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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第85話[表] 鬼哭界・救出作戦 Phase3

<Side:Akari>

「お、来たようだね。我が子が囚われている場所は判明したのだが、そこまで一気に踏み込むのがなかなか難しそうでね。どうしようかと悩んでいた所だ」

「うむ。無理矢理突破するという手もあるのだが、あまり強引に進みすぎて、ロゼを始末しようなどという考えを起こされては困るのでな」

 合流地点にいたアーヴィングさんとエメラダさんがそんな風に言ってくる。

 

「え? もう判明したですか?」

「ああ。そこら辺にいた物を軽く尋問したら、簡単に吐いてくれたよ」

 驚きながら問うクーさんに、そんな風にサラッと答えるアーヴィングさん。

 ……軽くって……。絶対軽くないわよね、それ……

 

「ついでに確保した地図を確認した所、かなり奥まった場所でな。そこまで向かう為のルートが少々厄介なのだ」

 と言いながら、地図をホログラムモニタで表示するエメラダさん。

 

 そこには赤い点と青い点がそれぞれ点滅していた。

 

「この赤い点がロゼ嬢の囚われている所で、青い点が我々のいる所だ」

 グレンの配下であるケインという名のドラグ族の青年がそう告げてくる。

 

 ……この人、何故かちょっと『懐かしい』感じがあるのよね……

 私の魂の半分である『アルチェム』の記憶がそう感じさせているのかしら……?

 

「だけど……この通り、どうしても広間を通過する必要があるから、ここで敵にバレるのは確実なのよね」

 そうため息混じりに言うのは、同じくグレンの配下であるセレナ――セレナリーアという名のカヌーク族の女性。

 こっちもケインほどじゃないけれど、少し懐かしい感覚があるのよね。

 

「これ、ロゼさんの囚われている場所の真上は何があるんですか? ここも広い部屋ですが……」

「そこは倉庫みたいだね」

 ユーコの問いかけに対し、そう返してくるセレナ。

 ……って、倉庫?

 

「それって、人が常駐しているような場所じゃないわよね? つまり――」

「――私がここから床をすり抜けて、直接ロゼさんのもとに行けそうですね」

 私の発言を引き継ぐようにしてそう告げるユーコ。

 

「ふぅん、なるほどね。先にユーコをロゼの所に行かせてしまえば、強引に突破しても大丈夫ってわけだね」

「はい。誰かがロゼさんのところへ来たら私が迎撃します。もっとも……ロゼさんならば、戒めさえ解き放ってしまえば、あとは単独でも悠々と迎撃出来るとは思いますが」

 ユーコがシズクに対して頷きながらそんな風に言う。

 まあたしかにそうねぇ……。むしろ、ロゼとユーコだけで脱出出来そうだわ……

 

「そうなると、その倉庫にユーコを到達させる必要があるな。それも気取られぬように」

「反対側のこの辺りで軽く陽動しておけばよいのではないか? さすがに倉庫に向かっているなどとは思わぬだろうし」

 アーヴィングさんに対してエメラダさんがそう言いながら、倉庫と真逆方向にある、部屋が並んでいる通路辺りを指さしてみせる。

 

「なるほど……。たしかにその手が一番良さそうなのです。となると……私はユーコさんと一緒に倉庫へ行き、ユーコさんがロゼさんを解放したら、皆さんのもとへ、それを伝えに走るのが良さそうですね」

「そうだな。この中ではクーが一番疾いだろうからな」

 クーさんの発言に、グレンが頷いてみせながらそんな風に言う。

 

 たしかに、変身した時のスピードは凄まじいものね、クーさんって。

 しかも、天井や壁まで走れるし。

 

「当初の予定では我々が道を切り開く――陽動や撹乱を行うつもりであったが、これは全員で陽動する方向性に切り替えた方が良さそうだな……」

 そんな風にケインが呟くように言うと、エメラダさんが、

「うむ。ロゼの安全を確保したら、それこそ全員で突破するのが一番だろうからな」

 と、シズクの方をチラッと見ながらそう返した。

 

 ……うんまあ、シズクっていう凄まじいイレギュラーの存在を考えたら、それが最良ではあるわよねぇ……

 

                    ◆

 

<Side:Yuko>

「倉庫周辺および倉庫の中から、人の気配は感じないのです!」

 気配を探りながらそう言ってきたクーさんに対し、

「では、速やかに中に入りましょう」

 と、返事をして素早く壁をすり抜けて中へと入る私。

 

 なるほど……たしかに倉庫ですね。

 色々な物が雑多に積まれています。

 

「そこのガラクタが積まれている真下がロゼさんの囚われている場所になるのです」

「了解です。それではちょっと行ってきますね」

 クーさんにそう返しながら、私は下の階へと踏み込んでみます。

 無論、もし見張りの類が居ても良いように、得物はしっかりと構えたままです。

 

 ――幸いな事に、下の階――部屋には見張りの類は見当たりませんでした。

 ただ……暗いですね。倉庫よりも暗いのではないでしょうか……?

 

 そう思いながら部屋の中を調べていくと……

「つっ!」

 何かにぶつかり、ガチャガチャと鎖の音が鳴り響きます。

 

 アストラル体で『ぶつかる』もの……それは『生命』です。

 アストラル体は『死んでいる人間の身体』はすり抜けられますが、『生きている人間の身体』はすり抜けられません。

 つまり――

本来はもう少し間に話が挟まっていたのですが……ユーコが床(天井)をすり抜けるだけなので、そこまであれこれ描写しなくても良いかなと思い、結構カットしました。

テンポは良くなったような気はするものの、ちょっとすっ飛ばしすぎたかな……? という思いもあったりします……


とまあそんな所でまた次回! 次の更新も予定通りとなります、12月22日(金)の想定です!


※追記

話数が間違っていたので修正しました。

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