな」

「ここまで接近してもなお、こちらの存在に気づいていないのも、その『制御』が強いがゆえ……なのかもしれないね。中に入ってきた者は迎撃するけど、外にいる者には何もしない……とか、そんな感じで」

 クレリテの言葉に続くようにして、エルウィンも推測を口にする。

 

「たしかにそうね。これだけ近くまで来たのなら、何か出てきてもいい気がするけど、何も出て来ないし」

 首を縦に振って肯定しつつそう私が言うと、

「まあ、こちらとしては楽でいいですけどねぇ」

「でしたら、とりあえず先に周囲を調べてしまいましょうか」

 と、そんな風にティアとカリンカが言ってきた。

 

「うむ。そうするとしようか」

 頷くエメラダさんに続くようにして私たちも頷き、早速セントラル・ラボラトリーの周囲を回ってみる事にした――

 

 ……

 …………

 ………………

 

「……周囲を回るだけで半日以上もかかりやがるとか、とんでもねぇですねぇ……」

 やれやれと言った表情でそう口にしたティアに、ユーコが「……ですね」と言って同意した通り、周囲を回って元の場所に戻ってくるだけで半日以上――正確には15時間も要してしまった。

 ホント、とんでもない建物だわ……

 

「事前に得ている情報だけでは、到底全体を把握出来そうにないね。これは」

「そうじゃな。これはキッチリとマッピングしなければなるまい」

 セントラル・ラボラトリーを見上げながら呟くように言ったアーヴィングさんに対し、クレリテは頷きながら携帯通信機を取り出した。

 そして、

「――幸いというべきか、オートマッピングのアプリケーションは正常に動作しそうじゃ。紙とペンは必要なさそうじゃな」

 と、そんな風に言った。

 

「ふむ、それなら安心だな。……クレリテが手で描いた地図で酷い目にあった事があるゆえ、紙とペンで書くのなら注意しておかねばならん所であったし」

「い、一体いつの話をしておるのじゃ! あの時とは比べ物にならんくらい上達しておるわい!」

 エメラダさんの発言に対し、クレリテが憤慨しながらそんな風に返す。

 

「上……達……?」

 私の横にいたカリンカがボソッとそんな事を呟いて小首を傾げてみせた。

 無論、その声はクレリテには届いていない。

 

 ……その反応だと、今でも怪しいそうね……

 オートマッピングが正常に動作してくれて、助かった気がするわ……

 

「――これだけ騒いでも魔物1匹出て来やがらない所をみると、リリアとエルウィンの推測通りな感じがしやがりますねぇ」

 ティアが少し呆れ気味にそう言うと、

「そうだね。まあ、中に踏み込んでみないと正確な所はわからないけど」

 と、やれやれと言わんばかりの表情で答えるアーヴィング。

 そして、カリンカがそれに続くようにして、

「中に入るにしても、どこから入るのがいいんでしょう……? 全部で入口は8ヶ所……いえ、地上ではない場所にある入口も含めるのならば、16ヶ所ありましたが……」

 と言った。

 

「……個人的には北側にあった入口が一番気になったわね」

「あ、そうですね。私もあの入口が気になりましたね」

 私に続くようにしてユーコがそんな風に言う。

 

「うーん……。ふたり揃って気になったという事は、あの先にある『何か』を魂が記憶している……とか、そんな感じなのかもしれないね」

 カリンカが砕けた口調の方でそう言ってくる。

 するとそれに対し、

「――『異界解放同盟』で得た情報によると、このセントラル・ラボラトリーの北側区画は、主に霊的な力を主とする魔法について研究していた者たちが使っていたそうですわ。もしかしたら、ヴィストリィ家がそこに関わっていたのかもしれませんわね」

 と、リリアが付け加えるように告げてきた。

 

「まあ……どこから入るのが良いのか分からねぇわけですしねぇ。それならふたりが『気になった』場所に入ってみやがるのが一番じゃねぇですかねぇ?」

「そうでありますな。それで良いとボクも思うであります」

 ティアの発言にクラリスが頷いて同意してみせる。

 

 ――他の皆も特に異論はなかったので、私とユーコが気になった北側の入口から中に入ってみる事になった。

 

 ……でも、一体あの先に何があるっていうのかしら……ね。

思ったよりも会話が長くなってしまって、中に入る所までいきませんでした……


ま、まあ、そんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、2月23日(金)の想定です!

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