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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第89話[裏] 鬼哭界・救出作戦 Phase8

<Side:Souya>

 ――途中で少し寄り道してしまったものの、その後は滞りなく、マーシャが囚われているであろうフロアへと辿り着く俺たち。

 

「さて、一体どこにいるのかしらね?」

「今、探している所だ」

 俺はシャルに対してそんな風に返しつつ、クレアボヤンスでフロア全体を虱潰しに『視て』いく。

 すると、明らかに敵が集中している通路があった。

 

 ……この通路を辿ってみるか……

 そう考えて通路に沿ってクレアボヤンスの視界を進ませてみると、更に敵が配置されていた。

 そして、その先にも、更にその先にも、同じような感じで敵が配置されているのが視えた。

 

 ……これは、防衛ラインって所か。

 この多重っぷり、そして不動っぷりは、何があろうと突破させないという意思を感じるな。蓮司の陽動も全く効果がないくらいだし。

 

 などと思いつつ、更に先へと視界を進ませて行くと、遂にマーシャのいる部屋を発見した。

 

 ふむ……。思ったよりも豪華というか……良い造りの部屋だな。

 マーシャもこれといって拘束されているようには見えない。

 それどころか、なんだか世話役っぽい人までいるし……

 これは一体どういう事だ……?

 

 部屋を覗き込みながら、俺はそんな感想を抱く。

 

 良く分からないが、酷い扱いを受けているわけではなさそうなのは良かったというものだ。……反面、ロゼの方が酷い扱いを受けていそうな気がするが……

 いや、今はこっちに集中するとしよう。

 

「マーシャの居場所を特定した。……が、そこへ至る通路全てに敵が配置されている。それらを全て突破しなければ、辿り着くのは難しそうだ」

「突破するだけなら簡単だけど……マーシャを始末してしまおうとか思われたら、ちょっと厄介ね、それ」

 俺の発言に対し、そう返してくるシャル。

 

「たしかにその通りだが……さっき視えた光景からすると、そういう風に思って実際にマーシャを殺そうとする敵は、少なくともこのフロアにはいなさそうな気がするな。してきても、せいぜい脅してくる程度だろう」

 そんな風に俺が言うと、今度はエミリーが首を傾げて問いかけてくる。

「……? それはどういう事ですか?」

 

「ああ、実は――」

 俺はそう切り出して、先程視えた光景について皆に話す。

 

 ……

 …………

 ………………

 

「それはまたなんというか……監禁ではなく、保護……に近い感じですね。かつて、教国でも『聖女』に認定した者をそういう風に扱った事がありましたし」

 腕を組んだクライヴがそんな風に言ってくる。

 

 なるほど、保護……か。

「……『銀の王』がどう配下の者たちに説明したのか分からないが、もし……ロゼによって『拉致』されたマーシャを『保護』するという名目で動いたとしたら、この状況も、なんとなく納得出来るというものだ」

 俺がそんな風に言うと、

「でも、もしそうだとしたら、ロゼは……」

 と、シャルがそこまで言って口を噤んだ。

 おそらく『最悪の状況』を想像したのだろう。

 

「……そこは後だ。とにかく今はここを突破してマーシャの所まで行くぞ」

「……ええ、分かったわ。――敵が血迷ってマーシャを殺しにかかる可能性がないのなら、遠慮なく一掃するだけだわ」

 俺に対し、シャルは頷きながらそう言って、右手に持った刀を正面へと突き出した。

 そして、

「ソウヤ、道案内をお願い。敵は見えた瞬間斬るから安心して」

 なんて告げてきた。

 

 それはまさに『見敵必殺』という奴だな……

 などと思いつつ、俺は頷いて皆を引き連れる形で走り出した。

 

                    ◆

 

 ――そして、実際に敵が視界に入った瞬間、斬り伏せる……いや、一掃していくシャル。

 ……見敵必殺どころか、見敵殲滅だな……これは。

 

 しかし、今までのフロアと違い、ここは敵が多い。

 しかも、防衛ラインを突破してきている事を察した敵が増援を要請したのか、こちらへ向かって一直線に向かってきている敵部隊が『視え』た。

 

「増援の部隊が、こちらに向かって来ているようだ。気をつけてくれ」

 俺が皆にそう告げると、

「そちらは我々に任せていただければ、と。なにしろ、敵陣の突破がシャルロッテさんに任せきりになってしまっていますからね。せめて増援の迎撃くらいはしなければ」

 と、クライヴが申し訳なさそうな感じで返してきた。

 

 まあたしかに当初の予定とは大分違ってしまっているのはたしかだし、むしろ、こちらの方が申し訳ない感じだ。

 というか、シャルの戦闘能力を考えたら、最初からシャルを突破役にするべきだったかもしれないな……


 しかし……この感じだと、地下の方もアーヴィングさん辺りがぶっちぎってそうだ……

 なんて事を思いつつも、マーシャのいる部屋へと一直線に突き進む俺たち。

 

 マーシャの部屋までもう少し……という地点まで来た所で、遂に増援の敵部隊がこちらの後方に現れる。

 と同時に、前方――マーシャの部屋の前にいた敵部隊がこちらに向かって動き始めた。

 

 なるほど、マーシャの部屋の前の部隊との挟撃を狙ってきたか。

 良い手ではあるが……

 

 ――そんなものは何の意味もなさない。

 

 前方はシャルが、後方はクライヴたちが、あっという間に一掃する。

 俺が魔法1発撃つ事なく終わってしまった。

 

 やはり過剰すぎる戦力だったな……

 なんて事を思いつつ、俺は遂に辿り着いたマーシャの囚われている部屋の扉へと手を伸ば……さずに、サイコキネシスで吹き飛ばした。

 トラップだのセキュリティだのロックだのと、色々ありえそうな『仕掛け』の可能性を考えた上で、長距離からこうしてしまうのが一番手っ取り早いと判断したのだ。


 ……いやまあ正直言うと、急いでマーシャの所に駆け込みたいというのが本音なんだけど、な。

強すぎるんですよねぇ……この集団。結果、どうしてもこうなるという……


とまあそんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、1月8日(月)を想定しています!

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