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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第100話[表] 冥界・突き進む者たち

<Side:Akari>

「ティアさん、銃――というか、機関銃も使うんですね」

「最近プロトタイプを試す機会がありやがりましてねぇ。その時に気に入ってしまったんですよねぇ。纏めて薙ぎ払えて便利でやがりますからねぇ。特にこういう空を飛んでいやがる魔物どもには、こっちの方が手っ取り早いですしねぇ」

 ユーコの問いかけにそう返事をしつつ、連続でトリガーを引くティア。

 

 魔法弾が立て続けに発射され、私が倒したのとは別の魔物……炎のように揺らめく青黒いオーラを纏った鳥の魔物――多分こっちが《アムス=レイラム》じゃないかしらね――を、2体同時に文字通り蜂の巣にした。

 

「なるほど。たしかに連射出来ると使い勝手が良いですよね」

 なんて言いながら魔弾を連射するユーコ。

 そんなユーコに続くようにして、

「こうやって拡散させるのも便利だけど、ねっ!」

 と、そう言い放ちながら、スプレッドショットを繰り出す私。

 

 ユーコの乱れ撃たれた魔弾と、私の扇状に拡散された魔法の矢が、空を飛ぶ魔物――《ガルグ=ディオ》と《アムス=レイラム》――複数体を纏めて穿ち貫く。

 

「1発で倒せるくらい脆いけど、次々に来るわね……っ!」

「この荒野を突っ切る以上、どうにもならないだろうね。っと」

 アーヴィングさんは私に対してそんな風に返事をしつつ、身体をドリルのように回転させながら突っ込んできた骨の大鳥――《ガルグ=ディオ》へと真っ向から突っ込み、そして一刀両断した。

 

「そうですね。この鳥の魔物を掃討したとしても、別の魔物が襲いかかってくるでしょうし……逐一掃討しながら進むしかありませんね」

 カリンカがそんな風に言いながら、金色の雷撃を纏った橙色の極太ビームを放って魔物を纏めて消し飛ばす。


 エステル製の『疑似』とは違う本物の『融合魔法』は、相変わらず凄まじいわねぇ……

 まあなんというか……これなら何度襲ってきても、速攻で片がつくというものよね。

 

 ……

 …………

 ………………

 

 ――鳥の魔物の次は、狼のような魔物とライオンのような魔物の複合だった。

 その次は、地面から飛び出してきた巨大ミミズ。

 更にその次は、何度か見た事がある《獄炎戦車ヴォル=レスク》の軍団。

 

 ホント、少し歩く度に襲ってくるわね……

 どれも瞬殺だから問題はないけれど……もしこれがRPGだったら、エンカウント率が高すぎると怒っている所ね。間違いなく。

 

 なんて事を思いながらも、次々に撃破しながら荒野を進む事、2日――


「急に岩場になったのにも驚いたけど、こんなのが延々と続くのも驚きだわ……」

 周囲を見回しながらそう告げる私。

 

 そう……。何もなかった荒野が唐突に終わり、今度はゴツゴツとした巨岩――どの岩も2階、あるいは3階建ての建物と同等くらいの大きさがある――が延々と続く岩場へと景色が変わったのだ。

 

「視界が悪いからなのか、魔物の出現は極端に減りましたね」

「岩と岩の間の狭い所にアリジゴクみたいな魔物が潜んでいる事はあるけどね……」

 ユーコに対してそんな風に返した直後、眼前の土砂がまるで噴水のように天へと向かって放出され、アリジゴクみたいな魔物が地中から姿を現す。

 

「わっぷっ! 相変わらずいきなり飛び出してくるわね……」

「それに気づいて、逆に飛び出してきた所を狙って、あっさりと粉砕するアーヴィングさんとエメラダさんも凄まじいですけどね……」

 私の発言にユーコがそう返事をしてきた通り、出てきたアリジゴクみたいな魔物は、既にアーヴィングさんとエメラダさんの同時攻撃によって倒れていた。

 

「地中から見つけてくれと言わんばかりに殺気を放っている時点で残念すぎるというものだ。まあ、所詮は魔物……といった所であろうか」

 エメラダさんがそんな事を呟くように言う。

 

 う、うーん……。見つけてくれと言わんばかりの殺気……なんて言われても、さっぱり感じ取れないのよねぇ……私には。

 などと思いながら南南東へ向かってしばし進んでいくと、下の方が大きく削れて、穴のようになっている岩が見えてきた。

 

「ほぅ、これはこれは……。この岩を利用すれば、今までよりも安全に野営が出来そうじゃ。今日はここで休むのが良さそうじゃな」

 と、そんな事を言いながらその岩を見回すクレリテ。

 

「そうですね。幻影を看破する魔物も、この岩場に入ってからは見かけていませんし、今夜は叩き起こされる事もなく、ゆっくり休めそうですね。もっとも、だからといって警戒を緩めるわけにはいきませんが」

 カリンカがそんな風に言いながら、設置すると巨大化するテントを地面に置く。

 

 何がどうなっているのかはさっぱり分からないけれど、魔法が存在する世界なのだから、このくらいの物があった所で、別におかしくはないわよね……うん。

 

 あれこれ考えると面倒なので、それだけ考えて納得した私。

 

 巨大化するだけではなく、周囲に幻影を展開して隠蔽する魔法が付与されている為、魔物に襲われにくくなるという利点まである。

 まあ、カリンカが行った通り、幻影を看破する魔物も少なからずいるので、油断は出来ないが。

 

「それにしても遠いわね……。あとどのくらいで着くのかしら……」

「そうですわね……。もう2日もすれば、見えてくるはずですわ。……まあ、そこから更に1日はかかると思いますけれど……」

 私の言葉に対し、顎に手を当てながら推測を口にするリリア。

 

 ……つまり、あと3日ってわけね……

 まあ、徒歩かつ戦闘をしながらだから仕方がないとは思うけれど、帰りもこの距離を歩くと考えるとちょっとうんざりするわ……

 帰りはもっとこう……パパッと帰れるような、そんな方法はないものかしらねぇ……

次は一気にすっ飛ばして『目的地』の手前からになる予定です。


とまあそんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、2月19日(月)の想定です!

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