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サイキッカーの異世界調査録(サーベイレコード)  作者: TOMA
第2部 黄金守りの不死竜と調査録 第2章 遙かなる古の遺産編
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第83話[表] 鬼哭界・救出作戦 Phase1

<Side:Akari>

「よし、上手く潜入出来たな」

 ダクトから飛び降りた所で、先に降り立っていたグレンがそんな風に言ってくる。

 

「データによると、アーヴィングさんたちとの合流地点は向こうなのです」

 右方向へと伸びる通路を指し示しながらそう言ってくるクーさんに、

「なら、すぐに向かうとしましょうか。……遅れたら先に突っ込みそうだし」

 と、そんな風に返す私。

 

「そうだね。個人的にもアーヴィングの戦いぶりを見てみたいし、急ごうか」

「……しれっと貴方が混ざっている事に、私は疑問を感じるわ……。大体、何なのよその仮面」

 さらっと会話に入り込んできた仮面姿のシズクに対し、私は走りながら呆れ顔でそう返す。

 

「ロゼらしき人物を鬼哭界で捕らえたという情報を得てね。ちょっとばかし強引な方法を使ってレジスタンス――『アジュール・ブリンガー』に加わらせて貰ったんだよ。この仮面は『銀の王』にバレないようにする為の変装さ」

 シズクの発言に対し、それ……隠せてるのかしら……なんて思っていると、私の隣を走る……というか飛翔するユーコが、

「……ちょっとばかしってレベルじゃない気がしますが、まあ……貴方に関しては、考えるだけ無駄なので、なんでもいいです」

 なんて事を呆れた声で口にした。

 なので私は、それに首を縦に振って肯定してみせる。

 

「なんだか扱いが雑だなぁ……。まあいいけどね」

 シズクがやれやれと言わんばかりの表情でそんな風に言ってくる。

 ……やれやれと言いたいのはこっちなのよねぇ……まったく。

 

「――で、それはともかく……私としても、まだちゃんとやり合っていないロゼに死なれたり戦えない身体になられたりしたら困るからね。こうして救出の助太刀に来たわけさ。あ、例え断られたとしても、勝手に割り込むつもりだったけど」

「割り込むって……。というか、やっぱりそんな理由だったのね……」

「当然じゃない。というより……他にどんな理由があって、バレたらマズいでは済まないような『銀の王』のお膝元に、私が踏み込もうだなんて考えると思ってるのかな?」

 私の言葉に対し、胸を張りながらそんな風に言ってくるシズク。

 なので、

「そ、それはまあ……そう……かも?」

 と、ついそう返事をしてしまった私。

 だけど、まったくもって理解出来ない思考ね……

 ある意味、シズクらしいと言えばシズクらしいけれど。

 

「ちなみにもしバラそうとかしたら、バラすよ?」

 シズクがそんな事を言いながら私の方を見てニヤっとした。

 それに対して私は、

「……それ、上手い事言ったつもりなの?」

 と、ジト目で答える。後者の方の『バラす』は意味が物騒すぎでしょ、まったく。

 

「おや? 上手くなかったかな? 私的には上手いこ――」

 シズクはそこまで口にした所で、突然言葉を切って目を細た。

 そして、

「っと……。いち、に、さん……。よん? うん、3人と1体、こっちに来てるね。しかも、この金属音の強い足音……『銀の王』の配下だね。あと、機幻獣も」

 と、そんな風に告げてくる。


「えっ。もしかして潜入したのが気づかれた?」

「どうかな? 上に援軍に向かおうとしている所なだけかもしれないし……。さすがにそこまでは分からないね。まあ、あまり顔を合わせたくないのはたしかだけど。特に機幻獣とは」

 私の問いかけに対してシズクがそう答えると、それを聞いていたらしいクーさんが、

「それでしたら、先行してササッと倒してくるのです」

 なんて返事をしながら変身。


 即座に壁に向かって飛び上がると、そのまま右壁から左壁、そしてまた右壁へ……と次々に飛び跳ねていくような動きで加速していき、通路を駆け抜けていく。

 こんな加速の仕方をするのは、変身した状態ならではって感じよねぇ……

 

「やっぱり、変身状態だと疾いね……。四足歩行のメリットって奴だね」

「そうだな。前よりも更に疾くなってる気がするぜ」

 グレンがシズクに対して頷きながらそんな風に言う。

 うーん……。たしかに言われてみると、前に見た時よりも疾い気がするわね。

 

「これも、ソウヤの『仲間を急成長させる力』によるもの……なのかな? うーん……私もその力の恩恵が欲しい所だねぇ……」

「まあ、『仲間』ではないですからね」

「そうね、『仲間』ではないわね」

 ため息混じりに言ってきたシズクに、ユーコと私がそう返す。

 敢えて言うなら、油断のならない同盟者……って感じなのかしらね?

 

「おかしいなぁ、一応仲間のつもりなんだけどなぁ」

 わざとらしく首を傾げてみせるシズクに、私はため息をつきながらやれやれと首を横に振り、

「一応とかつもりとか言ってる時点でどうかと思うわよ……」

 と告げた。

 

「ま、私はあくまでも『ミスズの仲間』だからね。でもほら、ちゃんと敵の接近は教えたじゃない。――あ、今、全部消えたけど」

 シズクがそんな風に言ってきた通り、そこからしばらく進むと、床に転がる『銀の王』の配下と機幻獣の残骸、そしてそれを成したであろうクーさんの姿が見えてきた。


 とそこで、私たちの接近に気づいたクーさんが、

「しっかりすべて片付けて、念の為に周囲も探っておいたですが、問題なさそうなのです!」

 なんて声を投げかけてくる。

 

 『銀の王』の配下3人は全員が至近距離で倒れているので、おそらく一瞬で3人纏めて倒したみたいね。

 うーん……。さすがの強さって感じだわ……

ここでサラッとシズクの登場となりました。まさに神出鬼没です(何)


とまあそんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、12月15日(金)を想定しています!

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